【感想】ブルーアーカイブ「放課後スイーツ物語 甘い秘密と銃撃戦」(2022.08.24-09.07)

宇沢レイサ物語。中学時代の知人に声をかけたら関係性を黒歴史にされておりショックを受ける話。
ウザ絡みをすることでしか他人と接することができない宇沢レイサには友達がいなかった。
それ故、中学時代の喧嘩相手にシンパシーを感じており、JKになってからも同じノリで接する。
だがスケバンであった杏山カズサはキラキラ女子に憧れ高校デビューしクールで冷静なJKとなっていた。
カズサにとって中学時代は脛に傷持つ黒歴史であり、葬り去りたい過去に蓋をして見ようとしなかった。
レイサはカズサが自分との関係を無かったものにしたいのだと知り、そのショックは大きかった。
友達のいないレイサにとって、久しぶりに再会した旧知の仲は、喧嘩相手でも大切だったのである。
カズサとの関係を断ったレイサは他のスケバンにヤキを入れられるが一人で全てを抱え込もうとする。
それを救うのがカズサの現在の仲間達であり、彼女の隠したい黒歴史を肯定し、受け容れるのである!

過去を否定するのではなく、過去を乗り越えるのでもなく、過去を受け容れるということ

中学時代、スケバンだったという杏山カズサ

本イベストは杏山カズサが中学時代の黒歴史を先生に相談することから始まる。これがシナリオの原動力となっており、カズサが自分の黒歴史と向き合えるようになるまで寄り添うことがシナリオの主軸となっている。だがカズサと同時にに主役を張るのは宇沢レイサである。彼女はウザ絡みをすることでしか他人に接することが出来ない性格であり、だからこそ友達がいなかった。中学時代はスケバンであった杏山カズサと喧嘩をする毎日であったが、それこそがレイサにとってはかけがえのないものだったのである。だがカズサはキラキラ女子に憧れてスケバンから足を洗い高校デビューをキメてしまった。カズサにとって中学時代の出来事は葬り去りたい過去、黒歴史と化していたのである。

久しぶりにカズサと再会したレイサは嬉しくなって中学時代と同じノリでウザ絡みを始める。だがレイサの存在はカズサにとって黒歴史を思い起こさせるものであり、悩みの種となっていたのだ。カズサが黒歴史を受け容れ、現在の仲間である放課後スイーツ部の仲間を信頼し、過去を開陳するというのが解決方法であるが、黒歴史と向き合うことは難しい。先生は解決の答えを知っているが、カズサがそれを自ら受け入れられるようにならなければならない。それには時間が必要であり優しく寄り添っていく。

また先生はレイサとも接触し、ウザ絡みしか出来ないレイサの性格と、それ故に友達がいなくて孤独であるからこそカズサに構って欲しいのだということに気付く。カズサもレイサもお互いの事をトモダチとは認めようとしないが、その関係性は傍から見れば友達であり、スイーツ部のヨシミは最初から二人が友達だと見なしていた。だがレイサはカズサが自分との関係を葬り去りたい黒歴史と見なしていることを知ってしまう。友達がいないレイサにとってこのショックは大きかった。これ以上、カズサに迷惑をかけまいと誓ったレイサは、執拗に送り付けていた挑戦状を先生に託し、もう二度と関わるまいと決意する。このシーンが本イベストの最大の見所であり、皆様にも是非読んで欲しい場面となっている。

中学時代に伝説のスケバンであったカズサの武勇伝は現在も生きており、レイサは不良生徒に目を付けられてしまうのだが、一人で全てを抱え込み戦場に赴くのであった。そんなカズサとレイサの関係を後押しするのが、放課後スイーツ部のメンバー!ひょんなことからカズサの黒歴史を知ってしまった彼女たちは、カズサの過去を馬鹿にすること無く肯定的に受け容れてあげるのだ!放課後スイーツ部のメンバーのどんちゃん騒ぎを見ていたカズサは目を背けようとしていた黒歴史と向き合い、折り合いをつけることが出来たのであった。

折り合いをつけるという行為は口で言うのは簡単だが、それを自分で納得するのはとても難しい。本イベストを経て、その過程を丁寧に掘り下げられて行ったのはグッとくる展開。宇沢レイサとの関係性についても、それは決して否定されるべきものではないと、二人の間柄を象徴する挑戦状を返すことになる。またウザ絡みすることでしか他人と関係性を持てないレイサの性格を、放課後スイーツ部の面々は気にせず受容する。レイサもまたスイーツ部と交流することで、人間関係というものを学んでいくのであろう。カズサと再び触れ合うことが出来たレイサは満面の笑みを浮かべるのであった。

黒歴史を気にする杏山カズサ
ウザ絡みしか出来ないぼっち少女宇沢レイサの心情吐露
旧知の仲を忘れ去りたい事と見なされたことは宇沢にとってショックが大きかった
傍から見ればカズサとレイサはどう見ても友達であることをヨシミで表現する
カズサとレイサの関係はもう少し深い意味での友達だということをナツによって表現する