キミトユメミシ(体験版第1弾)の感想・レビュー

夢共有の異能を持つ主人公くんが問題を抱える少女たちを救済するはなし。
基本的には明るく楽しいバカゲーであり抜きゲー風味かと思いきや真面目に夢分析もする。
ユングを引用しながら集合的無意識の共有を提唱するところは結構面白い。
素行と生活態度が悪く不良と称されるメインヒロインはホスピスの子供たちの幸せを願う。
主人公くんは自分の学園生活の目的をホスピスケアに賭ける決意をして導入部分終了。
序盤の感覚だけだとメインヒロインが『ひだまりバスケット』と同じ匂いがします。

雑感

  • ホスピスケアとその周辺
    • 主人公くんは夢共有の異能とひきかえに頭痛に悩まされており病院通いを続けています。病院で治療を受けている際、主治医の粋な計らいで出会ったのが、元気系メインヒロイン。主人公くんは夢異能のせいで人と深くかかわることを怖れているため、おちゃらけてノリがよく気軽な感じで人に接することに長けていました。そのためノリの良いメインヒロインともすぐに打ち解け、ホスピスの子供たちが戯れる遊び場に通され、子供たちと遊びに興じることになったのでした。メインヒロインは病院におけるホスピスケアに高校生活の重点を置いているため、学校においては素行や生活態度が悪いため不良・問題児扱いを受けています。わーい、「学校の教員=既成の価値観を無意識のうちに生徒に刷り込み社会における従順な労働者を生産する事務的なビジネスです展開」ですよ!『ひだまりバスケット』のヒロインで同じようなキャラがいたなぁと。先生という権威に食って掛かるところはカタルシスを感じますが適当に流してもっとうまくやれよとも思ってしまいます。そして主人公くんの攻略対象となる方々は、このメインヒロインと関係がありホスピスケアとかかわっていたのです。きょうび流行らない商店街の個人書店の娘、面倒くさいことを押し付けられがちで内心雑用に不満を抱いている病院長の娘、医者の娘でアホの子バレー部員とめじろ押し。そして学年主任に呼び出される主人公くん。メインヒロインに不良のレッテル貼りをして自己保身に走る教員を見た主人公くんはそれをスマートにかわすと、学園生活をホスピスケアに捧げることを決意したのでした。

  • 夢共有
    • ちまたでは夢の中においてリビドー溢れる少女たちの欲望を解放して肉慾にまみれることがウリとされているそうです。そもそも主人公くんが学園を選んだ表面上の目的がKAWAII制服と女子生徒のレベルの高さと説明されていますしね。しかしシナリオを読んでみると割と真面目に夢について扱われています。フロイトユングはなんのそのです。集合的無意識の話とか懐かしいですね。ユング先生は「人間の夢や妄想の中に古来の神話や伝説と共通の基本的なパターンがあることをみつけ、心には個人の体験に基づく個人的無意識の他に、遺伝的に伝えられる集合的無意識があると考えた」のです。そしてその集合的無意識が全人類に繋がっているので夢を共有できるんだというのがこのゲームの考えなわけです。このような「夢共有」という設定には懐かしい雰囲気が感じられます。主人公くんは夢設定において「幻想世界で幼女と邂逅する暗示的な夢に悩まされている」と書くと一時期流行った泣きゲーのようです。おそらくこれがメインヒロインがホスピスケアに熱心になることと関係しているのだと思われます。夢の中の幼女は、主人公くんが異能を持つことになった事故の関係者、及びメインヒロインが病院にくる目的となっている親類または友達に該当するのでしょう。