恋する気持ちのかさねかた【体験版】の感想・レビュー

富裕階層が舞台で、攻略ヒロインがお嬢様であるキャラゲーを供給し続けるメーカーensembleの作品。
今回は「学園統合に際しての諸問題を解決すること」が目的だがテーマ性は限りなく薄い。
学園統合を真摯に描きたいのではなく学園統合は単なる装置に過ぎず可愛い女の子と乳繰り合うだけっぽい。
脚本家の方々が少子化からの経営難による統廃合について真摯に取り組んでくれれば面白くなりそう。
ライターさんの頑張りに期待しています。各ヒロインごとの体験版のシナリオの差異も激しいですしね。
その点で偽ツンデレ素直系チョロインの美桜√は期待が持てそうである。今のところ。
絵はとても可愛い。ensembleのゲームのキャラクターデザインはいつも可愛い(ホントウ)。
あと体験版におけるイモウトルートの入り方が分かりません。困った。

体験版各キャラ√概要

  • 島沙織
    • メインヒロイン。外面は完璧超人を演技している。学校でも家庭でもその血筋から理想像を求められており、本人もそれに応えたいと思っているので気が休まらない日々が続いていた。そんな沙織は生徒会に入ることで帰宅の時間が遅れる口実を作り、生徒会室を私物化してリラックスする毎日を送っていた。そんな沙織のだらけた姿を垣間見てしまったのが主人公くんというわけさ。沙織の事情を知りいつかストレスで破裂してしまうことを恐れた主人公くんは沙織を支えることにし、生徒会を手伝うようになる。沙織にとって生徒会室のソファーに寝そべりポテチを食いながらマンガを読みつつ主人公くんに甘えることが至上の喜びと化していった。統廃合問題においては主人公くんと共に学生側の意識調査を任されてサクサクと業務をこなしていくのだが、問題発生。なんとおうちの車が仰々しく道を占拠しながら沙織を迎えにきたのである。沙織が一体どうなってしまうのか!?というところで体験版お開き→短い。まァ沙織√ではよくある上層家庭の問題を解決することが主人公くんに求められるのであろう。門限ギリギリで生徒会活動を良く思われていないとか、学園の統廃合に絡んできたりとか、許嫁が登場したりとかそんな感じではないだろうか?


  • 柊美桜
    • ツンデレ素直系チョロイン。学園統合において吸収されてしまう側の理事長のイモウト。主人公くんの兄が吸収する側の理事長であることから関係性が始まる。ちなみに主人公くんの兄と美桜の姉が婚姻関係を結ぶことになるため義兄妹の間柄でもある。私立の経営難という現実に対し、私情により統合を好ましく思わない美桜が打ちひしがれていく様子は寂寥を感じる。主人公くんが思わず支えたくなってしまうのもなるほど納得だね!可哀想は惚れたってことよパターン。美桜が抱える私情とは、亡父との想い出。死んでしまった父と幼少の美桜の想い出は、父の職場であった学園内に存在していたのだ。自分の小さい拘りに資本主義という利潤追求は叶わないと充分に気づいているからこそ、美桜は幼稚に反発したり引き籠もることしかできなくなっていた。そんな美桜を全肯定してあげればフラグは成立さ。イヤだ、イヤだと駄々をこねるのではなく、吸収されてしまう母校のために何かができないかと立ち上がる!そんな美桜を主人公くんは支援しながら情交を重ねていく。その際、義兄妹となる主人公くんのおうちに同居することになりドタバタコメディーを繰り広げるよ!廃校問題に関しては歴史的価値を主張して保存事業展開となるか、取りつぶされることになったとしてもお別れ会を開くとかそんな感じになりそう。


  • 鳴海朱子
    • 熱血スポ根物語。学園の統廃合による部活動問題を描く・・・かと思いきやビーチバレーモノに。ビーチバレーは『ナツユメナギサ』でも扱われていたがそこまで本格的な描写ではなかった。スポーツなど専門分野を舞台設定に使う場合はどれだけ大衆にそのスポーツの専門性の楽しさを語れるかが明暗を分ける。ビーチバレーというマイナーなスポーツを扱う以上新奇さはあるがその分描写も難しくなる。ライターの人が経験者もしくは元からのファンならいいが、不安は尽きない。シナリオを書くためにきちんと取材や研究をしてくれればシナリオにも期待が持てそうであるが、女の子と乳繰り合うための手段に過ぎないとなると薄っぺらになりそうだ。統合において廃部されそうなビーチバレー部であるが、吸収先の男子バレー部とビーチバレー部で勝負して勝ったら存続という提案がすでに突飛なものであり突っ込みどころ満載である。ライターさん頑張ってください。


  • 久遠寺ひより
    • コーヒー。主人公くんに理想の男性像を重ね恋に恋する妄想ガール。主人公くん個人そのひとが好きなのではなく、恋をしている私カワイイ的な感じ。なんで主人公くんに好感度マックスなのかを叙述してくれないことには何ともいえない。主人公くんがいる前で妄想トリップする様子は頭が緩い子にしか見えない・・・。ゲームにありがちなトンデモ設定で「学園のカフェテリアにおいて社会勉強をするという口実のもと生徒の労働が認められている」とか使い古された感がある。この学園統合によるカフェテリア存続問題がシナリオのテーマになるのだろうと思っていたが、序盤であっさりと解決。しかもモブキャラの先輩が解決。カフェテリア廃止の決定のお知らせを受け、ぼんやりと気が抜けているひよりに対して、職業倫理について語るのである。店員や店の都合などお客様には関係なく最後まできっちりとサービス産業を果たせと。これによりひよりは覚醒し問題解決。ではどんなことがひより√の根幹になるのだろうか?それはひよりの父親の問題。なんと資産家の父親は、学園統合に今更ながら反対して学園に乗り込んで来るのである。これにより久遠寺家はモンペアと周囲に認定され風評被害がひよりにも及ぶ恐れが生じる。故にひよりは一時的に寮から出て主人公くんの家庭で過ごすことになるのだ(トートツ)→美桜√と展開が同じでは?バリスタになって喫茶店を経営したいという夢とモンペ父親問題をどう打開するかがひより√の核となりそう。


  • 鏑木由希江
    • 学園統合に際して生徒会はどうなるのか?というはなし。瞬時に体験版の由希江√が終わりすぎて何ともコメントしようがない。ヒロインによって体験版での長短が異なるのはどうなんでしょうね?高校における生徒会問題に関しては学生が自治を行うとか夢物語過ぎる。由希江のキャラクターについても主人公くんとの関係性を語る描写が殆ど無い。主人公くんと家が隣同士で窓から部屋が見えるのに、着替えの時とか堂々とカーテン開けっ放しで見せつけてくるという痴女展開が待っています。幼なじみ属性を有してるのだからその辺を体験版で魅せれば購買意欲を刺激できたのでは?如何せん生徒会問題をどのように解決するかが物語りの原動力であるが、生徒だけの発想では限界があるし、安易なご都合主義展開が提示される恐れがある。ライターさんがどのように処理をするのかが見ものである。