海と雪のシアンブルー「萩野夢」シナリオの感想・レビュー

保健室登校の少女が主人公との交流を通して写真撮影に生き甲斐を見出す話。
不登校問題はいくらでも深刻にできるが、それはこのゲームの主眼ではない。
人間関係を頑張って維持してきた少女が勝手にミスコンに登録され心が折れたのである。
自分に全く興味の無い物事を話題作りの為だけに追わなければならないのはキツイよね。
卒アル委員で不登校の夢の写真が必要となり足繁く保健室に通うようになった主人公。
夢の写真撮影の特技を見出し卒アル委員に協力させ、自立させていくことになる。

萩野夢のキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • 不登校問題を扱うが、わりとライトで問題解決もアッサリ目
    • 不登校問題をテーマとすると、イジメだったり親との不和だったり学級経営だったり教員との対立だったり様々な社会的問題を描き出すことが可能です。しかし、そんなヘビーなテーマを扱うことはこのゲームの趣旨ではない。そのため割とライトな感じです。学校という閉鎖空間における人間関係の維持の煩わしさとかいうやつが素材に挙げられます。クラスメイトにハブられないようにするため話題作りに必死になったり、周囲と合わせようと気を配ったりしてとても疲れてしまいますよね。無理して周囲と調和するよう頑張ってきた萩野夢の限界となったのは、文化祭の時でした。なんとクラスの女子に勝手にミスコンに登録されてしまったのです。もともとコミュ障であった萩野夢は衆人の前で客寄せパンダになることなど到底耐えられる精神崩壊。以来、保健室登校となってしまったのでした。
    • 主人公は自分の受験に専念しクラスのことなどスルー気味であったので、萩野夢との関りも希薄でした。しかし推薦合格して卒アル委員になったことで、接点が生まれます。不登校で写真がほとんどない萩野夢のもとへ通う事になったのでした。卒アル委員だからという理由で写真だけ撮りたいというのはなんとも虫のいい話。そのため主人公は萩野夢と地道に交流を重ねていくことになります。その中で、萩野夢のトラウマのことやカメラや写真に興味を持っていることなどを知っていきます。こっからがちょっとご都合主義的展開であり、クラスの日常風景を写した写真が足らないという問題が挿入されます。萩野夢の写真スキルのことを知り得ていた主人公は、夢に写真を撮ってもらおうと提案し、萩野夢はその能力をいかんなく発揮します。クラスメイトからも見直されハッピーエンド。進路も写真の専門学校への進学という明確な目標が生まれて主人公と共に上京。アパートも隣にして良かったねというオチになります。

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