雑録

恋×シンアイ彼女「姫野星奏√ 終章 Last Episode」の感想・レビュー

社会人編。文芸と音楽というそれぞれの創作活動のため平穏な日常を捨て去り人生を捧げるはなし。
職業召命観がテーマ。音楽のために命を捧ぐ星奏と追いかけ続ける主人公くんの執念はグッとくる。
一人はツライとこぼした星奏がそれでも孤高で挑むその姿。星奏のために小説を書き上げよ!!
最後の場面で主人公くんが孤独エンドを迎えるが、エピローグで再会が示唆されていることは物議。
最後の蛇足は入れないでプレイヤーの解釈に任せる方が良かったなぁと思いますが皆様はどうでしょうかね。
終章は面白い(ホントウ)。読む価値あり。全ヒロイン攻略後に√解放されるので頑張って読んでください。
CLANNADアフター」や「すみれ」、「サクラノ詩6章」などのように挫折系社会人ばなしは良いものだ。

それでも姫野星奏は「音楽」を選んだ!!


  • 主人公くん教員時代〜三回目の姫野星奏との出会い〜
    • 高校時代編で星奏との別離を体験した主人公くんは文学部を出て教授のコネで母校の教員となっていました。ガムシャラに教員生活を送りながら教え子にも慕われる日々でしたが、どことなく空虚さを感じる毎日。主人公くんは夜回り先生よろしく授業が終わると街をプラプラせずにはいられません(主人公くんを慕う精華との出会いもこの時→教材研究しろよ)。そんな折りまたもや姫野星奏と再会するのです。主人公くんは星奏をずっと想い続けていましたが、自分の高校生時代を星奏にコケにされているので複雑な感情を抱きます。どうして何も言ってくれないんだ!!!とは主人公くんの弁。
    • 真相は以下の通りです。星奏は高校時代にスランプに陥ったため故郷に舞い戻ってきました。主人公くんとの交際は星奏の感受性を揺さぶり再び音楽性を取り戻すことになります。それがOPのキャラ紹介で「私が戻ってきたのはね。もう一度星の音を聞くためだよ」につながるわけですね。星奏は再び作曲できるようになったので、主人公くんの元を去っていったのでした。星奏は男を棄てて音楽に人生を捧げる決意をもう既にしていたのです。だからといってそれが強さではありません。星奏は一人がツライとこぼし、主人公くんの存在を思い出しては心を奮い立たせていたのです。
    • 主人公くんは星奏に自分の複雑な想いと苦悩を叩き付けるのですが数クリックで手の平返しが炸裂します。なんと星奏のバンドメンバーは多額の負債を抱えた上に解散していたのです。Pity is akin to love.可哀想は惚れたってことよパターンですね。主人公くんはみたび星奏を受け入れるのでした。ですが主人公くんの存在は星奏にとって一時の充電装置のようなもの、傷ついた時に羽根を休める大地のようなものだったのです。つまりは主人公くんとの交流で傷が癒えた星奏は再び飛び立つワケですね。婚約指輪を捧げたものの拒絶され、またもや何も言わずに出て行かれてしまった主人公くん・・・。そして教え子精華との交流が問題となり教職を辞すことになりました。


  • 主人公くん雑誌記者時代〜姫野星奏はどのような軌跡を辿ったか〜
    • 姫野星奏に三回裏切られ教職を辞し絶望に浸る主人公くん。それでも最後には姫野星奏への想いだけが残ります。主人公くんは星奏の音楽活動のことを全然知らなかったと反省し、星奏のバンドがどのように結成され、崩壊したかのルポルタージュを書くことを決意するのでした。学生時代のコネを利用し、雑誌編集の仕事をしていた如月先輩のもとに就職すると3年ほど修行を積むことになります。そしてとうとう星奏が作曲家として活動していたバンド「グロリアスデイズ」の特集を任されることとなったのです。ちょっとご都合主義展開なのですが「Social Capital」(人間関係資本)が発動し、これまでの交友関係が協力してくれるところは予定調和的ですが盛り上がってしまいます大団円→友情・努力・勝利ってね。
    • 姫野星奏の顛末は以下の通り。
      • 小学校時代…主人公くんの協力を得てデモテープを送り評価されて新鋭バンドの作曲家となる。
      • 中学校時代…次々とヒット作を作り上げるが、若い才能は早々に枯渇しスランプ。
      • 高校時代…故郷に戻り主人公くんと交際。音楽性を取り戻し、バンドは息を吹き返す。
      • しかし結局グロリアスデイズは負債を抱えて解散…教員時代の主人公くんと交際し復活。
      • 再興を賭けて曲を作るが鳴かず飛ばず。蒸発し行方知れずとなった。



  • 主人公くん小説家時代〜捧げよ!姫野星奏〜
    • グロリアスデイズのルポルタージュは大反響を呼びすぎてしまい、事務所にクレームをつけられ主人公くんはクビになってしまいます。ですが主人公くんの根底に星奏の存在はあり続けるのです。星奏に執着することについて如月先輩に指摘を受けた主人公くんが返した台詞は名言→「相手が自分のことをどう思っているかなんて分からないけど、恋をしたら舞い上がらずにはいられなくて、そこでがんばるか、がんばらないかは、もうそいつ次第で。もちろん空回って、滑稽なオチになることはあるだろうけど。俺は頑張ることに決めたんです。もうずっと昔に」。蒸発し行方知れずになった星奏に想いを届けるために、主人公くんはもういちど二度三度、小説を書かずにいられません。「さよならアルファコロン」「それからアルファコロン」に続いて「お前はアルファコロン」を刊行します。そして描き上げた主人公くんは、櫻の季節に想いを馳せるのです。

俺達は……俺と君は……似ているのかもしれません。いろんなものを犠牲にしながら君が駆け抜けた先には、もしかしたら寂しさだけが待っていたのかもしれません。君を全力で追い求めた俺もまた、どこにもたどり着けませんでした。だけど思い返すと、その季節はとても美しく輝いています。なにものにもかえがたい宝物です。あなたが俺に、返事をくれなかったこと。何も言わずに去ったこと。今ならなんとなく理解できる気がします。あなたはただ、全力だったんだと思います。あなたが全力であるべきものに対して。そんなあなただからこそ、最後の最後に手紙にしたためた言葉は、きっと心からの決心を込めて書いたのでしょう。二度と、俺には会わないと誓うって。それがあなたのけじめなら、俺は、それも大事に受け取りたいと思います。けれど、それでも俺は、まだ、もう少し、全力で言います。あなたに会いたい。あなたが好きです。空想の中で空想の彼女が、空想の手紙を受け取っている。そして彼女は……。どうしてだろう。今まで、想像してみることがなかった。星奏はあの手紙を実際のところ、どんな顔をして、読んでいたんだろうって。返事があったか、なかったか、ばかりにこだわって。その瞬間をイメージしてみようとしなかった。手紙は……彼女の心を揺さぶるほどじゃなかったけれど。俺が願ったような形でなくても、ちゃんと届いていて。彼女が一時でも、それで慰められたとしたら、全ては、なにも無駄じゃなかった。

    • 報われなくとも星奏に捧げきった愛情を感じさせる孤独なビターエンドで幕を閉じます。別離孤独エンドはわりと個人的には好きな展開です。『サツコイ』とかね。ここで終わっとけ!!!と思ってしまいます。エンドロール後のエピローグでは星奏と再会できるような描写が挿入されており感動が台無し・・・。折角創作活動に人生を捧げた男と女の末路が最終場面ですごく良く描け居ていたのに・・・。いやーこれプレイヤーに解釈の幅を持たせた方が良かったんじゃないですかね?どうですかプレイヤーの皆様?