果つることなき未来ヨリ「リアルート」の感想・レビュー

愛する男のためにメガンテして「生きているってそれだけで素晴らしい」エンド。
不老不死であったリアはメガンテしたことにより千の風になってあまねくたましいとなりました。
現世編でのイチローと同じく自らの命を犠牲にして特攻をしたのだからそこをもっと書くべき。
エンドロール後もエピローグはなくそのままで終わった。消化不良感は否めない。
日常のテキストも微妙。原爆投下後の爆心地の描写のところは割と面白かったかなー。
特にリア編は特攻を扱っているのだからイチローの現世編とのテーマとも合っているはずなのに残念。

リアルート概要


  • 特攻による散り様
    • リア√では戦争編はほとんど描かれません。寧ろ銃後として取り残される側を描いたのだと考えましょう。リア√で面白いと感じられる場面は二つ。「原爆投下後の爆心地の描写」と「愛する男のための特攻」です。まず前者についてですが、リアはイチローに構って欲しくて和平が結ばれる現場へと駆けつけますがそこで原爆を食らいます。不老不死設定でありリアは生き残るわけですが、それを利用して爆心地の様子が描くのです。と、いってもそんなに深くは描写されず、あー『はだしのゲン』や井伏鱒二の『黒い雨』で読んだなぁと記憶を想起させる程度。商業用なライトな展開です。もっとライターが思想性を爆発させて存分に筆を振るってグロ描写するのも展開的にアリじゃないっすかね?
    • 次に後者の「愛する男のための特攻」。リア√におけるイチローは石油基地を破壊することになり、突撃します。しかしどうにもならなくなりリアが特攻してメガンテ→→これにより戦局が優位になり数クリックで戦争終結!!→→戦後、重傷を負うイチローのもとへ一陣の風が吹き、ある筈のない櫻の花びらが一枚舞い落ちるという展開です。最後にリアが特攻をした時の回想が提示され「生きているってそれだけで素晴らしい」という台詞が吐かれます。こうして不老不死であるリアがメガンテを唱えると、その精神は千の風となってあまねくたましい。イチローが目にした櫻の花びらはその残滓でありましたよというオチ。復活して実は生きてました〜ってやられるよりかはマシですが、消化不良感は否めません。この消化不良感はリア√で「特攻」をテーマとしイチローが現世編でもおこなった「玉砕」を描いているのにも関わらず、イチローが現世で玉砕したことについて何も触れていないことから起こるものだと考えられます。リア√で「特攻」への問題意識の喚起→じゃあイチローは?とやればもっと深まったんじゃないでしょうかね。