ブルーアーカイブ「千鳥ミチル」絆ストーリーの感想・レビュー

テンション高い系忍者ヲタク少女が忍者コンテンツで大騒ぎするも過去の陰キャ黒歴史に苛まれる話。
千鳥ミチルは忍者コンテンツが大好きなヲタク少女でいつも忍者の話題でテンション高くウザ絡みしてくる。
だがそれは一面に過ぎずミチルの本質は陰キャ・鬱・ネガティブと負の感情に陥りやすかったのである。
そのため自分の大好きな忍者コンテンツが陽キャやチンピラに馬鹿にされると一気に気落ちしてしまった。
それまでテンション高く宝島とまで言っていた忍者グッズがチンピラにコケにされた時のミチルがハイライト。
陰キャヲタク特有の陽キャに自分が好きな物を小馬鹿にされ揶揄われて自尊心が崩壊するイベントが生々しかった。

千鳥ミチルのキャラクター表現とフラグ生成過程

自分が好きな忍者グッズを小馬鹿にされて落ち込むミチル

千鳥ミチルは忍者コンテンツ大好きなヲタク少女。いつもテンション高く楽しそうに忍者について話しており、先生にウザ絡みしてくる。忍者コンテンツを布教するため、自ら動画チャンネルを開設しており、動画のネタ探しのために先生にお願いしてくることもしばしばある。そんなウザ絡み系ヲタク少女のミチルなのであるが、彼女のシナリオの愁眉はヲタクの黒歴史の生々しさにあるだろう。

今でこそアニメ・漫画・ゲーム・特撮等々のコンテンツは一般にも普及するようになり、それらが好きと言っても蔑視の目を向けられることは少なくなった。だがかつてそれらは恥ずかしいものであり、学校空間や一般社会で好きと言おうものなら迫害される運命になった。それ故、それらのコンテンツに対する好きという思いはコソコソと陰に忍ばねばならなかったのである。

ミチルが忍者を好んでおり自らを陰の者とするのもそういった過去に起因していることがシナリオの端々から覗かせている。それが顕著になるのが、忍者グッズ店イベント。ミチルは先生を連れて忍者ショップに行き、店主にデートと揶揄われながらも、楽しい時間を過ごす。大好きな忍者グッズを前にしたミチルは目を輝かせて宝島のようだと述べ、ヲタク特有の早口で忍者グッズについて先生に捲し立てるのである。そんな風にミチルが楽しい時間を過ごしていると、店先にチンピラが乱入してくる。陽キャは特に理由も無くヲタクを馬鹿にするものだが、ここでも忍者グッズはチープで幼稚であり誰に需要があるんだよギャハハハハハとこき下ろされるのであった。

テンション高くウザ絡みしてきたミチルを見ていると、これらに対し即反論しに行きそうなものであるが、彼女の行動は違った。自分が好きなものを馬鹿にされ、一気に現実が押し寄せてきて、急に気持ちが冷めていくのである。さらに好きな物を馬鹿にされても、反論・擁護・肯定できないということは、自分自身もまた好きな物に対して泥を塗っていると同義であることに耐えられなかったのだ。こうして自尊心が破壊しつくされたミチルが生々しく描き出されるのである。この後、先生とのやり取りによりミチルは復活してチンピラを襲撃して追い払うのであるが、ミチルが陰のものであるからこそ忍者を好きになったのであろうと思わせる一幕であった。

ところどころで陰キャであることを覗かせるミチル
忍者ごっこをする時はテンションが高くなるヲタク