アマツツミ(体験版第二弾)の感想・レビュー

疑似家族ルート。自分の命と引き換えに人生の生存意義を家族に見出すはなし。
記憶リセット・ホスピス・死生観・「自由の刑」など手垢に塗れた泣きゲ記号のオンパレード(個人的には結構好き)。
個別エンドは存在せず基本的には一本道で各キャラの諸問題を解決しながらグランドエンドを目指す構造?
主人公メガザルエンドでもビターっぽくて良いと思うのだが、あっさりと蘇生されて次の章へ。
最終的なラスボスヒロインは第一弾ではホスピスのように記述されていたが第二弾では記憶リセット系?のように描かれる…
しかしそれも終局部でひっくり返され、多重人格か双子か、それとも思念体とも類推される。

人間に生きる意味なんてないさ。でもそれを見出すのが生き甲斐ってもんさ。


  • 人生における自己の存在意義について
    • 主人公くんは言霊を操れる神であり、山里に隔離されて生きてきました。しかしその生活は空虚であり、主人公くんは自分の血潮を滾らせることなく人生の終焉を迎えることを受け入れられなかったのです。そんなわけで逃亡し、民衆と交わることになります。主人公くんは自分を拾ってくれた少女の家庭に疑似家族として入り込み「ナンデモ洗脳能力」である言霊を駆使しして学園生活を送ることになります。そんな中、主人公くんの疑似家族の母親がホスピスであったことが判明します。幼少期に両親を亡くした主人公くんはまたもや母親を喪失することになったのです。擬似母が危篤状態となった時に言霊による洗脳が解けても、家族として受け入れられることになる描写は良いシーンです。また主人公くんと疑似母がその死を隠そうとしても、妹にはバレており、きづかないフリをしていなきゃダメ?と言われるところは面白く感じます。
    • そして主人公くんが使用する言霊は自分の命を削って相手を生かせることができると判明します。主人公くんの中に残滓となって残る「行きなさい」という衝動の根源は、母親が使った「生きなさい」という言霊によるものであったのです。つまりは主人公くんは流行り病で命を落としかけた時に、母親の命と引き換えに生き残ったのでした。全てを知った主人公くんは今度は自らの命を使って疑似家族の母を助けることを決意。この時の表現で、母から貰った命を母に返すという言い回しは結構好き。こうして主人公くんは今まで無意義に生きてきた自己の人生において、疑似家族のために生きるという意義を見出すのでした。主人公くんは擬似イモウトに種付けし、死を怖れながらも満足して死んでいきます。感動のビターエンド!疑似家族編(完)となりかけるのですが、主人公くんの正妻が現れ蘇生完了☆(あっさり)→→正妻も学園生活に加わることとなり体験版第二弾は終了となります。



  • ラスボスヒロインの伏線
    • 主人公くんのナンデモ洗脳能力「言霊」が効かないラスボスヒロインが常に物語を動かす原動力となっています。第一弾においては、民衆と交わる際に善悪の基準が分からなくて戸惑う主人公くんに、人の正義の相対性を説いてくれた場面が印象的でしたね。第二弾では「物事の善意」を願うシーンが心をうちます。「何を選んでも後悔することはあるけれど、後悔を背負って強く生きよう」、「失敗や後悔を基準にするよりも成功や希望を基準するべきだと『願っていた』。ほたるも結局、自分に言い聞かせなければその考え方を意識できなかったのだろう」という描写はグッとくるものがあります。
    • ラスボスヒロインは体験版第一弾においてはホスピスのように描かれていましたが、第二弾では記憶リセット系のように読み取れます。睡眠とかヒュプノスは一時的な死であり、記憶の継承があるからこそ、その継続性を認識できるという解釈で捉えれば、記憶の断絶は精神的な死と一緒という展開カナー?とも思ってポチポチと読んでいました。日常において生活している分には普通だが、夜や休日には堪らなく人恋しくなるのだとかなんとか?で来て欲しくないと口ではいいつつ主人公くんを求めてしまうラスボスヒロイン。そして主人公くんが言霊遣いという神性を帯びているが故に、精神的に通じあえたので、傷をくれと要求されます。こうして破瓜の痛みを与えてやることになるのでした。しかし第二弾の終局部分で、ラスボスヒロインが禁治産者のように成り果てている様子が提示されます。そしてそのラスボスヒロインに対して啓示を行うもう一人のラスボスヒロイン。これは一体どのようなことを意味しているのか。多重人格か、双子か、思念体か。気になるところで体験版第二弾はお開き。