はるるみなもに!「雷神√」の感想・レビュー

自分がこれまで依拠してきた「自己の存在証明」を捨てアイデンティティ崩壊した少女のはなし。
レゼンデートルがなくなり宙ぶらりんになった少女は愛する男に自己の生きる意味を見出す。
一方主人公くんは神職であることから女神を性的に見ることを抑圧してきたので嗚呼すれ違い。
思春期少年少女は性的欲求を忌避しがちで懊悩するも次第に肯定して受け入れられるようになるの。
最後は切り捨てたはずの過去のアイデンティティとの戦い。
捨てたからこそ手に入れたものがあると処女喪失により男の愛を獲得したことを説くのであった!

アホの子っぽいギャグ要素多めコメディ


  • 愛する男に自己を捧げることに生存意義を見出すはなし
    • 雷神様である芽以ちんは自己の能力を持て余していました。自分が雷が使えるだけ。どうしたら民衆からの祭祀を受けられるようになるのかしらんと。そんななか主人公くんへ淡い恋心を覚えるようになった芽以は、感情に悶えドッカンドッカン雷を落としてしまいます。
    • そんなわけで民衆から畏怖されるようになった芽以→→ショックを受けます。芽以は人民が畏怖されて祀られるのではなく、尊崇により祀られたいと願っていたのです。そんなわけで芽以は自己の能力を封印し、一から出直すことに決めるのでした。
    • 主人公くんはそんな芽以を陰に日向に支えていくのですが、ある時、芽以は封印した能力だけでなく、神力すら失っていることに気づきます。以来、芽以はやさぐれる毎日を送ります。自分の居場所に懊悩する芽以でしたが、周囲からのアドバイスにより、主人公くんに処女を捧げることで、主人公くんのココロに居場所を作ろうと立ち上がります。
    • 芽以に好意を寄せられて煩悶していた主人公くんも性的欲求を受け入れる決意を示すのです。これまでイイ子ちゃんであろうとした優等生が精神的に成長し性的欲求を受容できる展開結構好き。以上により、芽以は主人公くんに自己を捧げ、少女から女へと変化するのでした。
    • 主人公くんに膜を破ってもらった芽以は新たな神力を得て、民衆からの信仰も集め始めました。するとどうでしょう。なんと一度封じたはずの過去の異能が芽以オルタを形成し襲いかかってきたのです。しかし芽以は処女を捨て女となり精神的成長を遂げています。捨てるからこそ得られるものもあるんだ!!と論じながら過去を受容できる度量を示し、芽以オルタを鎮撫するのでした。変化後の芽以は雷神ではなく「電気の神」としての神性を帯びることになります。こうして処女を捨て女となり主人公くんに自己を捧げた芽以は新たな自分を獲得することができたのですとハッピーエンドを迎えます。