国語

2023年1月14日実施 共通テスト「国語」の概要をざっくりと紹介する。

概要 評論・小説・古文・漢文の形式は例年通り。「複数テクストの参照」があったのは評論と古文。評論の設問はテクストの引用において同じ著作物でも引用者によって異なる主題の論理展開に使われるということが示された。古文は連歌がテーマなのだが、一つの…

大学入学共通テストを通して、現代で求められる「言語能力」とは何かを読み解く~共通テスト「国語」(2022年1月15日実施)の出題傾向を中心に~

複数資料の参照、思考過程のプロセスの可視化、メタ認知などが一層重視されるようになりました。個人的に注目すべきポイントだと思う箇所は2つ。一つ目は知識の陳腐化を前提として設問を作ってきたことです。これまでは語彙力や作品の時代背景などの知識は問…

大学入学共通テスト「国語」(2021年1月16日実施)はこれまでのセンター試験国語と何が変わったのか

テキスト読解のメタ的思考と解釈論の設問が加わっただけで殆どセンター国語と変わりませんでした。 評論・小説・古文・漢文とテキストそのものは従来通りの構成で「実用的文章」など出ませんでした。 ここでは共通テスト国語を解いた上で、その問題文の概要…

2018年1月13日実施 センター試験「国語」の概要をざっくりと紹介する。

今年は、評論は「文化心理学の重要性」、小説は「夫婦論〜妻の視点〜」、古文は「恋と情の和歌論」、漢文は「君臣関係を題材にした統治論」がテーマとなっていました。ここでは2018センター国語の概要をざっくりと紹介していきます。今年のセンターってどう…

国語教育雑文集;言語的諸能力・文芸的公共性・国語教科書共通教材

国語という科目は形式陶冶の側面が強いのだわ。教材そのものを覚えることに意味があるのではなく、教材を通して語彙力や論理的思考力や要旨把握力や文章構造分析能力を身につけるの。それで身につけた言語的諸能力を使って初見の問題を解くの。つまり国語の…

2017年1月14日実施 大学入試センター試験国語はこんな感じ

本文や設問をネタにしながら、どんな感じのものだったかを紹介するものです。きちんとした解説が読みたい人は予備校のサイトを見てください。 2017年センター国語の全体の概要 2017年のセンター国語は以下のような感じ。評論は「科学社会学の新規性と限界」…

2016年1月16日実施 センター試験国語の概要

みなさん、こんにちは。毎年恒例の「今年のセンター国語はどうよ?」のお時間です。 大まかな枠組みを知りたい方や大体こんな感じ?というのを知りたい方向けです。 詳細が知りたい方は大手予備校のサイトを見ましょう。 評論小説古文漢文はそれぞれコミュニ…

2015年センター試験国語をざっくり!

詳しい解説が読みたい方は、各種予備校のサイトにいってくださいね。 センター試験国語の問題文がどんな感じだったのかを知りたい人向けです。 大問1;評論−佐々木敦『未知との遭遇』 本文の趣旨 既存の知識の啓蒙よりも、未知なるものへの興味/関心/好奇心…

2014年センター国語はこんな感じ 〜ざっくりとした概要〜

詳細や解説などは大手予備校のサイトを見ましょう。 …と高2の生徒に言ったらざっくりと概要だけ教えてくださいと言われたのでメモ。 全体像とかどんな問題文の内容だったか知りたい人向けのテキストです。 評論:齋藤希史『漢文脈と近代日本』 社会言語学の…

国語(現代文)の勉強方法についてまとめ

生徒に聞かれたのでメモ。マァこういう考えもあるよ、という風な感じでお読みくださいな。 国語 勉強法 分からない 国語の勉強方法が分からない。いつの時代の受験生も嘆き、試行錯誤する問題である。それは、文章がほぼ「初見」であり、文章の「内容」を学…

センター国語2013はこんな感じ

詳しい解説は大手予備校のサイトをみましょう。 と、言ったら、生徒がかいつまんで教えてくれと言ってきたので個人的メモです。 大体こんな感じという要約を掴みたい人向け。 評論…小林秀雄「鍔」 はいはい小林秀雄。国語便覧にばっちり小林秀雄が評論でよく…

生徒「ラ抜き言葉って可能と受け身の区別でしょ?何が悪いの?」

「Omegaの視界」やってると、冬夏ちんと文法の固定観念についての雑談するよね?「食べれる」にしてるのは、「食べられる」だと「ライオンに食べられる〜」みたいな。あれって、助動詞「れる・られる」の可能と受け身の区別って考えられるんじゃない? 確か…

小論文指導のおはなし

最近では国公立二次試験や就活などのための小論文指導の仕事もしている。このひと月前後では、センター試験対策ばかりしてきた受講生たちが、慌てて作文を書き始める。まったく書けない生徒やトンチンカンな文を作って持ってくる生徒もいる。そしてこの時期…

渋谷孝「国語科の教材研究は国文学研究の「亜流」の域を抜けきらない」(『教育科学国語教育』745号2012年 2月)

この論文の主旨 現在の国語科の教材研究は国文学の真似事であるので、生徒の立場での読みとり方を研究しなければならないこの文章は、中学校の教員の教材研究を批判し、教材研究の在り方を提言するものである。具体的に引用されたのが、茨木のり子の「わたし…

2012年実施センター国語の出題内容の大まかな内容

「センター国語は相も変わらず四つの大問で構成されていて、それぞれ評論・小説・古文・漢文となっている」 豚「そんなことは知ってるブヒ。内容を教えれ」 評論:木村敏「境界としての自己」 「評論は木村敏の「境界としての自己」が出典。扱うテーマは、人…

ドミニク・S・ライチェン「キー・コンピテンシー」ドミニク・S・ライチェン、ローラ・H・サルガニク編著『キー・コンピテンシー』明石書店 2006年 85-125頁

Ⅰ はじめに 問題意識 一般的な(あるいは普遍的に適用可能な)キー・コンピテンシーの集合を定義する基盤は存在するのか? 本章の目的 キー・コンピテンシーに関するDeSeCoの全体的枠組みの重要な要素を示す →キー・コンピテンシーを3つの要素でカテゴリー化…

橋本文法・新しい学習指導要領・ネオナショナリズム

現在教育現場で使用されている国語教科書を見てみると、全ての教科書における記述が橋本文法のみで画一化されている。これは平成12年に全ての教科書において橋本文法が採用されたことによる。学習指導要領で文法を規定しているのは「言語事項」であるが、こ…

パスカル・グリオレ「日本語の近代化をめぐって-大日本帝国の公用語と片仮名の機能-」(三浦信孝・糟谷啓介『言語帝国主義とは何か』 藤原書店)

日本の言語帝国主義 ヨーロッパの進出に対して「国語」というものを築く必要性が意識されるようになった。 以前:漢文―中心的な言語、和語―周辺的な言語 ex.アイヌや琉球に対し、「和風俗」への同化を禁じる。 日本の近代化の側面 社会の変化は文字の次元に…

安田敏朗「帝国日本の言語編制-植民地朝鮮・『満州国』・『大東亜共栄圏』-」(三浦信孝・糟谷啓介『言語帝国主義とは何か』 藤原書店)

趣旨 近代日本の国民国家形成から台湾・朝鮮の植民地支配、満州国の支配、東南アジア軍事占領といった帝国日本のあゆみの中での日本語のあり様及び、異言語との関係を記述するもの。 帝国日本の言語政策 国語=国民国家的言語編制(内地・外地)から東亜共通語=…

小熊英二「日本の言語帝国主義-アイヌ、琉球から台湾まで-」(三浦信孝・糟谷啓介『言語帝国主義とは何か』 藤原書店)

要旨 日本の「言語帝国主義」が、周辺性の度合い(中央-周辺)に応じてどのような展開を遂げていたか。 「周辺」の三類型(沖縄・北海道/台湾・朝鮮/南洋諸島・中国・南方) 沖縄・北海道 日本の近代国家制度が成立するまえに領有 沖縄 国民統合の対象地域 …

ロバート・フィリプソン/白井裕之訳「英語帝国主義の過去と現在」(三浦信孝・糟谷啓介『言語帝国主義とは何か』 藤原書店)

英語の世界的な普及 国内:市場の力+単一な国民国家のイデオロギー⇒英語の地位を強固にする 国外:グローバル化みぎ英語支配を増強 英語=威力・権力・上向きの力の社会的移動性の象徴 ∴人口の全ての階層に対して強い吸引力を持っている。 言語英国主義は南…

三浦信孝「共和国の言語政策とフランコフォニー」(三浦信孝・糟谷啓介『言語帝国主義とは何か』 藤原書店)

本稿の目的 最近の地域語論争を手がかりにフランス語の成立と普及の歴史的過程を、フランス人の言語意識、フランス人に対する言語表象の形成に焦点を当ててたどる。 本稿の項目 はじめに:言語権と「共和国の矛盾」「帝国の逆説」 1:フランスの地域語論争 …

西山教行「フランス語は『フランス人』を創出するか-植民地帝国におけるアリアンス・フランセーズの言語戦略-」(三浦信孝・糟谷啓介『言語帝国主義とは何か』 藤原書店)

アリアンス・フランセーズ(略称:AF)は1883年設立の「植民地ならびに国外におけるフランス語のための全国協会」である フランス植民地帝国でフランス語の普及教育により言語同化主義政策をとる。 言語同化主義により「フランス人」を創出する。 時代背景 第…

安田敏朗『国語審議会』(講談社現代新書) のメモ

現在の「国語」が精神主義的偏向を帯びていることを指摘し、それを批判する内容が書かれている。 簡略に要旨を述べるならば以下の通り。近代日本における国語政策の在り方を、「簡易的なものを目指す」現在派と「伝統を重視する」歴史派の二派に分類。現在派…

国語教育における二次創作活動の位置づけ

二次創作って何だか知ってる? うっう〜。知ってますよぉ〜。 寧ろ、この界隈にいたら誰でも一度はやったことがあると思うんれすけど・・・ 簡単な例をあげるなら、俗に言うSSやアフタストーリー、スピンオフなどなどれす。 動画共有サイトの架空戦記シリー…

デイヴィッド・クリスタル著 斎藤兆史/三谷裕美訳『消滅する言語』(中公新書)のメモ

あとがきで訳者より、この著は宣教師外交と英語帝国主義の思想がいっぱい詰まっているので注意!!とのお触れがある。だがその後で「英語!英語!と騒ぐより、まず日本語をしっかりと」という展開になってしまう。国際化⇒まず自分の文化を守るという構図が染…

安田敏朗『「国語」の近代史』(中公新書)のメモ

序章 「国語」を話すということ 国語とは書きことばの階層性と話しことばの自然の中で、国民国家の中で流通させるために作り上げたもの。 近代国民国家が要請したのは統一された「国語」を作り上げ、それを国民に話させるとい政治的なあり方。 近代国民国家…

田中克彦『ことばと国家』(岩波新書)の感想

三、俗語が文法を所有する 書き言葉=聖なる技術 母語によらない書き言葉の術は、知識と情報の階級的独占が必要なところではいつでも頑固に保持された。 慣れや有用性の観点からではなく、文字術の秘儀性 文法のイデオロギー 文法を生み出して国内および国外…

田中克彦『ことばと国家』(岩波新書)の感想まとめ

「一つのことば」とは何か 母語の発見 俗語が文法を所有する フランス革命と言語 母語から国家語へ 国語愛と外来語 純粋言語と雑種言語 国家をこえるイディシュ語 ピジン語・クレオール語の挑戦

田中克彦『ことばと国家』(岩波新書)の感想

三、俗語が文法を所有する 書き言葉=聖なる技術 母語によらない書き言葉の術は、知識と情報の階級的独占が必要なところではいつでも頑固に保持された。 慣れや有用性の観点からではなく、文字術の秘儀性 文法のイデオロギー 文法を生み出して国内および国外…