4.被差別身分を考える
前回までの復習
- 領主的土地所有
- → 将軍から封じられた土地から年貢を徴収する。蔵米知行制は実際に土地所有していなくても、領主的土地所有に内包される。
- 百姓的土地所有
- → 土地で生産し、生産物から年貢を納める。身分として町人とかキコリとか含む
- 士農工商えたひにん
- 士→領主
- 農工商えたひにん → 土地所有形態で考えれば百姓
- 武士は領主なので、天皇も寺社も入る
- 侍といってもてもいろんな身分の侍がいる
- 身分自体が分かれているが、 流動的な側面もある
- 家産をつぐという側面では固定化されているが、継承される家産の中を相続や養子本所編成により個人により流動する場合も少なくない
- 特徴の一つ
- かっちりした固定化の中を個人がかなり流動する
- 事例:渡辺左京 樋口一葉のパパノリヨシの話をした。
今回
- 職能…触穢(しょくえ)の観念 前近代日本を貫いた観念
- 【穢】これが何の原理にもとづいた和風文化の観点か?
- 何が穢れなのか? 簡単に言ってしまえば 死と血に関する忌避観念
- 死や血に関連する職業 これを家職とした人たち それに従事するひとたち
- 代々継いできた家に生まれた
- 家職/従事 ⇒ エタ/ヒニン
- 土地所有の問題ではまったくなくて観念
- 医師は身低い
- →医師は江戸時代は出家している 俗人にあらざる存在 俗世から離れている存在 医師に対する蔑視 特に藩医や町医者を蔑視
- 血や穢れはナンセンス?
- けがれていると思うか思わないかだけかのはなし
- 穢れ【血・死】→公家社会の観念
- 武士だって血や死にまみれているのでは? まみれているから公家から下に見られている
- 服忌令 忌に服する 忌中
- 産穢 子どもが生まれてしまってすみません 自分に産穢のケガレがついたから出勤できません 全国的に幕府の例が行き渡っていた
- 相撲の土俵の例 →土俵の上に女性のぼれないよ事件 根本的にはケガレの観念がある 女性は穢れた存在である → 女性に産穢・血荒れ・流産の属性 → 女性という存在がけがれている
- 日本の被差別部落の問題はまったく同じ観念に基づいた歴史的な問題 伝統的な問題 全く科学的ではない。
- それを私たちが未来に継承していくのかどうかという問題 今生きる私達の問題
- 日本史という勉強をしたからには、どういう経緯でケガレの観念が機能してきたのかを知る必要がある そしてそれは観念にすぎなく科学的なものではない
- ケガレの観が変えたの説明を致しました
穢れにもとづいた法令が存在する
- 江戸幕府はどのように家職を決定していたのか?
- 支配・編成の問題 → 本山・本所編成を適用する
- これとおんなじ仕組みを幕府はえたひにん編成に使う。
- えたやヒニンの本所
- えた頭、ヒニン頭をつかう。えた頭やひにん頭の認定を受けた人が被差別身分つぃて編成されていく。
- えた村 村の中のナントカという地区 → えた頭の中に編成される
- たとえば本州の博物館で特集した場合は、えたの地域をクローズドにする → そこから分かってしまう
- ケガレは移るという考え方 最後に残るのは、結婚差別と就職差別
- 関西では婚姻の際に5親等以内の親族はすべて釣り書きする。食料加工業に就職する人もかなりアレされる。
- ケガレは移るという考え方 最後に残るのは、結婚差別と就職差別
- 身分の可視化 → 明確にわかるようになっちゃった これが江戸時代なんですね
- 皮革産業 → 江戸幕府、武士の社会は皮革産業がないと動かない
- ケガレを祓う清掃関係もヒニン
- 罪 死刑を執行する場合 刑の執行・死体処理 刑吏 触穢に抵触する職業 比較史
- ケガレを祓うということで 清掃に関するもの → ヒニン
- 京都駅の南側の地名の村のヒニンの人達は二条城を掃除をする権利をもっている
- 清掃はエタやヒニンでないとでいない職業
- ミナミオオジムラは皮革産業の一大産地 雪駄は皮革産業でないとできない 一般の人がお婿さんにはいってエタヒニンになる
- 江戸時代において差別はあるが家産は特権・独占できた
- 物質的な清掃 穢れを払うのは清掃だけではなく
- 予祝→良い一年でありますように! エビイチソメノスケソメタロウ師匠 三河マンザイ マンザイというのは愛知県からお正月になるとやってきてヨシュクコウイをして穢れを祓っていた
- 芸能の一環 芸能っていうのは触穢に抵触すると認識されていた。
- ゴウムネガシラが認めてはじめてできる仕事ですよ!
- 舞台にあがる芸能人はすべて管理下に置く 免許 ゴウムネガシラの鑑札を受けなさい 受けるとヒニン身分に認定される
- ゴウムネガシラの一番の標的は席亭(ヨセノコウギョウヌシ)
- 芸能人を寄せにあげて生活しているから鑑札をとってもらわないと困るよ しかし席亭は江戸の町人 鑑札貰った瞬間エタヒニンになっちゃう 強硬に抵抗 → 江戸幕府が終わるまで論争が続き結論が出ず
- 【?】結論が出ずにどうだったの?
- 函館が幕府の直轄領となった時
- →刑吏が必要になった時 秋田藩から連れて来た→エタ
- 北海道は身分問題はないが、民族問題(アイヌ)はある。
- 同和問題は身分に基づいた差別の問題
- エタの人達は職業を担保されているので、職業をしっかりやれば蓄財は可能なんです
- 勝海舟の事例
- 差別はあれども経済的に保障されていた。
- ※ただし農村荒廃により江戸に流入して乞食を行いエタヒニンに内包された人々は除く
- 明治時代には身分解放令(四民平等)
- 身分解放令は職業上の特権を奪うためにだした 法制上差別はなくなりエタヒニンは平民となった 壬申戸籍には新平民と書かれている(現在は絶対に見せられない)
- しかし触穢の観念は一片の法令によっては変わらない 持っていた特権は喪失したのに
- 既存の職業には一般の人々が集中
- 差別は残り 経済的特権は失われ 貧困に直面する
- そして現在にも続く被差別部落の問題
- 差別と貧困の中で水平運動を展開していく(近代のはなし)