2015年センター試験国語をざっくり!

詳しい解説が読みたい方は、各種予備校のサイトにいってくださいね。
センター試験国語の問題文がどんな感じだったのかを知りたい人向けです。

大問1;評論−佐々木敦未知との遭遇

  • 本文の趣旨
    • 既存の知識の啓蒙よりも、未知なるものへの興味/関心/好奇心を喚起することが重要
      • 条件;ただし最低限のリテラシーを形成するための啓蒙は必要
  • 素材として用いられている思想
  • 内容
    • 筆者は啓蒙に批判的。特に調べればすぐに分かるような知識を他人に教えることは、知的好奇心を引き出すこともなく社会全体の知のレベルを下げることにつながる。しかし今は啓蒙の必要をも感じる。それは最低限のリテラシーが機能しなくなったから。ネットの発達によって人々の知の在り方は変質し、過去との系譜的な時間軸に繋がれるのではなく、包括的なとらえ方ができるようになった。それは良いことではあるのだが既存の知識の積み重ねがないので「意図的なパクリ」に気づかないなどの弊害も生じる。しかしながら筆者は啓蒙とは異なる次元にある未知なるものへの好奇心/関心/興味を刺激することを重要だと考えている。

大問2;小説−小池昌代「石を愛でる人」

  • 主題
    • 「石」を媒介にして男性に対する女性の心情変化を描く
  • 内容
    • 一人称小説。詩人である主人公の「わたし」が男性である「山形さん」に好感度を上昇させていく様子が、石をつながりとして、描かれている。詩人の「わたし」は「自分の世界」を持っていて大切にしている人間。テレビも持っていないし、人間関係に疲れた時には無機質な石をもてあそぶことで癒され、雨の日の傘にはひとりである空間の心地よさを感じる人物像である。そんな「わたし」が「山形さん」に好意を抱いていく心情変化がこの作品のメインテーマ。「山形さん」は当初石に比類されるように寡黙な人物として登場してくるが、傷つき落ち込んでいる「わたし」を無表情なままに慰めてくれる一方で、「わたし」の心情や行動をきめてかかるとのろけてもいる。そんな男性に対する複雑な心情を好意に変えてくれたのだって石の展覧会のおかげ。抜粋しておきましょう。「目があった。出品された石とよく似た漆黒の瞳である。雨が降っているせいかしっとりとしている。こんな目を山形さんは持っていたのだろうか?決して強い目というのではない。疲れはてていて、むしろ気弱な目だ。こんな目を山形さんはしていたのだろうか?石に惹かれている山形さんが、そのとき少しだけ、わかったような気がした。自分でもにわかに信じられないことだが、わたしもそのとき、山形さんに、心を惹かれていたのかもしれない」

大問3;古文−『夢の通い路物語』

  • 女君は不倫相手からの手紙を読んで絶望的な気持ちになった
    • 登場人物は女君・男君・右近・清さだの4人。女君と男君は人目を忍んでセクロスに励んでいたんだけど、女君は天皇陛下のお気に入りになっちゃたのでさぁ大変!男君が仕込んだ種の子どもが天皇陛下の子どもとして出産されちゃったよ!!女君は男君のことを思い続けているし。男君は天皇陛下の子どもとして披露された「御子」が自分にそっくりなので苦悩する。
    • 天皇陛下のご愛情がこの上なく深くなっていくし、女君は天皇陛下の寝所にたびたび召されてセクロスするなかで、男君との関係はどうなってしまうのかな?男君はNTR展開エピソード(=男君はかつて天皇陛下と女君の御前で、御簾を隔てて笛を披露したことがあった…)を挿入しながら手紙を送る。二人のやりとりは設問でも問われているので書き留めておきます。
      • 男君「私は逢瀬の期待もむなしく死ぬだろうが、それまでに魂がこの身から離れてあなたのもとにさまよい出たときは引き留めてほしい」
      • 女君「心ならずも離ればなれになってしまったことが悲しく、あなたが死んだら私も死に遅れはしない」

大問4;漢文−程敏政『篁墩文集』

  • 相変わらず漢文は教訓話〜親子の愛情のはなし〜
    • センター漢文はホントウに「具体例→抽象化→教訓」が大好きだな!!最初は猫の具体例が出される。猫が流産してしまったけれども、引き取られた子猫を我が子の様に育てた結果、親子の愛情が芽生えた。この例から親子間の関係は血縁よりもその愛情が重要であることが抽象化して導かれる。そしてエピソードとして「後漢の顕宋が他の妃の子を引き取って、皇后;明徳馬后に養育を託したはなし」が挿入され「子というものは、自分で産んだかどうかが大事なのではない」と説かれる。そして最後に現実へと舞い戻って教訓話がコメントされる。「血のつながらない猫同士でさえ実の親子ほどに強く結ばれることがある。人でありながら互いに愛情を抱きあえない親子がいることは、古人はおろか猫の例にも及ばないほど嘆かわしいものだ」。