ブルーアーカイブ Vol.4_2章「We Were RABBITs!」(後編)の感想・レビュー

他者の判断に委ね思考放棄することで得る安寧より、自分で判断し責任を取る険しく苦しい人生を選ぶ話。
自分で判断せず他人の命令や権威に依存し責任を取らなくて良いというのは何よりも甘美だ。
何ら苦労もせず甘い汁だけ啜り上手く行かなくても第三者として批判だけするというのは心地良かろう。
自分の頭で考え、自分で判断し、自分の足で立って歩くと言うのは、想像以上に過酷なものである。
だが意志決定プロセスを放棄し命令という大義名分の下、力だけを行使する先に待つのは破滅のみであった。
ミヤコは自分だけなら良いが困窮生活に隊員を巻き込んでいることに耐えられなくなり軍門に下る。
だが再び先生とまみえたことで自分の信条を貫く決意をし、先生と二人で責任を果たすために立ち上がる。
ミヤコが苦境に喘ぐ中、他の隊員たちも自らの意志に責任を持つべくミヤコの下に参集する展開はムネアツ。

Jeder ist seines Glückes Schmied

自分の信念のために隊員に困窮生活を強いることに耐え兼ね思考放棄しようとしたミヤコ

ミヤコは市民の平和を守ると言う使命に憧れてSRTに入った。連邦生徒会長の失踪と共にSRTは解体されてしまうが、自分の信条のために復興を願って拘っていた。だがミヤコは自分の自己満足のために他の隊員たちに困窮した生活を強いていることに耐え切れなくなってしまう。それ故、先輩の部隊の配下に下り、安寧した生活を手に入れた。

しかし先輩方はSRT復興の大義名分の下に、思考放棄し責任を全て不知火カヤに依存したため、彼女に都合よく利用されるだけの存在に成り果てていた。不知火カヤは恐怖政治を行うべく自分の力を見せつけるため都心の駅の地下で大型爆弾を使用しようとしていた。これを知ったミヤコは苦悩するが、先生と再びまみえて話をしたことにより、自分の信念を貫き通す決意をする。
 
今回はミヤコを主役として物語が展開されたが、もう一人、自分で責任を果たすことの象徴として描かれる存在が公安局長のカンナであった。ミヤコが単騎突撃するも兵力が足りない中、カンナは生活安全局の後輩ズを率いて、自分がしでかした過ちの責任を果たしにくるのであった。またミヤコが苦境に陥ると、他の隊員たちも自らの信条に責任を持つため、ミヤコの下へ参集する。こうして意思決定プロセスを大事にし自らに責任を持とうとするRABBIT小隊と上層部に責任を委ね思考放棄したFOX小隊が劇塗油する。
 
まぁ物語の展開上RABBIT小隊が勝つのは当たり前なのだが、FOX小隊にはいつもの先生の説教というかカウンセリングが行わる。もし失敗して責任を取る時どうすればいいかという反論に対して先生は明日を待つことを唱える。すなわち改善して次に繋げていけば良いのだと。大人として責任を取ろうとする先生の姿を見たFOX小隊の隊長のユキノは完堕ちして罪を償うこととなる。最終的にRABBIT小隊は不知火カヤを逮捕することに成功し、クーデターは三日天下で終わったのであった。
 
これで八方皆良しのハッピーエンドになるかと思いきや、それではブルアカが終わってしまうので、不知火カヤは最後まで「超人」の存在を主張していた。おそらくこれが最近伏線として出てきている「七囚人」に繋がって、メンスト第二部が作られるのかもしれない。

ミヤコと共に責任を果たすことを描くためのキャラとして使用されるカンナ
FOX小隊の改心
Vol.4_2章エンド