ブルーアーカイブ「浦和ハナコ(水着)」絆ストーリーの感想・レビュー

イベストの補完。聡明な才女であるが故に世俗に倦み異常者として振る舞うハナコの胸の裡が語られる話。
これまでのブルアカではハナコは「わざと」異常者であるかのように「演じて」いるのだと匂わされて来た。
だが本当は「不器用」であり聡明な才女では無い生き方として対極的に「そうなってしまった」結果だった。
すなわち自らの意志で選択して異常者になったのではなく、彼女が生きるには手段がそれしかなかったのだ。
ブルアカは一度バッドエンドを迎えた後のn周目の話だが、先生がいない世界線では精神崩壊必至だったのだろう。
先生に本質を受け容れられたハナコは先生を信頼し、秘めていた自分の弱さをさらけだすのであった。
多分先生がいないとハナコは才女としての役割に押しつぶされて死ぬか、異常者のまま排斥されて死ぬかしそう。
(そういえばエデン条約編ではそもそもハナコは学校を辞めようとしていたのでしたね)
あと普段は誠実な先生が特定キャラに対してだけ変態になるのは生徒を見て相手に合わせていることも明記された。

水着ハナコのキャラクター表現とフラグ生成過程

先生に自分の胸の裡をさらけだす覚悟をしたハナコ

イベスト「隠されし遺産を求めて」はハナコのためのシナリオであり、表ではウイのコミュ障改善物語が展開されながらも、ハナコが先生に自己の本質を受け容れらていく様子が丁寧に描かれた。今回は補完として更に彼女の胸の内が語られていく。今回特に注目すべき点は、ハナコが異常者として振る舞うのは「演技」ではなく「そうなってしまった」結果だったということ。ハナコという少女のキャラクター表現は「聡明な才女であるが故に世の中に倦んでしまったため異常者であるかのように振る舞う」という造形である。これだけならどこにでもいそうなキャラなのだが、今回彼女を有象無象ではなくハナコたらしめたのが、「実は不器用であり意図的に異常者を演じる器用さは無かったという描写であった。
 
ハナコスク水や全裸で深夜徘徊し、いつも下ネタばかり言う淫乱変態女であった。だがそれは「聡明な才女」としての自分しか周囲が求めず、誰も本当の自分など必要としてくれなかった反動でもあった。わざと奇天烈な発言や行動をすることで反応を得て耳目を集める。だからこそ、すぐに慌てふためき過剰な反応をするコハルはハナコにとってお気に入りだったのだろう。だがこのような振る舞いをする生徒がいつまでも許されるわけがない。ハナコは誰からも理解されずに孤独の淵にあったのである。そんなハナコを受け容れ、ハナコの変態性をも含めて認めたのが先生であった。だからこそ、信頼が積み重なっていき、ついにハナコは先生になら自分の弱さをさらけだせるという結論に至ったのであった。
 
ハナコはこれまで「わざと」「意図的に」自分が異常であるかのように「演技」をしているのだと思われて来た。ところがどっこい!なんとそれは「そうせざるを得なかった」いや「そうなってしまった」結果だったのである。ハナコが才女である自分を隠して異常者として振る舞うという点では同じだが、意図的かそうでないかは大きな違いであろう。ハナコという人間が本当は才女であることを知っているかどうかがバロメーターであり、その上で才女だからこそ意識的に異常者として振る舞っていると思われてきたのだが、さらにまた意図せずそうなってしまっているのに才女であるが故に意図的にそう見えてしまっているというギミックが明かされたのである。ハナコが自分は「周囲の評価ほど器用なタイプではな」く、「先生がいなければ、今の私は存在しません」と告白してくるところは破壊力バツグンな場面となっておりますので、是非見て欲しい描写です。おススメ!
 
ブルアカはバッドエンドの結果辿り着いたn周目のセカイであり、さらにそこなる数多のバッドエンドの世界線に分岐し、プレイヤーが見ている世界線は非常に運よく奇跡的に全てが上手く行ったセカイ。先生がいない連邦生徒会長ルートでは補習授業部で絆を育むことができず退学していたのだろう(エデン条約編)。それだけでなく例え先生がいて補習授業部では救われたとしても、ハナコの本質に行き着くことが出来ずにバッドエンドに陥った世界線がたくさんあることも想像に難くない。そういったゲームの設定を踏まえた上でも、今回ハナコが自分の心情を吐露し、弱さをさらけだす強さを見せたことは感動を生んだ。

濡れた衣服の水を絞るハナコ
ハナコ(水着)メモロビ
適切な距離を保とうとする先生と距離を埋めようとするハナコ
肉体的な距離感ではなく精神的な近しさを得たハナコ
距離が近くなった先生との会話を楽しむハナコ
ついに先生に自分の弱さをさらけだしたハナコ
ハナコがさらけだした弱い自分