雑録

鬼が来る。「高嶺晴子シナリオ」の感想・レビュー

不幸な家庭環境に育った姉弟話。無能系我儘お姉ちゃんに振り回される主体性無き弟の図。
基本はギャグゲー・バカゲーなノリですが両親に愛されなかったことがフラッシュバック。
結局、主人公くんは自分の身を守りたいだけで姉に追従しているにすぎないことが暴露される。
主体的意志で姉を愛そうとした束の間、やけくそお姉ちゃんから怒濤の愛の告白を受けるのだった。
晴子の人物像がぶっ飛んでいるので受け入れられるかどうかが分かれ目かと思われる。

高嶺晴子のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • ぶっ飛んだお姉ちゃんと不幸な家庭環境による人格形成
    • 不治の病に犯されるお姉ちゃん。理不尽な要求をする我儘お姉ちゃんに弟である主人公くんは振り回されっぱなし。体験版ではそんなお姉ちゃんが死亡寸前となり死ぬ前に身体を重ねますが神の力で蘇生されます。製品版では生き延びたお姉ちゃんとの生活を送るのですが、超絶ダメ人間な無能っぷりを見せつけられていきます。しかし主人公くんはあくまでも従順にお姉ちゃんに従うのです。幸せな二人の筈なのですが、主人公くんからお姉ちゃんを求めようとはしません。主体性が感じられないのです。そんな折、過去の不幸な家庭環境がフラッシュバックしていきます。両親は二人のことを愛しておらずルールで縛り付けていました。主人公くんは小器用に言いつけをこなしたのですが、晴子は失敗してばかり。自分たちは愛されていないことに気づいているのに、親に尻尾を振る弟のことを晴子は憎んですらいました。そんな二人の関係が変化するのは晴子が不治の病になったことがきっかけでした。両親は治療費を巡って醜い言い争いの末、離婚。この時、晴子は本当に弟が打算抜きで自分を信頼してくれていることに気づいたのです。そして二人は祖父母の家に引き取られることとなったのでした。


  • 不治の病の原因と一回りしてブチ切れてやけくそとなったお姉ちゃん
    • ここで突然ですが存在と認識のはなし。世界のあらゆるものは人に認識されて初めて存在するのだというお話が挿入されます。たとえ存在していたとしても認識されなければそれは存在しているとは言えないと云々。晴子の不治の病もそれと同じであり、両親から愛されなかった晴子は、愛されることで存在する幸魂(さきみたま)が欠落しているのだとか。そして本来ならば誰よりも主人公くんがお姉ちゃんを愛してあげなければならないのですが、主人公くんには主体的な意志が感じられないのです。幼少期に両親に捨てられた過去を持つ主人公くんは姉からの愛を失いたくないがゆえに、姉の望むがままに振舞ってきたにすぎなかったのです。晴子の不治の病が再び発動して初めて、そのことを神に教えられる主人公くんの場面は印象深いですね。しかし終局部では主人公くんが立ち上がるよりも先に、晴子がやけくそとなり、屋上からスピーカーで怒濤の圧倒的なマシンガントークタイム。主人公くんに自分を愛していると言えと要求するのです。こうしてトラウマから解放された主人公くんは自ら晴子を求められるようになったのでした。