水平線まで何マイル? 古賀沙夜子シナリオの感想・レビュー

完璧超人で人を弄ぶ少女は、実は努力の塊な娘で勝手にファビョって精神崩壊しちゃうの。
心がマイナス方向になってネガティブになったヒロインを助けられるのは主人公くんだけ!!

古賀沙夜子のキャラクター表現とフラグ生成過程。


会長こと沙夜子は完璧超人、裏で手を引いて人を弄びニヤニヤしているの。だけど、そんな先輩に巻き込まれるのもモラトリアムでいいじゃない?そんな彼女だが鳥人間コンテストに対してはいたって本気。準優勝の結果に終わると、自分の限界を知ったかのごとく精神崩壊。そう、沙夜子はこの鳥人間コンテストで優勝したら父の呪縛から逃れられると自分ルールを敷いていたのだ。だが実際は誰もそんなことは約束していないし、父からの呪縛も無かった。沙夜子は、「父の呪縛」という幻想にしがみつくことで、自分の安っぽいプライドを保っていたの。親が子のことを考えていろいろなことを経験させようとするのは当たり前。たとえ続かなかったとしても、試金石とはなりうる。だが沙夜子は小器用な性格で何でもこなしていった、純粋に父親に褒められるのが嬉しかったから。


小器用にこなすということは真剣に取り組んでいる人から嫉妬を買いがちなるもの。周囲から天才と呼ばれ羨望と嫉妬と恨みを注がれた沙夜子は、自分を守るため強いプライドを形成することになっていく。そのプライドとは父から褒められる、認められるで満たされた。色々と人生を選べたのにも関わらず、自我を保つにはちっぽけなプライドに、つまりは父親にしがみつくことしか出来なかったの。気づいたら「父の跡継ぎ」のレールを走っていた。航空関係の父の仕事、空を飛ぶこと、飛行艇を作ること、それらは矛盾するものなのかい?ただ沙夜子は父に対する反発や逃避のためにみんなを巻き込んで鳥人間コンテストに出ようとしていただけなの?沙夜子は自分を「操り人形」と称することで自律した思考を行うことを避けていたのだ。甘えだったのだ。そんな彼女に対して必要なのは、認め褒め支え励まし一緒に歩んでくれる者の存在。孤独であろうと思い込みヒロイズムに嵌って現実を見ようとしない少女の眼を覚まさせてやれ!!今度は「宇宙科学研究会」という逃避のために空を飛ぶのではなく、空を飛ぶために空を飛ぶのだ。会長を代表に、彼らは再び空の高みを目指すのだ!!ということでハッピーエンド。