史料判読能力養成講座005 幕末外國関係文書を読む その3 「堀田正睦、条約勅許の為に上京の折、江戸からの知らせでハリスが再出府したことを聞く」

前回までのあらすじ

  • 敬意表現の復習
    • 闕字<平出<抬頭
    • 欠画、改名
  • 改名の具体例
    • → 松田伝十郎が松田七郎左衛門と改名した。
      • 松田伝十郎とは、間宮海峡見つけた人。報告した人が間宮林蔵。三丹交易を取り仕切った人が松田伝十郎。
      • 三丹交易とは→とにかく中国は毛皮が欲しかった。満州の宮廷とか。毛皮を求めてやってくる。サハリンのアイヌが毛皮(テン・キツネ・カワウソ)をとる。取りつくしちゃったのに松前は狩猟圧力をかける。アイヌは負債を抱える形で中国物品を仕入れる。ウリチの人が負債を返してくれという→人身売買。松田伝十郎はこの状況をみてマズイなと思い、江戸に報告する。幕府も、それはマズイ思う。樺太アイヌが日本に帰服してくれないと困る。千島の人はロシア正教に帰依しちゃってるし。幕府がお金をだして、負債をはらう。サハリンの南端のシラヌシに役所を置く。松田はスゴイ!!ゴロウニンの警備したりもする。
      • 蝦夷地を松前に返した時に職場がなくなり幕府に帰る。勘定奉行所の経理担当者に移動する。
      • そこで将軍様の孫が誕生!で、孫が「伝」の字を使ったので、名前を改名→→「伝十郎」を「七郎左衛門」と変える。 
三丹交易について

国史大辞典
山丹交易 さんたんこうえき(洞 富雄)

  • 間宮林蔵
    • 文化六年(一八〇九)に間宮林蔵が赴いた木城(満洲仮府)は北緯五一度一五分のデレンに仮設されていた。
  • 交易内容
    • 黒竜江下流域の住民である山丹人は、満洲官人から賞賜された品物や、同時に木城で開かれる交易市場で満洲人から得た物資、すなわち古官服・錦・綿織物・玉・煙管・扇・銭などの中国品をもたらして樺太へ渡り、カラフト=アイヌや北海道の宗谷アイヌを相手に、貂・水獺・狐などの毛皮とか、日本の鉄製品(鍋・針・斧など)・酒・米・煙草その他と交易した。中国製品の古官服の一部や錦は、アイヌから日本人の手に渡り、蝦夷錦とよばれて珍重された(蝦夷錦ははやくも十二世紀中ごろの『中外抄』に「えぞいはぬ錦」とみえている)。また、玉は樺太玉とよばれて根付・緒締などに用いられた。
  • 交易場所
    • 山丹交易が行われた場所は、寛政二年(一七九〇)以来、樺太南端の白主(しらぬし)に限定されたが、当初は特に決まった所とてはなく、山丹人はときには本島の宗谷まで来航した。またオロッコの住む北樺太東岸へも渡来し、少量ながらその交易品を携えたオロッコが、アニワ湾のクシュンコタンまで南下して、アイヌと交易した。
  • 負債と幕府の官営化
    • カラフト=アイヌと宗谷アイヌは山丹人に莫大な負債があったが、樺太が幕府の直轄地に入った翌々文化六年、幕府はその負債の大半を山丹人に支払い、山丹交易を官営に移した。
  • 終焉
    • 十九世紀の半ば黒竜江下流域がロシア領に帰するに及んで、山丹交易はついに終りを告げた。
  • [参考文献]
    • 『北海道史』、『(新撰)北海道史』、末松保和『(近世に於ける)北方問題の進展』、洞富雄『北方領土の歴史と将来』、竹内運平「山丹交易に関する考察」(『国学院雑誌』五九ノ五・六)、白山友正「山丹交易事情」(『経済史研究』四〇)、大友喜作「山丹貿易と工藤平助」(『仙台郷土研究』三ノ六)、高倉新一郎「近世に於ける樺太を中心とした日満貿易」(『北方文化研究報告』一)、菊地新一「近世における山丹交易」(大東文化大学『経済論集』六)、〓柱臣「我国歴史上対黒竜江流域的管轄和其他」(『文物』二四二)

本文

其 時 又 者 其 以前 ニも 調判 可致 旨 等
(ソノ トキ マタ ハ ソレ イゼン ニ モ チョウ ハン イタス ベク ムネ ナド)
【その時、または、それ以前にも、条約を結ぶであろう ことなど】

当 正月 五日 書面を 以 申 達 置
(トウ ショウ ガツ イツカ ショメン ヲ モッテ モウシ タッシ オキ)
【今年の正月の五日、書面によって、申し達し置きました。】

右 日限 二も 相成 候 間 其許 病後
(ミギ ニチゲン ニ モ アイナリ ソウロウ アイダ ソコモト ビョウ ゴ)
【みぎにちげんにもなりましたのですが あなたが 病気の後】

※1月5日に書面で2ヵ月遅れるよと通達してあるが、その2ヵ月が立とうとしている。

押而 再出府 被致 候 由 等 委細 江戸表より 申越 令承知 候
(オシ テ サイシュップイタサレ ソウロウ ヨシ ナド イサイ エド オモテ ヨリ モウシコシ ショウチセシメ ソウロウ)
【押して 再出府 いたされたとのことなど 細々としたこと 江戸から来て 承知いたしました。】

然ル処 其許と 委任之者共 初発より 対話 之 趣者
(シカルトコロ ソコモト ト イニン ノ モノ ドモ ショハツ ヨリ タイワ ノ オモムキハ)
【なので、あなたと(わたくし=堀田が)委任した者どもが、最初から対話をしてきた{※1月5日以前から下田奉行がずっと対話している}趣旨は】

チェック漢字

  • 而