アストラエアの白き永遠 Finale-白き星の夢-「白羽幸シナリオ」の感想・レビュー

北欧神話をモチーフとしながら、火星の雪氷生物と人類との共存を目指すはなし。
本編ですっとばされた終局部及び真ヒロイン白羽幸の伏線を回収していく。
火星の雪氷生物は自らが存在するために寄生した人類の命を削ってきたことを知り愕然とする。
こうして人類との共存を諦め自らの消滅を選ぶのだが、そこへ主人公くんメンバーズが集結!
個人に寄生して命を吸い取ってしまうなら、みんなと契約して負担を軽くしようぜと大団円。
以上により、雪氷生物と人類は共存の道を選び取り、雪氷生物は消滅を避けるのであった。

真ヒロイン;白羽幸の過去編フラグ回収


  • 複雑な家族関係と白羽幸の異能獲得
    • 火星の雪氷生物である雪々は白羽幸に寄生して命を削ってきたことを知り、姿を消します。また雪々は自分の存在が幸と主人公くんの姉弟の絆を阻害してきたことを気にしており、二人の関係性の構築を望むようになります。この雪々の願いにより二人は同棲をし始め、絆を深めていきます。また二人は夢の世界で滅んだ火星の原風景を体験することになるのですが、その原風景のセカイで姿を消した雪々を探していくことになります。この夢世界で雪々を探す過程で、白羽幸の過去話が回収されていくという構造です。
    • 幸の家族関係は複雑であり、実父は死に、学究肌の母親は研究に打ち込む毎日を送っていました。身体の弱かった幸は孤独に苛まされており、寂しさを感じていました。そんな幸に、火星探査機が持ち帰った物体がもたらされます。友達の居なかった幸は、この火星の物体に友達が欲しいと願うのでした。こうして誕生したのが、幸の姿を模した雪氷生物;雪々だったのです。しかし雪々の存在維持のためには他者の命を削ることが必要であり、ここでは絆を結んだ幸が犠牲となったのです。また火星の雪氷生物は自らの存在を伝播・拡散させるために「異能」という形式をとります。こうして異能保持者が他者と絆を結ぶとネズミ講式に異能が拡散していくことになったのでした。



  • 主人公くんの出生秘話
    • 白羽幸はある時、母親のお腹がふくらんでいることに気付きます。なんと母親は研究職仲間で妻子ある男;蛍研究員と不倫をしていたのでした。こうして誕生した異父弟が主人公くんだったのです。しかし、ここで悲劇が襲い掛かります。それは上記のとおり、幸が火星の物体に友達が欲しいと願い、雪々を生み出した時のことです。この願い事の際に、事故が発生し、幸と母親は死にかけます。この際、二人を庇ったのが、主人公くんの父である蛍研究員だったのです。幸は主人公くんに対して、父親を殺してしまったという負い目を抱え込むことになります。
    • そしてもう一つの不幸として、主人公くんは誰からも認知されませんでした。幸の母が主人公くんを産んだのは、幸が孤独にならないためでした。しかし、雪々を生み出したことで異能保持者となった幸の傍に居れば、主人公くんも姉弟の絆を結び、異能保持者となってしまうでしょう。幸だけでなく、もう一人の子どもも異能保持者として研究のモルモットになってしまう・・・。このことを避けるため、幸の母は泣く泣く主人公くんを施設に預けることにしたのです。



  • 雪々の罪悪感と大団円エンド
    • 不幸は続くもので、異能の感染を防ぐために施設に預けられた主人公くんが雪々と友達になってしまいます。雪々と絆を結んでもまた異能保持者となってしまうわけで、主人公くんは異能に覚醒してしまいます。折角の配慮が水の泡。こうして雪々は罪悪感に苛まれます。幸の命を削っていること、主人公くんの父親を間接的にとはいえ殺したこと、主人公くんを施設送りにしこと、にも関わらず異能保持者としてしまったこと・・・。こうして雪々は火星の雪氷生物と人類の共存を諦め、異能を回収して絆を断ち切ろうとします。主人公くんと幸の関係が北欧神話の月と狼に、人類と火星の雪氷生物の関係が北欧神話の人類と妖精の関係に例えられて表現されています。
    • 雪々は幸と主人公くんの関係を断絶してしまったがために、その贖罪として二人に絆を育ませました。そんな二人は、家族として雪々を迎え入れようとします。ここでの構造が星空のメモリアと類似していて、これで雪々が転生して二人の子どもになったらまんま同じやんけ!と思いしが、そうはなりませんでした。雪々が幸の命を削ってしまうというのなら、主人公くんの命も削って負担を減らしてくれ!?何?それだけじゃ足りない?じゃあ主人公くんの異能メンバーズも終結だ。みんなの命なら一人分の負担は軽くなるだろ?オールオッケーやねん。と、いうことで最終的に火星の雪氷生物と人類の融和は成功します。そして雪々は望まず異能を感染させられてしまった人たちから異能を回収すると、再び主人公くんたちの前に現れます。こうして主人公くん・幸・雪々の三人で家族になるんだエンドを迎えることになります。・・・けど地球が寒冷化して滅亡しかけてる設定は回収されないのでしょうかね。