【感想】学園アイドルマスター「藤田ことね」コミュ 1~10話を読んだ。

貧困階層出身で借金に苦しみ学費すら払えずバイト掛け持ちする少女と一攫千金アイドルを目指す話。
藤田ことねは拝金主義者で金持ちになるためにアイドルを目指すダンスと容姿の才能に恵まれた少女。
ファンアートでもたくさん描かれていたがきり丸やレオリオのように悲しい過去があるというオチ。
貧困家庭を長女として助けるべくアイドルになろうと中学から私立に入れて貰ったがバカ高い学費。
両親は娘の為ならと無理して借金をし入学させたがその借金のせいで父親は家から出て行ってしまった。
それ故ことねは学費の支払いすらままならず退学の危機にあり、中卒→泡のコンボをキメかけていた。
そんな状況を救ってくれたのがプロデューサーでありゼロ年代の少女救済を思わせるシナリオであった。

藤田ことねのキャラクター表現とフラグ生成過程

自己肯定感の薄い藤田ことね

藤田ことねはお金大好きの拝金主義者。稼げるアイドルを目指しておりバイトを掛け持ちしていた。だがそんな彼女には事情があった!というのが物語のパターンであり、使い古されたテーマでもあるのだが、やはり感動しちゃうよね。パブロフの犬。関係性を構築しして二人三脚して親密度をあげていきアイドルとして道が開けた時点でことね自身の口から家庭の事情を語られるシーンは涙無しには見られない。

しかしそれはそこに至る過程がしっかり描かれているからこそとも言える。藤田ことねは容姿とダンスの才能に恵まれていながら、バイトにより常に過労状態であり自分のパフォーマンスを発揮できずにいた。それ故、学園内評価も低くなりがちであり、さらには自己評価の低さにも繋がってしまうという悪循環に陥っていた。このまま藤田ことねの才能を埋もれさせては世界にとって損失である!我らがプロデューサーは立ち上がった。まずはバイトを休ませて体力を回復させ本来のパフォーマンスを取り戻させる。続いて学園の奨学金制度を利用し申請の準備を整える。さらにはどうしても当面のカネが必要なことねのために、バイトをきちんと選定し闇雲に低賃金労働をさせるのではなく彼女のキャリアに繋がる高報酬な仕事を取ってくる。Pの有能さをとくと見よ!いやマジカットフルーツや消化に良い食べ物の差し入れとか細かいところがいいよね。

こうして貧困により負のスパイラルに陥っていたことねを救い上げたのだ。元々天性の才があったことねは環境が整えば乾いたスポンジが水を吸うかのようにメキメキと成長していく。また学園の評価が低く自己肯定感が薄かったことねのために、小まめに声掛けを行い彼女を褒めて伸ばしていく。ことねのキャリアを考え、大金持ちになるために「誰よりも『一緒に仕事をしたい』アイドル」を目指す方針を立てるが、ことねはもう既にそのコミュ力で円滑な人間関係作りを行えていた!というのもおススメポイントだ。それをPが褒めるとことねはデレデレになる。大家族の長女であり甘えられる存在のいなかったことねにとって、自分を認めてくれる・褒めてくれる・甘えさせてくれるプロデューサーはまさに救済者であり、最初は胡散臭く思いながら警戒をしていたが、徐々に信頼を深めていくことになる。

ことねがライブを成功させた時は、中学時代に劣等性であった忸怩たる思いを発散するものであり、ご褒美としてデートに行くことになる。この遊園地デートの際に、ことねは自分の口から家庭事情を語りたいと、過去を話し始めるのである。この遊園地はまだ彼女が一人っ子だった時に両親に連れて来てもらった思い出深い場所であること。その場所でことねは弟妹ができることを告げられ長女としての自覚を持ち嬉しく思ったこと。大家族になった結果貧困に陥り苦労することになったこと。貧困から抜け出すために自分がアイドルになって仕送りをしようと思い立ち、無理を言って私立の芸能学校に入れて貰ったこと。だがそれには莫大な借金が必要であり、その借金のせいで父親が家から出て行ってしまったこと。ことねは家に仕送りをするどころか学費すらままならず退学の危機にあったこと……。このお涙頂戴のシーンは感涙必須であり全米も泣いた。プロデューサーがいなかったらまじでことねの人生詰んでたやんけ。と、いうわけでPとことねの稼げるアイドルを目指す道が始まったのである!ことねの弟妹「ちびども」にPがどのように受け容れられるのかや家を出て行った父親が今後どうなるのかに注目が集まりますね。

基本は明るいが、時折憂いの表情を浮かべ曇りがちな藤田ことね
家庭の事情を自分の口から語る藤田ことね
ことねエンド