万魔殿主催のパーティーへの風紀委員会の対応を通しゲヘナ学園全体におけるヒナの役割を描く話。
ゲヘナの生徒会的組織万魔殿の長であるマコトは盛大なパーティーを開催することになった。
マコトは風紀委員のヒナを敵視していたためヒナが器楽を不得手としていることを知ると恥をかかせようとする。
そのためパーティーでヒナにピアノを弾かせることにしたのだが、ヒナはコツコツ熟練度を上げていく。
ヒナを突き動かす背景にあったのは、先生がヒナのピアノを聞くことを期待していたからであった。
パーティーの雰囲気に当てられ騒動を起こす生徒たちを鎮圧しながら夜はピアノレッスンに励む。
なまじ能力が高く責任感があったが故に望まないのに長にならざるを得なかった少女
ゲヘナ学園のパッと見の印象は二重権力状態。生徒会的な組織である万魔殿と学園の治安維持を担当する風紀委員が存在しており、初心者は風紀委員長であるヒナが学園のトップであるかのように感じられてしまう。だが万魔殿が学園の統治機構のトップであり、マコトが実質的な長であった。そしてマコトはヒナのことを良く思っていないため、無理難題を言いつけることがしばしばあった。長に求められる資質としては、自己の権利を主張して相手とレスバし権益を確保しなければならないのであろう。だがヒナはマコトとの折衝を嫌い、相手の無理難題を実現できてしまう能力があったため、一人で苦労を背負うことになってしまうのだ。そのため身を削るようにして働き、やがては倒れることが目に見えていた。風紀委員たちもヒナをサポートし力を尽くしていたが、最終的にはヒナに依存する組織体質となってしまっていた。ブルアカは並行世界の多次元宇宙であることが明示されており、別の世界線では何度もバッドエンドを迎えているため、ゲヘナ学園編ヒナ個別√ではヒナが押し潰されバッドエンドを迎える素地は出来ているのである。このような状況の中、紙一重の状態で均衡を保っていられるのは、全て先生の存在に依る所が大きかった。ヒナが潰れずにいられるのは、先生が心の支えとなっていたからである。
今回のイベスト「陽ひらく彼女たちの小夜曲」では、ヒナが器楽を苦手としていることを聞きつけたマコトが嫌がらせの為にパーティーでのピアノ演奏をヒナに命じる。いつものようにヒナはマコトの無理難題を呑むのであるが、ここでヒナの演奏を先生が期待することになる。マコトはヒナの練習時間を削るために様々な嫌がらせをしてきたり、風紀委員の仕事を増やしたりする。ヒナは仕事に疲弊しながらも、先生に期待されていることをモチベーションにし、一人黙々と練習に励むのであった。これまでのシナリオでもゲヘナ学園では問題児たちが大暴れし、それをヒナたち風紀委員が治安維持のために鎮圧していることが描かれてきたが、それがより一層具体化された。至る所に温泉を掘ろうとする温泉開発部、美食のためなら手段を択ばない美食研究会、悪意はないのに悪魔のスキルにより食事を作るとゲテモノが生まれる給食部、鎮圧された怪我人を病室にぶち込む救急医学部、ヒナと友達感覚で接してくれる帰宅部などゲヘナの学園生に対し、ヒナたちが接している日常がプレイヤーたちに示されたのであった。
終局部では演奏をより完璧にするために直前まで練習していたヒナであったが、マコトはヒナが会場に来ないので勝利宣言をしてしまう。だがヒナの不在を知ったゲヘナ学園生たちは、これ幸いにと反乱と暴動を起こしたため、パーティーは無茶苦茶になり、マコトのメンツは完全に潰されてしまったのであった。この状況に対し、ヒナは一つずつ問題を解決していく。全ての問題を解決し終えると改めてパーティーをはじめから開催することとし、ヒナはピアノ演奏に向かう。しかもピアノを弾くだけでなく、弾き語りであり、演奏に加えて美声をも披露してくれるぞ。こうしてヒナの発表は成功裡に終わり、先生を想い続けることで不屈の心を手にし、見事に努力の成果を示したのであった。普段、先生に素直に甘えられないヒナが、先生にエスコートをねだれるようにまでなっており、ホッコリする。