Contents Tourism Planning & Management 2019(003)「ファンツーリズムの事例研究の紹介」

今回のコンテンツツーリズム論演習は、事例研究の紹介。
研究として認められていないコンテンツツーリズムの難しさが感じられた。
(博士課程は論文の査読を通すことが博士号取得の条件になるため)

教授からのお言葉

  • コンテンツツーリズムは「価値観の共有」がとても重要
    • ヘリテージツーリズムやエコツーリズムなどは価値が一定程度普遍的なので誰が行ってもそれなりに価値がある。
    • しかしコンテンツツーリズムは思い入れが人それぞれ違う。キョーミ無い人にとってはひたすらキョーミない。
  • コンテンツツーリズムのメリット
    • リーチしていなかったマーケットがリーチしてくれる 
    • 東京都民は埼玉県のグルメにキョーミが無いが、薄い本にすることで東京都民が興味を持つ。

ティーチングアシスタントによるファンツーリズムの紹介

  • 先行研究・旅行形態の変化
    • 1960年代・70年代 発地主導 → マスツーリズム。旅行会社メイン。修学旅行型。秘宝館や蝋人形館などの施設が生み出された。
    • 1880年代・90年代 着地主導 → 観光客を呼ぶ地域が主導。ニューツーリズム。エコツーリズムなど。
    • ゼロ年代以降 旅人主導 → パッケージングされたものでもなく、地域が呼んだから行くのではなく、旅をする人が主導になって旅行場所を決める。
  • 教授からの補足
    • 旅行形態の特徴はあくまでも、当時のトレンド・主流であり、ガラッと変わるわけではない。
    • なぜこうなっていったか? 情報環境・メディアの発達がある。 
      • かつてはツアーを組む・プランニングするといった企画運営は旅行代理店や交通会社の仕事であった。顧客は旅行をするにはJTBにいった 
      • スマホ以前・スマホ以後は大きい。メディアと情報環境が大きい
    • ツーリズムが生まれるにあたってSNSが大きな影響を及ぼしていることに注目している
  • コンテンツツーリズム研究は日本では研究として受け入れられ難い 
    • 都市計画学会、コンテンツツーリズム学会、日本アニメーション学会、情報系の学会などがあるが、色々と問題がある。 
    • きちんとした査読体制になっていない。学術界での評価は定まっていない。査読に出しても1年以上査読がないというパターンがある 
    • 海外のwebジャーナルや文化人類系の学会には面白く思っていただける。アメリカンの文化人類学会など海外の方が良い。期限が自由で査読も早い 
    • メディアアンソロポロジー(グレイバーン先生より) アンソロポロジー 
  • 応援上映とコスプレについての基礎知識
    • 「遠征」は研究されていない概念。従来は宿泊を伴うファンツーリズムのこと
    • コスプレ 
      • コスチュームプレイをするために遠い地域まで行く 経済・産業的な部分 旅行会社が遠征向けパックを売り出している 遠征は研究界隈では取り上げられていない
    • ファンによる遠征とはいったい何なのか?を明らかにしたい!
      • コンテンツツーリズムは聖地巡礼だから巡礼であり遠征は見過ごされて来た。 遠征は戦いに行く 観戦者が遠征に行くというようになったのか? 
    • 聖地巡礼ももともとは宗教 → 「遠征」「巡礼」「参戦」などの業界用語がいつから転じて使われ始めたのか語源を探る必要がある →横の繋がり 縦の繋がり ニッチな研究はただの報告で終わってしまう 社会現象・大きな流れを意識する必要がある 
    • シネコン 
      • 応援上映 日本の映画は静かに見てください という状況だったが・・・
    • 声援 
      • 映画の登場人物の呼びかけ・映画の登場人物との会話・映画の登場人物の一人となる
    • サイリウム芸 
  • 教授のまとめ
    • 現代のコンテンツツーリズムは4G的な現象。個別の事例に安易に飛びつくのではなく、メディアと情報環境がツーリズム与える影響を考慮することが重要。
    • 5Gになった際にどうなるのか?→埼玉県観光課の新たなる取り組み→次は「e-sports」だ! 
    • 賞金が法律上どう設定できるのか? 1億1千万の賞金が出る