雑録

海と雪のシアンブルー「松木衣良」シナリオの感想・レビュー

堅物で近寄りがたく糞真面目で生徒と馴れ合わない世襲系女教師の話。
教員一家の中で育ち姉も自分も教員となったが家族に対して劣等感を抱いていた。
そんな女教師のコンプレックスを解消し、生徒との壁を取り払うのが主人公の役目。
だが帰省描写は丸々カットされてしまい詳述されなかった。一番大事な部分やんけ!!
一方生徒たちとの関係改善については卒アルに担任コメントを書くべく雑談を試みることに。
最終的に卒業式までには以前のような薄い関係から転換しハッピーエンドになる。

松木衣良のキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • 家族への劣等感と生徒との壁
    • 松木衣良は堅物でクソ真面目な女教師。生徒とも馴れ合おうとせずシステマチックな学級経営を行っていました。主人公も滞りなく内申書を書いてもらえればそれでよく、推薦合格するまでは担任と深く関わろうともしませんでした。しかし一足先に進路が決まったことで卒アル委員に就任すると、教員との関りが増えていき、堅物女教師がいかに生徒のことを思っているのかを実感していくのでした。
    • 松木衣良が抱えている問題の一つ目が家族への劣等感。教員一家で育ち、姉も教員であった衣良は何の疑いも無く自分も教員になりました。素晴らしき日々で精神崩壊したのと同じパターン。理想で塗り固められた教師像と現実における日本の教育制度に実態の差に磨り潰されていき、親や姉に比べて上手く教員をできないことに悩んでいたのでした。そんな衣良の心の弱さに付け込むことで主人公はフラグ構築を成し遂げます。生徒に承認された衣良は年末に帰省する決意をしたのですが、ここの部分が丸々カット!この描写書くの難しいだろうけど、書かないからシナリオが非常に薄っぺらくなってしまっており残念。
    • 松木衣良が抱える問題の二つ目は生徒との距離感。衣良は生徒と教師の間に馴れ合いは不要だと考えている人間です。確かに教科指導だけならば授業の上手さや教員の知識量、学問の伝達技術によって生じる尊崇の念だけで充分でしょう。しかし日本の教育制度では学校の先生が生徒の人格の完成のため生活指導までをも行わねばならないので学級経営に支障を来すのですね。生徒は教科指導なんかよりも日常生活の中で自分に寄り添ってくれるかとかで教員を判断するので、馴れ合いを拒否した衣良に未来は無かったのです。そのような中で主人公が卒アルに担任コメントを書いたらどうかとアドバイスしたことで衣良は生徒と雑談をするようになり、卒業式間近になってはじめて信頼関係の萌芽が生じたのでした。
    • 以上により主人公のおかげで家族への劣等感と生徒との壁が解消された衣良先生。好感度は十分だ!しかし衣良を攻略するには生徒と教師という倫理観を破壊しなければなりません。これをどう扱うかがライターの腕の見せ所だったのですが・・・なんと主人公ではない第三者(主人公が昔好きだった憧れの女)が全てを解決していったのでした。ストレスなくシナリオを進めるためとはいえ、ここら辺は主人公が頑張って欲しかったものよ(学生身分じゃ無理か……)。

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