ヴィンランド・サガ奴隷編 第5話「礼儀を重んじるキャラが敬語間違っており視聴者ガン萎え」の感想・レビュー

1018年にデンマーク王クヌートがイングランドを征服したという史実を独自の解釈でお届け!
歴史モノは史実をどのように解釈し、フィクションでどうやって彩るかがポイントになる。
ヴィンランド・サガではクヌートの冷酷な智謀を表現する装置としてイングランド征服が描かれた。
地方領主を武力で屈服させ相手が休戦を申し出るとその領土を狼煙で囲み焦土と化せるぞと脅す。
そしてエセルレッド、エドモンドの病没はクヌートが地方領主を唆して毒殺したものと匂わされる。
あと礼儀を重んじる設定のキャラが敬語を間違えており萎える。
主君の発言を指しているのだから「申す」じゃくて「仰る」でしょ?
この脚本家、敬語を理解しておらず作品の雰囲気をぶち壊したとして一生言われてしまいそう。

歴史モノの腕の見せ所~史実とフィクションの間~

礼儀を重んじるキャラが敬語間違ってるシーン
  • イングランド王エレルレッドの病没はクヌートが仕組んだ毒殺劇だったんだよ!ナンダッテー!
    • アシェラッドの積年の恨みにより殺害されたデンマーク王スヴェンの跡を継いだクヌート。彼はスヴェンが死んだことで泥沼化したイングランドの平定に乗り出すことになる。ヴィンランド・サガではこのクヌートによるイングランド征服戦争を、クヌートの覚悟と智謀を表現する舞台装置として描いていくこととなる。登場するのはマーシア地方の領主エアドリク。彼はトルケル軍との戦いに敗れ莫大な財産(銀8000ポンド)と引き換えに和睦を申し入れてきた。だがクヌートはその智謀でロジカルにエアドリクを追い詰めていく。クヌートの目的はエセルレッドの重臣という地位の利用。これを利用してエセルレッドを毒殺せよと婉曲的に誘導していくのである。個人的にロジカルクヌート場面での一番好きな描写は、勝手に家臣が戦列から離脱してしまってもエセルレッドは許すのかと問い詰めるところ。カネを積んでの和睦が背信行為ではないと自己弁護していたエアドリクがその矛盾を突かれる所は一見の価値アリ。この後弁論に敗れて奮起するエアドリクに「ワカラセ」を行うために、クヌートはその領土全土を狼煙で囲うという壮大な展開があるのだが、ロジカルクヌートの場面の方が好き。こうしてエセルレッドは毒殺され、王位を継いだエドモンドも同じ展開を辿り、ついに1018年クヌートがイングランドを征服し王になるのであった!

  • 作品の雰囲気をぶち壊した敬語表現
    • 今回はクヌートがイングランド王になるまでの流れを用いてその智謀を描く緊張感あふれる回であった。しかしこの回の雰囲気をぶち壊してしまったのが、敬語の使い方。あまり目くじらを立てても仕方が無いし、アニメに対して何言ってんだコイツは?テキトーに流せよと思われるかもしれない。しかしながら礼儀を重んじるキャラが敬語間違ってたら、全然礼儀を重んじてる感無くなるじゃんかよ!?
    • 問題となる場面は家臣のフローキがクヌートの視察の意図を問う場面。フローキは他のデンマーク軍とは異なり略奪をさせずきちんと兵を並べて待っているという演出がなされている。ここからも明らかに礼儀を弁えているキャラ。その礼儀を重んじているキャラが、主君に対してその意図を問う時、「と、申されますと?」と発言するである。申すは謙譲語だからここで使ってしまうと主君にたいして何ほざいてんじゃい?って感じになってしまった。クヌートの発現を指しているのだから「申す」ではなく「仰る」を使う必要がある。特にクヌートが軍紀を乱すデンマーク軍を処刑するという冷酷さを見せた後でコレである……。ここでフローキが主君の発言に「申す」を使ってしまったことで、重厚な会話劇の部分なのに一気にシラケて作品の雰囲気がぶち壊しになってしまった。
エアドリクの自己矛盾を論破していくクヌート
イングランド征服を通してクヌートの冷酷な智謀を描く

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