雑録

花咲ワークスプリング!「空森若葉シナリオ」の感想・レビュー

富裕階級コンプレックスのお嬢様は個人として承認されると好感度マックスなの。
お嬢様としての自分ではなく、若葉本人を見て欲しいとの欲求に応えましょう。
親友からの関係性変化モノで終わることなくアイデンティティの確立まで扱います。
最後はモヤモヤするお嬢様に率直に感情を吐き出させることに成功します。
黙って私の婿になれ!とハッピーエンドを迎えます。

空森若葉ルートの概要


  • 主人公くんの悪友系ヒロインが関係性変化を求めるお約束のアレ
    • 空森若葉は主人公くんの悪友系ヒロイン。一緒にバカをやって笑いあい、他ヒロインルート(特に祈さん)では主人公くんの相談役となって漢を魅せてくれます(女ですが)。そんな好感度マックス状態な悪友系ヒロインは得てして自分のルートになると破壊力を失うことがしばしば見られますが、若葉ちんはどうなるでしょうか?ライターさんの腕に期待しながら読み進めていきましょう。結論から言うとそんなに悪くないぜ。若葉ちんシナリオも物語の最初の方は御多分にもれず親友か恋人かの関係で悩んだりするお約束展開になりますが、主人公くんの匂いを嗅ぎたいとか言ってくんかくんかしだしたりするなど各種表現に工夫が見られ楽しく読むことが出来ますね。そして思い悩む若葉ちんに対して主人公くんは悪友ポジションも恋人ポジションも両方受け容れようという姿勢を見せてフラグは成立。所謂らぶらぶジュースを飲み合うなどデートを重ねていきます。ここで終わってしまえばよくある関係性変化モノとして物語消費されるだけですが、若葉ちんシナリオでは富裕階層コンプレックスを持つ若葉ちんがアイデンティティの確立に悩む展開になっていて表現に幅が出ていました。



  • アイデンティティ拡散の危機(1)中学時代編〜家の重み〜
    • 若葉ちんと主人公くんが悪友となったのはいつだったのでしょうか?それは遠くもない昔、中学2年生の時でした。若葉ちんはこれまで親の期待に応えようと、お嬢様として振る舞おうと努力してきました。しかし若葉ちんの気質もあって上手く振る舞えずへんてこお嬢様と化しており、そしてまた家の重みもあってか、若葉ちん個人に積極的に関わってくれる人はいなかったのです。若葉ちんはそんな自分を変えようと進級にあたってお嬢様な自分をイメチェンしてみたのです。けれども誰もそれに応えてくれず・・・まさに鬱屈した日々を過ごすことにならんとしていました。そこへ登場したのが我らが主人公くん!若葉ちんをキャッチボールに誘い、サバサバとした地を引き出すと、それまで遠巻きに見ていたクラスメイトたちとも徐々に打ち解けられていき友達も増えたのでした。


  • アイデンティティ拡散の危機(2)〜キャッチボールと無条件承認〜
    • こうして主人公くんとバカなことをしあう悪友系若葉ちんが誕生したのですが、主人公くんとフラグ構築が成されると、再び「お嬢様としての自分」が立ちはだかります。若葉ちんは再び親の期待に応えようと清楚系お嬢様を演出することに努力をしていくことになりました。しかし若葉ちんは本当の自分とは何か?という普遍的命題に挑むことになりアイデンティティ拡散の危機に陥ります。親の期待に応えたいけれども清楚系お嬢様として振る舞うと明るく元気でサバサバしている自分がいなくなっちゃう、どうしたら良いの?と煩悶すること限りなし。そんな若葉ちんを見た主人公くんは、どんな若葉ちんになったとしても一生涯かけて支えていくという決意をします。困惑する若葉ちんを再びキャッチボールに駆りだし本気の球をぶつけるのです。そして自分が想っている感情を素直に吐き出せと要求。主人公くんの覚悟を見た若葉ちんは自分の思いの丈を叫ぶのでした。主人公くんは今の関係性が不安なら友達で恋人で婚約者にもなってやる!婿になる決意も出来ていると表明。自分を限りなく無条件肯定された若葉ちんはアイデンティティを確立することに成功し、ハッピーエンドを迎えます。