いちはや『300万円欲しい』を読んだ雑感。

いちはや先生が描く相変わらずの不幸系少女歪んでる慕情シリーズ。
不道徳的でありながら、救われているんだかいないんだか、味わい深い作風が醍醐味です。
今回の話は、祖母の入院費を稼ぐために私立に入りたいと嘘をつき唯一頼れる社会人に縋ります。
しかし祖母は死んでしまい孤独に生きていくことになった少女を社会人が救うのです。
やってることは非合法ですが、どうにもできない絶望の中に幸せを見出す所が頽廃的でとても良い。

雑感


  • 唯一の肉親である祖母の死に際における最期の言葉を社会人が叶える
    • 死期が近い祖母を入院させても徒に苦しませるだけで無駄であると言われながらも、一人ぼっちになりたくないという己のワガママにより延命治療を望んだ少女。カネを稼ぐために、かつてアパートの隣に住んでいた社会人を頼ることになります。私立の高校に入りたいと嘯き肉体を売るのです。しかし祖母は死亡。これ以上お金はいらなくなります。不思議に思った社会人がかつて住んでいたアパートを訪ねると、その真相を知ることになります。ひとりぼっちになった今、高校になんていっても仕方がないと嘆く少女に、社会人は高校生になって欲しいと願うのです。その願いこそ、祖母が死に際に残した「高校生のお前をみたい人がきっといるよ」との言葉。図らずも社会人がこの言葉を叶えることになり、少女の心を打つのでした。この展開は『妹は受験に落ちた』と同じパターンですが、男性キャラのカッコ良さと少女に与える会心の一撃が味わいを増すのです。まぁやってることはエンコーというか春を売る行為ですが。背徳感溢れてしまいますね。絶望感とか退廃性とかそういのが素晴らしい。