ウマ娘「鉄翼蒸気奇譚」の感想・レビュー

敗北と向き合おうとしないタイシンが目を背けず改善すべきというハヤヒデを受け入れる話。
失敗や敗北と向き合うのは辛い。けれどもそこにしがみつくしかないので間違った努力をし続ける。
それではいつまで経っても成功しないのだが、それをやり続けることしかできなくなっているのだ。
そんなタイシンに対しハヤヒデは失敗も歴史なのだからそれを踏まえて改善すべきと説く。
ハヤヒデは正論なのだが、正論だからこそタイシンには受け入れられないものがあったのである。
だがしかし飛行機開発を通し、飛べなかった機体にも意味があったことを痛感。現実と向き合う。
夢破れたテイオーに叶わなかった夢にも意味があると言わせているところで泣ける。ツインターボ師匠エンド。

ナリタタイシン物語~失敗から目を背け妄信的に間違った努力をし続けることしかできない少女~

ハヤヒデの正論VSタイシンの情念
  • スチームパンクを題材にし、ナリタタイシンの人生観の変容を描く
    • 今回のイベントはスチームパンク。飛行機開発を目指すゲストモブの少女が、街の人々の馬鹿にされつつも、研究を頑張って行くというお話です。タイシン、ハヤヒデ、チケゾー、テイオー、ターボがゲームクリアのために、この飛行機開発の手伝いをしていくというのが主な流れです。主役を張るのがナリタタイシンで彼女のトラウマに触れられます。ナリタタイシンはレースに自分の生きる場所を見出しますが、周囲の人々からその選択を祝福されたことはなく、ことある毎に否定されてきました。そのためタイシンにとってレースは周囲を見返すものとなり、失敗はそれを乗り越えるものとなったのです。しかしそれは歪んだ妄執であり、タイシンの個別シナリオではトレーナーがそれから解放するところが名場面となっていました。今回はトレーナーがいないので、飛行機開発がその役割を担うことになります。
    • 飛行機開発をする少女は自分のせいで失敗した先代の機体から目を背けていました。けれども飛行機開発という分野からは逃れることが出来ず、そこに縋りつくしかなく、間違った努力ばかり重ねていたのです。そんな少女に対し、ハヤヒデは極めて正論を唱えます。先代の機体が失敗に終わってしまった理由をきちんと分析して、その改善点を修正することで、成功に近づくのだと。きわめて理系的な考え方だし、それは正しい。しかしながら失敗と向き合うには己の情念というバイアスが入るためなかなか難しいことでした。ハヤヒデの正論に対し、タイシンは飛行機開発の少女側に立っていたため一触即発の危機。けれども先代の飛行機を回収して見たら話は違った。失敗してしまった機体でもそこには努力の跡が見られ、次に活かせるものも多々あったのです。それは失敗と向き合うことでしか分からないこと。タイシンはそれを痛感します。こうしてハヤヒデの正論を、タイシンが受けいれられるようになるというのが今回の見せ場!
    • ラストはアニメ2期を踏まえた上でテイオーとターボのやりとりでオチとなります。テイオーはルドルフに憧れ3冠を夢見ましたが、怪我と故障に悩まされ、夢は破れてしまいました。挫折し引退を覚悟する中、ツインターボ師匠の走りとマックイーンとの関係性により立ち上がり有馬記念を制したのです。この文脈を抑えた上で、テイオーが叶わなかった夢にも価値があることを教えてあげなきゃと言っている台詞を読むと感慨深いものがありますね。またターボは最後まで何も考えていないのですが、それがターボらしさであり皆を救ってきたのだというツインターボ師匠エンドになります。
偏向的で視野狭窄になっていたナリタタイシンが考え方の枠組みを変える(ナリタタイシンパラダイムシフト)
飛行機研究者はナリタタイシンのメタファーなのかもしれない
アニメ2期を思い出すと泣ける~トウカイテイオーツインターボ師匠エンド~

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