ブルーアーカイブ Vol.5「百花繚乱編」第1章「いつかの芽吹きを待ち侘びて」(前編)の感想・レビュー

紛争調停委員たちの自己の有用性に関する話。委員長アヤメが不在となり空中分解した委員会を救え!
百鬼夜行連合学院において学園の治安を守り対立する双方の言い分を聞いて和解させるのが調停のおしごと。
委員長アヤメを筆頭に副長ナグサ、武力のレンゲ、参謀のキキョウ、名家のユカリは日々を謳歌していた。
だがアヤメは姿を消し副長のナグサは後継を拒否、委員会が麻痺した所で学園は災害の危機に遭遇してしまう。
残った委員たちは奮闘するも危機に対して何ら有用な対応はできず、それでも危機は収束したのであった。
これにより自分たちは何のために存在しているんだ?自分たちがいなくても良いのでは?と存在意義に駆られる。
幹部たちは現状に絶望し、未来ある委員たちには別の道を歩ませるべく、解散令を出したのであった。
納得できないのが勘解由小路ユカリであり調停委員を立ち直すべく自分が委員長になる決意をし奮闘していく。

カリスマリーダーの失踪×副長の後継拒否×自己の有用性の欠如=存在意義の喪失

空中分解しかけた組織を復興するため自らがトップに立とうとする勘解由小路ユカリ

Vol.5は百鬼夜行連合学院における百花繚乱紛争調停委員のお話。漢字が多すぎてワケワカランくなるが、要するに日本をモチーフとした諸学園群の治安維持組織だと思っとけばよかろう。で、その百花繚乱という組織が解体の危機に瀕しており、先生はその問題に協力することになるというのが大まかな流れ。百鬼夜行では断絶していた御霊祭が20年振りに復元されることとなった。この御霊祭は凄惨な過去を慰めて未来を目指すものであったが、その由来や起源は忘れられ単なる観光資源と化してしまっていた。祭りでオーバーツーリズムになれば治安は悪化し劣悪な環境となる。そのため治安維持組織である紛争調停委員会の活躍が求められるのであるが、なんと委員会は空中分解状態にあった。
 

向かい合わせの青信号であり、副長のナグサは百花繚乱に戻りたがっている

解散令が出されて委員が散り散りになる中、一人で委員会を復活させようとしていたのが、勘解由小路ユカリであった。彼女は名家のお嬢様であり、調停委員になどならなくても良い身分なのであるが、彼女本人が望んだのである!そのため委員会に対する思い入れは人一倍強く、諦念が漂う幹部を前に、自分が委員長となって組織を復活させるのだと息巻くことになる。調停委員には下剋上システムである継承戦というものが存在し役職を奪うことができるのだが、それには信頼ある外部組織1名と幹部の中の1人の立ち合いが必要であった。ユカリの想いを汲んだ先生は立会人の一人となり彼女と共に行動していく。
 

災害の際何もできなかったため無力感に駆られ尚且つ自分たちがいなくても問題が解決したため存在意義を失う

まずは解散令により委員会を離れた幹部探しから始まる。最初に探すのは切り込み隊長である武力のレンゲ。彼女はもともと委員会に思い入れがあるほうではなく、委員会活動で失われた私生活を堪能するため青春シンドロームとなり片っ端から仮入部をしまくっていた。レンゲの後を追いようやく探し当てるが、彼女はもう既に委員会に見切りをつけていた。レンゲが言うにはアヤメが失踪しナグサが後継を拒否した中、危機に対して委員会に対応を求められたが、自分たちは場当たり的な対応しかできなかった。事態は委員会の働きが無くとも収束したため、自己の有用性を失い存在意義を見い出せなくなったのだと。それでも追い縋るユカリに対し、レンゲは暴力でワカラセを行う。ユカリは勝てるわけもなく一旦はレンゲから引くことになる。
 

考えは立派だと言われるが、その器では無い事を断罪される

次にユカリが対峙したのは作戦参謀を名乗る知力担当のキキョウ。彼女は解散令が出た後でも一人詰所に滞在しており、待つのは自分だけで良いとエゴイスティックになっている御仁であった。キキョウは知力キャラなだけあってロジカルにユカリを追い詰めていく。ユカリのダメージソースとなったのは先生にユカリが本心を隠していると暴露されたことであった。ユカリには勘解由小路家という本来帰るべき場所があること、ユカリはそれでも自分の意志で委員会に固執していること、それらは単なる上流身分のお嬢様のお遊びにしか過ぎないこと。最後にはわざとユカリの心を離させるため「反吐が出る」と断罪する。
 

所詮はお遊びであると断罪されるユカリ

レスバでフルボッコにされたユカリであるが何とその前にはキキョウからも暴力でワカラセが行われていた。紛争調停員は武力こそ全てであるとして、キキョウは作戦参謀の役職を奪って見せよとユカリを煽っていく。本来外部の人間の他にもう一人幹部が立会人として必要である(そもそもユカリが幹部を探していたのはそのためだったし)。だがキキョウは自分が幹部であるし、双方合意だから特例で良いよねとかいうこじつけを披露。戦闘に突入しユカリをフルボッコに染め上げたのである。ユカリは武力で敗北した上で上述したレスバにも晒され最終的に逃げ帰る。だがこれはキキョウがユカリのためを思ってのことであった。それを見抜いている先生はキキョウの気持ちを尊重すると共に、ユカリに対するそのやり方を窘め自省を促す。以上によりVol.5第1章前編ではユカリの行動は無残にも失敗に終わった。果たして彼女は幹部の先輩たちの心を動かすことができるのか!?と後編に続いた。