雑録

花咲ワークスプリング!「琴吹ヒカリシナリオ」の感想・レビュー

かたわ少女物語。「聾」を抱える少女の悲哀と精神的克服を描きます。
「聾唖」については『ONE』という鉄壁が存在しますし、数多のシナリオが存在。
近年の作品では『星空のメモリア』の天文部員と雰囲気が近いですかね?
「難聴であることを言い出せず隠していた」という後ろめたさが効果を生み出します。
耳が聞こえず約束をすっぽかしてしまったあたりがヒカリ√の頂点かと。

琴吹ヒカリ√の概要


  • 最初から好感度MAX
    • 琴吹ヒカリは少し天然だけども優しく明るくて真面目な少女。しかし難聴を抱えおり、ヒカリが天然に感じられるのは、その難聴を誤魔化すためだったのです。そんなヒカリですが主人公くんに対しては最初から好感度マックスでいきなり告白してくるパターンをとります。主人公くんは自分のことを怠惰なクズだと認識しているので、明るくて優しいヒカリは自分には合わないと感じフラグを叩きつぶします(そもそもヒカリがどういう人物像なのかも知らないし・・・)。しかし、このことがヒカリの未練となり、ヒカリは幽霊部員としての資格をゲットするのです。こうして未練を抱えたものたちが停滞し、瑕を舐め合う活動が始まったのですが、何故ヒカリは主人公くんに惹かれたのでしょうか?それは合格発表の当時にまで遡ります。
    • 主人公くんは忘れ去っていた出来事なのですが、合格発表の際、資料の配付場所が分からず困っていたヒカリを助けてあげていたのです。主人公くんにとっては良くある何気ないヒトコマだったのですが、ヒカリにとっては運命を感じる場面となったのです。それもそのはずヒカリは難聴を抱えていたため、教員の誘導の声を聞き取れなかったので、折角合格したのにも関わらず、惨めな絶望状態に陥っていたのです。砂漠で迷った旅人にとっては一杯の水が何事にも代え難い恩義にもなります。こうして救済されたヒカリは主人公くんのことが強く印象づけられたのでした。さらに!料理教室の友達の家に遊びに行ったら、なんとそれは主人公くんのイモウトのおうちで、ソファで寝ている主人公くんを見た瞬間、フォーリンラブなのさ。こうしてヒカリは主人公くんに好感度マックスとなったのです。



  • ヒカリは難聴により約束が聞き取れずすっぽかしてしまう
    • 部員仲間としてヒカリと接していくうちに、その人となりを理解していった主人公くん。相変わらずヒカリは主人公くんに好意を向け続け、主人公くんの性格を知ってもさらに好感度を上昇させてきます。主人公くんはいい子であるヒカリに対して、とても引け目を抱いていたのですが、とうとうその思いを受け容れることにしたのでした。こうしてフラグが成立したわけですが、ここまでではプレイヤの方々には難聴であることが明らかにされず、しばしカップルタイムが提供されます。シナリオが弛緩し始めたところでようやく物語が動き出し、難聴属性であることが徐々に明らかになってくるのです。
    • これまで聞き間違いや会話が繋がらないことが度々あったヒカリでしたが、ついに主人公くんとの約束をすっぽかしてしまう事件が発生してしまいました。難聴であることを隠し続けたヒカリはどうしても「pardon?」が言い出せず、聞こえた振りをして誤魔化してしまったのです。他にも主人公くんの過去語や心情吐露などをスルーし、それだけではなく主人公くんのイモウトに訊くことで嘘の上塗りをしようとしていたのです。
    • 約束をすっぽかしてしまっていたことを知ったヒカリは精神崩壊寸前!今までの自分の嘘や誤魔化しの反動が襲いかかります。そんな中、発狂しかけるヒカリを主人公くんは受け容れてなだめるのでした。ヒカリは幼少期の頃、友達との会話で「pardon?」を繰り返してしまったためイジメと迫害の対象となったという過去を背負っていました。それ以来自分が難聴であることを知られるのを恐れ、ひた隠しにし続けてきたのです。泣きながら主人公くんに弁明するヒカリに対し、主人公くんは無条件の赦しと肯定を与えるのでした。



  • ピーターパン=シンドローム
    • 問題を抱えた少女を救った主人公くんは、ヒカリのために生きたいと思うようになります。これまで過去に囚われ前に進めなかった主人公くんは愛する女のために人生を生きようと決意したのです。「少女救済による自己肯定」パターンが発動ですね。主人公くんの過去の呪縛とはピーターパン=シンドローム。所謂大人になりたくないというやつ。主人公くんはヒカリに膝枕をされながらこのことを素直に告白できたのでした。こうしてヒカリは難聴であることを部員たちに告げることでき、主人公くんもまた、人生を一歩踏み出すことができるようになったのでした。

未練って言うほどじゃないんだけど、俺、子どもの時、すごく楽しかった時期があって、友達と集まっていつも遊んでた。でも、子どもの時のことだからさ、終わってしまうのは仕方のないことで……。だけど、俺はどこかであの時がたのしかったから、今が退屈で仕方がないって思ってた。大人になれてないっていうかさ……あの時に戻れたらってどこかで思ってたんだ