narcissu 〜ナルキッソス〜 の感想

22年も生きていて滑稽だわ。

 

シナリオはステージ☆なな片岡ともさん。ねこねこソフトでシナリオ書いてた人です。
不治の病に侵された少年が、同じ境遇の少女とともに盗んだ車で走り出す。最期にその目に写したいのは、淡路島の水仙ナルキッソス。そして、最後は、尊厳死
全てを諦めきっていた少女が、最後の最後で主人公に自分の弱さを晒してしまうところは、散りゆく者への子守唄。主人公の免許書を胸に抱き、海に入っていく・・・

憧れて懸命になって頑張って、いつかは報われるのなら良いけど・・・でも叶わなかったときにはどうすればいいの?
その時に無理だったねって、笑って言えるほど強くないわよ。
わ、わたしに出来ることは、最初から諦めて何も望まずにいて、やっぱり無理だったと冷めた目で自分を見ることしか出来ないのよ。
あの時に頑張っていたら・・・もしかしてって・・・自分にとっての言い訳を取っておくことしかないのよ。
最初から無理だと分かっているなら、それくらい・・・良いじゃないの・・・


こなたよりかなたまで』でもそうでしたが、こういう不治の病モノってのはどうしても、不治の病でもないのにのうのうと生きている自分が目の当たりにされることよ。折角、五体満足健康で大学にも行かしてもらっているのに、何もなすこともなく、ただ鬱々と毎日を漠然と浪費している。まぁ、燃え尽きる前の蝋燭がいっそう輝かしくその灯火をともすことを鑑みると、彼らはデッドポイントを迎えるからこその終焉物語を語れるのだと思わなくもないといつも思うのだがね。

 

ここで有島武郎生れ出づる悩み』のパロディをば。
僕は今これを読んでいたが(と云ってKはステージななのヴィジュアルノベルを君の目の前に差し出して見せた)素晴らしいもんだ。こうしていてはいけないような気がするよ。だけどもとても及びもつかない。いい加減な研究職となって納まっているより、この薄暗い田舎の片隅で黙りこくって一生を送る方がやはり僕には似合わしいようだ。