1.日米開戦と真珠湾奇襲作戦
(1)日露戦争以後の対米戦方針
- 「漸減作戦」によって米艦隊を減勢し「艦隊決戦」によって決着させる
- 兵器開発…膨大な予算を投入し、大艦巨砲を整備し、射程の長い魚雷及び航続距離の長い飛行機を開発し、決戦の演習を重ねる。
(2)山本五十六の戦争構想
- 主張:米海軍を撃破すれば早期和平が期待できる
- 新規性:従来の漸減邀撃作戦から転換…開戦劈頭(へきとう)に米艦隊を撃破。立ち直れないほどに士気を砕いてしまう。
- 投機的博打的作戦
- 何度図上演習をやっても艦隊決戦では勝てない。そのため艦隊決戦にも等しい攻撃力を開戦時に米艦隊に浴びせ、緒戦で勝利をあげ、主導権を握ればなんとかなるだろうと考えた。
- 先制攻撃
- 強大なアメリカを敵に回す戦争においては先手必勝策をとり、主導権を握ってどんどん攻め込む積極前身以外に勝ち目はない。
(3)総力戦の実態
2.珊瑚海海戦
(1)真珠湾後の方針
- 破竹の勢いで侵攻 占領地域をものすごい勢いで拡大
- 「次々にたたいていかなければ、どうして長期戦ができようか。常に敵の痛いところに向かって猛烈な攻撃を加えねばならない」
- 先手先手を打って相手の弱点を攻め続け、反撃の機会を与えてはならない。
(3)島嶼戦への転換
(4)珊瑚海海戦 昭和17年1942年5月7日〜8日
- 背景:ポートモレスビーに進出した米陸軍航空隊がラバウルの海軍航空隊を攻撃
- 戦闘:MO作戦は漏れていた可能性が高く米機動部隊が対応
- お互いに動き合う両機動部隊が空母艦載機で攻撃をかける世界初の海戦
- 結果:日本軍が計画したMO作戦が中止され、日本軍初の挫折となる。
- MO作戦を阻止した米軍の戦略的勝利
- 戦訓:戦闘形態の転換点となる
- 日本海海戦のように並行する戦艦中心の敵と味方の艦隊が撃ち合う近代海戦を過去のものとし、航空機が相手の艦隊に対して、爆弾、魚雷を放つ新しい戦闘形態に切り替わる。
- これまで敵の攻撃は砲撃によるため横又は斜め上から加えられたが、最新の攻撃は空から加えられることとなった。二次元戦から三次元戦への転換。
- 攻撃の中心が戦艦から空母に移り、艦隊の陣形でも空母を守る態勢に転換する必要性に迫られる。
- 山本五十六の態度
- 戦訓を真面目に聞こうとせず。部下たちが第四艦隊や第五航空艦隊を罵倒するのを止めようともせず黙認。
- 米海軍の戦訓分析
3.ミッドウェー海戦 昭和17年1942年6月5日 大敗北
(1)山本五十六の強い希望
- 連続攻勢策を進める山本が強く希望して作成
(2)杜撰な計画
- 珊瑚海海戦で米海軍が見せた急降下爆撃を阻止するためには、航空機による防空と艦船の対空砲による分厚い弾幕を張る必要があったが、海軍は特別な対策を講じず。
(3)いわゆる「運命の5分間」とは何か?
(4)根本的な敗因とは
- 米海軍の急降下爆撃により一度に三隻もの空母を失い、敵艦隊に対する攻撃能力を失ったこと。
- 空母四隻をかためて置くという伝統的艦隊編成をして海戦に臨んだこと。
- 前列に巡洋艦「筑摩」「長良」「利根」の三隻を配し、後列に戦艦「霧島」「榛名」を配し、その間に空母四隻を前後二列に配する陣形。
4.島嶼戦と基地航空戦
(1)薄まる山本の存在感
5.山本のラバウル進出
(1)山本の現状理解
- 島嶼戦の激化という事態に対して、山本が基地航空隊によって不利な戦況を克服する以外にないことを理解しつつあった。