なかじまゆか先生の制服楽園シリーズにおける店長本の面白さについて

数ある制服楽園シリーズの中でも屈指の名作と言えるのが店長本です。設定がきちんと練られていて素晴らしい。
ツンデレ男:店長とおっとりお嬢様:広野さんの絡みがコンセプトのファミリーレストラン馬車道」本です。
本社でのゴタゴタの責任を擦り付けられ人事課長の実兄により場末の店舗に飛ばされた店長が主人公。
くさくさしながらも大叔父(祖父の兄弟)の縁故採用の為、辞めるに辞められない日々をおくるだけの人生。
そんなところにぽんこつ新人:広野沙織さんがやってきて、どったんばったん大騒ぎするハートフルストーリーです。
時系列的には18→15→24orEX08かと。店長の左遷の過去が描かれていないので、そこの所が気になります。

制服楽園18(2007年8月)

  

  • 左遷され心荒む店長とヘッポコぽんこつガール
    • 店長の人物像の掘り下げが行われるのが18巻です。場末の店舗に島流しとされた店長は心が荒んでしまい周囲からの歩み寄りも受け入れようとしません。そんな中、新たなる新人が配属されることになりました。実兄に対する怨恨に囚われていた店長はその新人が自分のはとこだという説明を聞き逃してしまいます。幼年期補正により新人の広野さんは最初から好感度MAXだったのです。当初、店長は広野さんのことを人事課長である実兄によって差し向けられた刺客か何か(スパイ、監視人、美人局)だと思っていましたが・・・。なんと広野さんはヘッポコぽんこつガールだったのです。仕事が遅い・要領が悪い・ミスが多いの三重苦に直面した店長は「使えない新人の厄介払い」だと認識し、カミナリを落とす毎日。しかし怒鳴ってばっかりいたらビクビクするようになってしまい、接客態度マズイでしょうとコックに諫言されるまでに至るのです。

  

  • 広野さんの成長
    • ある日店長は発注ミスをしてしまいます。自己の能力には自信がありそうなタイプなため店長の精神的なダメージは大きい。そんな中、なんと広野さんがフォローで発注していた為、事なきを得たのです。この時、店長は広野さんを褒めるのですが、店長の愛情に飢えていた広野さんはやる気マンゴスチン状態へ。ビクビクおどおどしていた姿はなりをひそめ、前向きに仕事に取り組めるようになっていったのです。広野さんが見せる笑顔に店長も思わず見直します。

  

  • 重要な伏線〜如何にして店長は島流しとなりしか〜
    • これまで発行された作品では語られていないのですが、断片的に左遷された描写が出てきます。その島流し事件での重要人物となったのが、実兄である人事課長の他にもう一人いて、「桝谷」なる女性の影がちらつくのです。しかし「本社から飛ばされた」という事実に店長は心が荒み切っており、兄や桝谷さんの歩み寄りを一方的に拒絶しているだけのようにも感じられるのです。実際逆恨み説や勘違い説というオチになりそうかも。(この店長左遷話は非常に気になる伏線であり、十年後くらいには伏線回収の話が描かれると良いなぁと勝手に思ってます。)
    • 本社の桝谷さんの電話を店長に繋いだことから、広野さんはバイト社員さんたちから店長が左遷された噂を聞くことになります。広野さんは本社からの評価が気になり人事課長が何か言っていたかを問うのですが、店長からのフォローを聞き嬉しくなってしまうのです。ですが、調子に乗った広野さんは店長の古傷である左遷について述べてしまい逆鱗に触れることになるのです。

 

  • 店長に対する広野さんの愛
    • 苛立つ店長に対して、あくまでも自分の芯を通すところが広野さんのメインヒロインっぷり。店長に拒絶されるがままであった「実兄&桝谷さん」に対し拒絶されてもなお追い縋ってくれる「広野さん」が対比的に描かれているのですね。店長の子どもっぽい依怙地さにあくまでも付き合ってくれる広野さんのいとしさよ。店長に強姦じみたことをされても、むしろ自ら望んでいたと受け入れてくれる広野さんにはグッときますね。
    • で、最後はネタ晴らし。縁故で採用させてくれた大叔父(祖父の兄弟)が社長を連れてやってくるのですが・・・なんと広野さんは大叔父の孫、つまり店長と広野さんはひ孫同士、すなわち「はとこ」だったのです。ここで冒頭のシーンを見返すと、幼少期の回想「お嫁さんになるって決めてたのに」と繋がるのですね。最初っから好感度マックスなのでしたというオチ。

制服楽園15(2006年11月)

  

  • 酒乱本その1
    • 伝票チェックが合わずイライラする店長とそれに付き合って残業する広野さん。ついにチェックが終わって、軽くアルコールでもひっかけようぜと店内飲みへと発展します。意外といけるクチであった広野さんは店長が酒のツマミを作っている間に、何本も缶を空けていました。そして酒乱展開となり、酔っぱらった広野さんは自らの乳房に酒を注ぎ店長を求めるのです。「あのトキみたいにまた襲ってくらさい」とおねだりをし、18巻で描かれることになる強姦展開を完全に肯定しています。そして絆された店長は身体を求めます。私はこの本で初めて「わかめ酒」を知りましたよ。
    • 最後のオチは記憶改竄。広野さんは行為の記憶をばっちり覚えているのですが、自己の都合の良いように記憶を改竄していました。すなわち広野さんの方から店長をおっぱい酒で誘ったにも関わらず、店長が求めてきたと解釈していたのです。これを聞いた店長はお前とだけはもう二度と飲まんと宣言するのでした。まぁEX08でまた飲みますけどね!!個人的に朝チュンした後、お店の制服に酒をぶちまけた匂いがとれないよぉとドライヤーをかけるシーンが結構ツボに入りました。

制服楽園24(2008年8月)

  • 広野さんがストーカー被害に遭い、店長と車内生殖活動する。
    • 広野さんは業務にも慣れて戦力となり、店長とも少しずつ関係性を深めていました。そんな中、制服目当ての客たちがウェイトレスにチョッカイを出す問題が発生します。懸念を抱く店長でしたが、彼らは店にカネを落としてくれる良いカモなのです。上手くあしらうことが出来れば売り上げもウハウハさ。と、いうことでウェイトレスたちにも支えられ利潤追求を目指します。しかし某巨大掲示板や個人ブログで広野さん特定個人に粘着する輩が現れ、ついにストーカー被害にあった挙句、強姦未遂にまで発展してしまうのです。犯されかける広野さんのもとに颯爽と店長が駆け付け俺の女宣言をしてフルボッコにします。恐怖に囚われた広野さんは店長との肉体的接触に癒しを求めカーセックスをねだります。



  • 広野さん積極的おねだり
    • おっとりお嬢様としてキャラ設定されている広野さんですが、なかなかどうして芯がお強くあらせられます。特に店長に抱いて欲しくてストレートには言い出せず、二人の酒乱の想い出となっている記号を通して「お酒は飲まれないのですか」と問い掛けるシーンは破壊力バツグンです。そして連れ込み旅館と気付かずに、旅館が多いですねと発言し意味を教えられ恥じらいつつも店長に誘われると嬉々として喜び尚且つ次の日にはやる気マックスファイヤーになるなどをとても可愛いですね。さらに車内で自分は店長のモノ発言をしていたり、だいしゅきホールドをかましたりとやりたい放題です。

制服楽園EX08(2012年11月)

  • 酒乱本その2
    • 発注ミスをして大量にビールを仕入れてしまった広野さん。コックは自家消費と称して自分らで飲み始めるのですが、広野さんにもお酒を飲ませてしまいます。一見すると大丈夫な様子の広野さんでしたが・・・。皆が帰ると酒乱発動!責任を取りますと称して店長の一物を咥えるのです。あらやだ奥さん。この子達一緒にAVを見るほどまでの仲になっていますよ!そして行為後、タクシーを呼んでやるという店長に対して、「まんざらでもなかったですよね?」と発言するコマが酔っぱらっていることもあり、とてもステキな表情となっています。