『シルヴァリオ ラグナロク 体験版』の感想・レビュー

Lightのお家芸!設定厨的架空歴史を舞台とした中二系異能バトルモノ。
個人的に、難解な漢字にカタカナのルビを振るバトル展開は、かなり苦手。
冒頭にのっけから入るトンデモバトルの時点でちょっと辟易気味でしたが・・・。
社会システムや階級制度における個人の在り方に関する問答はとても面白い。
恩恵に依存する凡庸なマペットが自我を持ち教皇から説教される場面が割と好き。
底辺階層全ての大衆的欲望を満たすという思想を言い出すところとかグッとくる。

体験版の使い捨てだが、恩恵に依存する操り人形キャラが自我を持ち葛藤する所とか好き

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  • 凡庸なる全ての社的弱者の救済
    • 中二系異能バトルや設定厨的世界観についてはよく分からないのでひとまず置いておこう。ここでは主人公に討伐されることになるかませ犬的敵キャラ:ルーファスについて感想を述べたい。
    • ルーファスは国政指導者に踊らされている操り人形であり、イケメンかつ小市民であることからマペットに選ばれることとなった。不死の加護が与えられ、様々な異能が付与され、軍のナンバー2にまで上り詰める。階級社会において底辺階級から貴族階級に成り上がったその姿は市民に成功譚という希望を与える装置であった。ルーファスは当初こそ、小市民が貴族になった際に叶える凡俗な欲望を謳歌する。富、名声、爵位、女、食事などなど安易な欲望を満たしていくのだ。しかしある時、それらは全て与えられたものであり、何一つ本当に自分のものなどないことに気が付いていく。自分の欲望すらコントロールされており、先回りして充たされるのである。
    • 明確でないフラストレーションを抱えるルーファスは、教皇スメラギから説法を聞くことになる。曰く、成長には修行や努力などのストレスと直面しなければならないが、ルーファスはそんなことはしたくないのだろうと。努力など嫌なのだろうと。そしてルーファスは、そういう人物だからこそ、神の恩恵を付与される操り人形として選ばれたのだと説明される。そしてルーファスは成長するためのストレスを感じたとしても、そのすべてを女の肉欲で溶かされてしまうため、成長も見込めない。
    • そんなルーファスが主人公との闘いにおいてついに答えを見つけるところが体験版の見どころである。ルーファスが自分は凡俗であることを受け入れたうえで、社会の大半は自分と同じような大衆であると説き、それらの大衆がストレスなく努力なく我慢なく幸福を得られるという社会的弱者の絶対的な救済という思想に辿りつくのである。このルーファスの思想と主人公の思想がぶつかり合うところがクライマックス。主人公の思想は、復讐やテロは社会の秩序を乱すので被害者は泣き寝入りしろという考えなどクソくらえというもの。復讐の中にも花を咲かせることができると説くのである。結局ルーファスは討伐されてしまうのだが、思想もへったくれもないちゃらんぽらんなマペットが自分なりの理想にたどり着いたところは、それが歪んでいるとはいえ、結構グッときたのだった。

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