時を紡ぐ約束(体験版)の感想・レビュー

旅館経営モノ。貰い子の里親認定を受けるために鄙びた温泉街を復興させる話。
体験版では物語のテーマ(上記)と当面の目的である「お祭りイベントを成功させること」が提示される。
孤児院での凄惨な過去やモトカノの自殺、主人公くんと貰い子の別離などの背景がしっかりと描かておりフツーに面白い。
迎えに来た施設長に責められた主人公くんが自分の行いが貰い子の自立を阻害していたのかと苦悩するシーンは実に見どころです。
ネットの風評被害にさらされて客が激減した旅館を、メインヒロインを若女将に据えることで立て直し、貰い子と本当の親子になるんだ!
メインヒロインの神宮美咲のキャラクター表現がとても良い感じであり、旅館メンバーズと共に一致団結で困難に立ち向かっていく。
これって無理に「トンでも魔法使い設定」とか入れなくても旅館経営×地域復興を焦点にすれば充分に面白いと思うのですが。
たぶんチラチラでてきた山辺源三さんがみりあ里親に関して重要な伏線になるんだろーなぁと思われます。

体験版概要


  • 田舎の温泉旅館にやってきた!〜メインヒロイン美咲のキャラクター表現とフラグ生成過程〜
    • 主人公くんは若くして子連れであり、住み込みのバイトを探して温泉旅館に採用されます。男手を必要としていた旅館で主人公くんは勤勉に働き旅館メンバーズにも受け入られました。板場で料理長と師弟関係を結ぶところは個人的に大好きな展開で里中さん攻略できないっすかね?しかしここでの主要な話は旅館の一人娘であるメインヒロインの美咲ちんについて。美咲ちんは旅館では和服姿で髪も上げ仕事に打ち込み一生懸命!。しかし学校では「もっさり眼鏡地味子」を通し友達もろくにいませんでした。旅館経営者の配慮で学校に通えるようになった主人公くんは美咲のギャップに驚くばかりです。そんな美咲がオープンハートし、友達ができるまでがここでのメインとなります。夜のコンビニ散歩で美咲が煩悶を吐露してくれる描写はグッときますね。今まで旅館のために頑張ることに自己の生存理由を見出してきた美咲。しかし最近入った新人バイトが自分よりも器用に仕事を卒なくこなしていく姿を見て自分はいったい何だったんだろう?と疑問に思い始めます。さらに加えて足を怪我した際に旅館の仕事は自分がいなくても回ることに気づいてしまったのです。これによって美咲のアイデンティティはあっけなく崩壊し落ち込むこと限りなし。このような状態に陥ってしまった美咲を主人公くんは華麗にフォローしていきます。旅館メンバーズは美咲の穴を埋めるために懸命に働いたからこそ滞りなく回ったんだと、美咲が精神的支柱なのだと、美咲でなくてはダメなんだと熱弁?を振るいます。他者需要願望を満たされ承認欲求が達成されればフラグは成立さ!のパターンですが、美咲のキャラクター表現がグッとくるところでもあります。こうして美咲は一歩を踏み出し、学校でも「もっさり眼鏡地味子」から転身し、主人公くんを介して友達もできたのでした。旅館経営者である美咲ママンが美咲の初めての友達に喜び、主人公くんを出汁に使ったところがあると告げられる場面はおすすめです。



  • ネットで風評被害にあい客が激減するはなし
    • サービス業にありがちなことではありますが、粘着体質な客はよくいるものです。美咲もストーカー被害にあい、固定客に付きまとわれます。うまくあしらうことができれば旅館にとって良いカモであり、金づるにもなるのですが、ついには盗撮事件にまで発展してしまいます。ここで旅館サイドは警察沙汰にせず出禁にすることで穏便に済ますのですが、この対応は失敗に終わってしまうのです。なんと逆恨みをした粘着客がネットで悪評を拡散させたのです。話は祭りとなりあれよあれよと炎上し、現実世界にも影響が及んで次々とお客がキャンセルに至り、旅館経営どころか温泉街そのものが危機に陥ってしまうのです。まぁ人の噂も七十五日といいますのでほっときゃ人々は飽きるのでしょうが、それでは物語は進まない。ネット炎上モノの打開策パターンである「炎上したらガソリンを注ぐんだぜ!?」を発動します。女将を美咲に交代することで話題作りを行い、同時に新体制に一新したことを示そうとしたのです。美咲が記憶力に優れていることから、「一人ひとりのお客様の顔を覚えてそのニーズにあったサービスを提供する」ことをコンセプトに打ち出します。ここですんなりとは決まらずに美咲ママンの葛藤や将来性への不安も描写されているのも好印象ですね。こうして「若女将は高校生!」が爆誕し、温泉街の復興を目指そうとするのでした。しかしそうは問屋が卸さず、主人公くんと孤児院の問題が発生するのです。



  • 主人公くんと娘の事情
    • 主人公くんは孤児であり施設暮らしでしたが、その環境は良いものとは言えませんでした。職員の体罰や虐待が横行し、子供たち内部でもイジメが頻発していました。施設長は孤児たちに精神的な強さを育てさせるという方針のもと黙認。そんな中で主人公くんは己を守るために他者を排斥し、心を閉ざして生き抜いていきます。そんな主人公くんを救ったのが同じく孤児であった紗枝さんでした。はい、絶対的な存在であるワケアリモトカノの登場です。ショコラのカナコ、パルフェのリカコ、星空のメモリアの夢さんなどが代表的。主人公くんは当初紗枝すら拒絶するのですが次第に情にほだされていき支えあうようになります。そして主人公くんが「貰い子」と主張するみりあもこの孤児院で出会ったのです。みりあも主人公くんと同様に親に捨てられたのですが、主人公くんは紗枝と共に疑似家族を形成します。こうして主人公くんは「おとうちゃん」となったのですね。しかしこの疑似家族生活も長くは続きません。なんと紗枝が自殺してしまったのです。主人公くんは紗枝も人知れず悩みがあったのかと煩悶するのですが、職員たちのはなしを立ち聞きし真相を知ってしまうのです。体験版では文中で語られていませんが、推察するに職員から強姦されたのでしょうね。こうした事情から主人公くんはみりあを連れて孤児院から逃げ出し、転々としながらバイトで食いつないでいったのでした。このままではジリ貧というところで主人公くんを拾ったのが旅館だったというわけで、主人公くんは返しても返しきれない恩義を感じていたのです。



  • 里親認定を受けるために旅館復興を目指せ!!
    • みりあも含めてみんなで温泉街復興大作戦が始まるのかなーとポチポチクリックしていたら、施設長降臨。なんとみりあを連れ戻しに来たのです。ここで施設長は主人公くんを試します。みりあが親に捨てられた事実を本人に告げずに黙っている主人公くんの欺瞞を指摘し、主人公くんがみりあを手元に置いておくことで本人が自立するための強さを身に着ける機会を損ねていると糾弾するのですね。ここで主人公くんが強さを示さればよかったのでしょうが、経済的にも精神的にも自立しておらず旅館にも迷惑がかかり里親認定失格の烙印を押された状態では立ち上がれませんでした。泣く泣くみりあを施設長に引き渡す主人公くん。しかしそこでみりあが「おとーちゃーん」と助けを求め、傍にいたいという意志を示すのです。これを聞いた主人公くんは奮起し、いつか絶対に迎えに行くからなと決意を新たにするのでした。こうして主人公くんはみりあを救うため、里親認定を受けるため、経済的に自立した社会人としての力を身に着けるべく立ち上がります。その手段は温泉旅館を繁栄させること。主人公くんは女将となったメインヒロインの美咲や旅館メンバーズとともに旅館経営を目指すのでした。当面の目標は「お祭りイベント」であり、そこでの成功を目指すことが提示され体験版はお開きとなります。