ヤマノススメ群馬回①「谷川岳」(セカンドシーズン21~23話)

ヤマノススメは埼玉県飯能市を舞台とする作品であるが、群馬県の山に登ることもある。セカンドシーズン21~23話では「谷川岳」が舞台となる。この山はメインキャラ2名(あおいとひなた)が「約束」を交わした「思い出の山」という重要な役割を与えられている。幼き日に交わした約束を叶えるために高校生になって再び谷川岳に登るのだ!グンマーには「水上、谷川 スキーと登山」でお馴染み。作中では夏休み中の8月11日・12日に1泊2日で登山する。谷川岳編で主に登場する群馬県のスポットは高崎駅土合駅・ロープウェイ・天神平・天神峠・谷川岳等である。

実際に谷川岳に登ってきたので、聖地巡礼の一種としてここにまとめておく。

【目次】

2期21話「思い出の山へ」(東飯能駅高崎駅土合駅→ロープウェイ→天神平)

story「作中における谷川岳の位置付け→谷川岳は思い出の山」

ひなたとあおいは幼少期に谷川岳に登山し朝日を見たことがあった。その感動は思い入れが深く、また二人で朝日を見ようと約束をする。時は流れて高校生になり、かつて交わした約束を果たすため、ひなたとあおいは楓とここなを加えた4人で谷川岳を目指すこととなった。2期21話は谷川岳へ行くまでの行程が描かれる。

東飯能駅高崎駅ホーム

東飯能から八高線高崎駅まで行き上越線に乗り換えて土合駅へ。高崎駅は駅のホームだけ登場する。だがここで貴重なアーカイブ映像が!上越線の車両として、2018年3月に引退した緑とオレンジ色の電車を見ることができるのだ。両毛線上越線と言えばこの「かぼちゃ電車」(みかん電車)であり、懐かしくなること請け合い。

東飯能から八高線高崎駅まで行き上越線に乗り換え

土合駅

土合駅は下り線と上り線でホームが異なり、複線化の際に設置された下り線は「モグラ駅」と呼ばれて地中深くから486段の階段を上っていく。この描写が詳細に描かれており、階段を上る際の苦労や地上に出た時の感動が共感を呼ぶ。この土合駅からロープウェイのベースプラザまで歩いていく。途中、慰霊塔にお参りするシーンもある。

モグラ駅の俗称で有名な地下にある土合駅
土合駅から外に出る時の感動
土合駅の階段と概観

ロープウェイ

全長2400mで標高1319mの天神平を結ぶ。作中ではメインヒロインのあおいは高所恐怖症という設定であり、このロープウェイに乗るのに恐怖で躊躇してしまうという描写がある。この時、あおいはロープウェイのチケットを落としてしまうのだが、拾ってくれるのがソロで来ていたカメラ少女ほのか。ほのかはこの後の谷川岳登山中にメンバー4人と友達になるのだが、この時はあおいにより順番がつっかえてしまったので先に行かせた。

土合駅から徒歩でロープウェイ駅まで割と歩く
ロープウェイベース

天神平

ロープウェイで上がっていくと天神平に到着する。冬季にはスキーのゲレンデとなり高倉山及び天神峠へリフトであがり滑ることができる。夏季の谷川岳登山では天神峠へのリフトを使用する。使用しなくても天神平から登山を始めることもできる。作中ではリフトを使用し天神峠を目指すのだが、ここでも高所恐怖症のあおいは剥き出しとなるリフトに乗るのも一苦労であった。

ロープウェイで天神平へ。そこからリフトで天神峠へ向かう
ロープウェイ乗り場やリフトにいるぐんまちゃん

2期22話「ともだちになろ?」(天神峠→天神尾根→熊穴沢避難小屋→天狗のトマリ場→天神のザンゲ岩→肩ノ小屋)

story「ソロ写真ガール高崎市民ほのか」

高所恐怖症ながらロープウェイとリフトを乗り継ぎ天神峠まで来たあおいとその一行。天神峠ではお弁当を済ませて天満宮にお参りをし、いざ谷川岳山頂登山コースに挑むことになる。ここでメンバーたちよりも先行するのがソロで来ていた写真ガールのほのか(高崎市民)。自分も人見知りでインドア派だったせいかあおいはほのかの事が気になって仕方がない。最初はあおい達のことを避けていたほのかだが、積極的におおいが話しかけて行った結果、写真を見せてもらうことに成功する。

天神峠

天神平からリフトで天神峠へ上る。展望台や神社がある。作中では展望台でエネルギー補給のために昼食を摂っていた。また天神峠には神社(天満宮)があり、あおい・ひなた・楓・ここなの4人はそれぞれ願掛けを行う。ここから登山スタート。谷川岳の二つの山頂トマの耳とオキの耳は猫の耳に見えるからつけられた説が展開される。

天神峠~谷川岳を眺める&神社にお参り~

天神尾根

天神峠から熊穴沢避難小屋を目指すルート。最初は天神平からのコースと合流するまで下り坂となる。夏に行くとセミの鳴き声が聞こえトンボがおり蝶々もいる。作中においてもその高山の気候は季節感バラバラだなとツッコミを受けていた。また8月11日はここなちゃんのお誕生日でありあおい・ひなた・楓はここなに内緒でサプライズパーティーを行うことを画策。鎖場などもあり険しい道が始まる。パンフレットでは熊穴沢避難小屋まで50分程度である。

割とヘビーな道のりだが小学生やお年寄りも難なく登っている
景色や高山気候を楽しみつつも鎖場などが多く油断大敵

熊穴沢避難小屋

肩ノ小屋までの唯一の休憩所。小屋の中にはベンチがあるだけでまさに「避難」小屋。作中ではここでおやつタイムとなり、ひなたは羊羹を食べる。一方であおいは入れ替わりで出て行ってしまったほのかのことが気になって仕方がなく他のメンバーを置いて先にほのかを追いかけることになる。道中、あおいからほのかに声をかけ、2~3言葉を交わすことに成功する。

熊穴沢避難小屋~外観と出入口~
リアルでの熊穴沢避難小屋

天狗のトマリ場

あおいのストーカー行は続き、天狗のトマリ場で追いつくことに成功する。ここでほのかのカメラの話題となりあおいが褒めたことから関係性が発生。風景写真に凝っており谷川岳の綺麗な風景を撮るために谷川岳に何度か通っているとのこと。あおいはここでほのかに朝日を見に来た目的を告げる。ほのかから天気が悪いことが多いけど見られるといいねという配慮の言葉を貰ったことから、あおいはほのかの本質を察する。人付き合いが苦手かと思いきや案外そうではないと評する。

天狗のトマリ場で仲良くなるあおいとほのか


天神のザンゲ岩

谷川岳の天気が変わりやすいエピソードをここで挿入。作中ではここで雨が降り出し皆でカッパを着る。雨具を試したいため雨が降って欲しいと事前に述べたひなたのせいというあおいが結構辛辣。ザンゲ岩なので懺悔しろと言い、ひなたはそれに乗って謝罪する。カッパを着ながら言霊ってありますからねと言うここなちゃんの表情の描写がかわいい。谷川岳は本当に途中晴れていてもいきなり雲行きが怪しくなるので雨具は必須。

天狗のザンゲ岩で谷川岳名物天候変化をやる

肩の小屋

トイレ、休憩所、売店があり食べ物や飲み物を補給できる。若干内装は異なる。作中では幼少期の思い出を振り返るエピソードが挿入される。前に見たことがあると朧げな記憶を想起する。また幼少期の約束を果たす寸前になり不安に駆られる。マリッジブルーみたいなもので、約束が叶ってしまったら、二人の関係性はどうなってしまうのかとブルーになるのである。

肩の小屋概観
肩の小屋内部
登山客が多く賑わっていた「肩の小屋」
ここでおでんを食べた。山価格である(800円)

2期23話「約束」(肩ノ小屋で宿泊→トマの耳→オキの耳)

story「肩の小屋で宿泊」

先行してトマの耳まで行っていたほのかと合流。夕飯・ほのかちゃんのお誕生日会・トランプ。ここなが寝てしまった後、ひなた・楓とひなた・ほのかのグループに分かれる。ここであおいとひなたはそれぞれのペアに不安を吐露する。ひなたは楓からお節介をすることの意味とそれを自分で信じる強さを語られる。あおいはほのかから写真を通して約束が叶った後も友情は続いていくことが示唆される。消灯となった後、朝日を見る約束のために布団の中で天気を気にする二人がエモい。あおいとひなたのザックを映すことで二人の関係性のメタファーとしているところは巧みな表現技法。

ここなちゃんお誕生日会
ひなたは楓に、あおいはほのかに不安を相談する

トマの耳

トマの耳が谷川岳編のクライマックスとなる。あおいとひなたが手を繋いで朝日を見て幼少期に交わした約束を叶え、さらにその友情を続かせる名シーンである!肩の小屋で一晩を明かし、早朝天気は晴れる。暗いうちからヘッドライトを着けて登山開始。現実だと肩の小屋からトマの耳までは10分程度。あおい・ひなた・楓・ここな・ほのかの5人は夜明けまでそれぞれの時間を過ごす。楓とここなはコーヒーブレイク、ほのかは写真、あおいとひなたは約束を果たすために頂きに立つ。あおいが「どうしよっかこれから」と投げかけ、ひなたが分かっていながら下山したら温泉に入りたいと一旦スルーを挟んだ後、色々あったよねと笑いかけ思い出を回想するシーンはまさに必見。

約束を叶えたあおいとひなた


オキの耳

トマの耳で朝日を見て約束を叶えた後にオキの耳へ移動。約束を果たしても友情は続いていくとして、新たな思い出の一番はじめの役割を担うのがこのオキの耳。皆で集合写真を撮り、あおいのモノローグで終幕となる。「次はどこへ行こう。どこまで行こう。思えばきっとどこまでだって行けるよ。これからもたくさん、たくさん作るんだ。忘れられない、思い出を」。ちなみにリアルだとオキの耳の奥にまだ奥の院があり、鳥居と小さな祠?と賽銭箱があるので、そこにお参りをしてもいいかもしれない。

オキの耳で新たな思い出を作る


さらに奥に行くと奥の院(神社)がある