お泊り恋人ロリータの感想・レビュー

退廃的な炉利モノ。生きづらい人生を送る社会人男性と炉利少女が互いの存在に縋るはなし。
炉利ヒロインは議員先生の私生児で、存在を許されず隔離されニグレクトされている。
食事も満足に与えられず生きる覇気に欠ける少女を憐れんだところからフラグ構築スタート。
炉利少女から慈悲とか憐みにすぎない愛は邪魔になると指摘されるところは戦慄する。
短編なので設定が所与のものとされており、深くは掘り下げられないので、その分ライトになっている。

雑感

  • とかく人生というものは生きづらいものよ
    • 主人公くんは転職し、新たな職場に配属されるほんの少し前の空白の時間を持て余す社会人。深く掘り下げられてはいないのですが、断捨離をしていたりモノを増やしたくないと述べていたり前職は辛い物であったりと悲哀を感じさせてくれます。そんな主人公くんはたまたま広大な屋敷の隅にたゆたう炉利少女と邂逅するわけです。最初は警戒する主人公くんでしたが、立ち話をする中で親睦を深めていきます。しかしその後から深刻な感じになっていくのです。炉利がマンションに上がり込むようになり、さすがにどうかと思っていたおり、炉利少女が私生児でありニグレクトされており存在が邪魔なモノであることが判明します。人道的立場から主人公くんは食事と安らぎを与え、炉利少女も安寧を得ます。しかし炉利少女も馬鹿ではなく、今はよくても自分の存在がのちのち主人公くんにとって邪魔になるであろうと指摘するのです。この描写が個人的には一番印象的です。これを聞いた主人公くんは炉利少女に深くかかわる決意をしたのでした。この作品のテーマとなっているのは「半分」にする思想であり、多分に抽象的に語られるのですが、存在を否定されるモノたちの瑕の舐め合いというか支え合いが描かれています。