さかあがりハリケーン 「綾瀬奈都希」シナリオの感想・レビュー

母と娘の和解のおはなし。
エロゲには良くあることだけど、各々のヒロインで深刻な問題となる出来事が、別ヒロインルートではあっさりと解決されてるのは、別に主人公が絶対的な因子でなくてもいいということなんですよねー。別ヒロインルートではハルが奈都希に母親と腹を割って話せとアドバイスし、涼が奈都希ママンに和解を促して成功していますが、その役割を巧はどのように担うのか!?お互い不器用な母と娘の関係をどのように取り持つかが味噌ということで。


綾瀬奈都希は頑張り屋さんだけどいつでも空回りしちゃってる女の子。当初、就任したかった委員長の座をいきなり転校してきた巧が掻っ攫ったため、突っかかってくることに。だが問題児である巧がしたことは委員長としての奉仕活動ヴォランティア。しかもその活動の功績は、何の因果か巻き込まれた奈都希のものになってるというおまけつき。もしかして巧って良いやつなのかも?と思ったところから関係はスタート。奈都希は巧と反する生徒会に属するため立場上表立っては接触できないものの、監視と称して接しているうちに好感度上昇。停学処分の巧に授業内容を教えるうちに打ち解けていく。奈都希は真面目で一生懸命であるもの、どこか抜けていてノートも間違ってとってるし知識も曖昧に詰め込んでいることが判明→逆に巧が勉強を教えることに。奈都希と接していて分かったことは、彼女が「常に優れたらん」といつでも肩に力が入りすぎているため、失敗してしまうということであった。奈都希の荷物を一緒に背負ってあげられたらそれは良いこと。Act1の強制イベントで、母親に認められることが行動原理であり何でも言うことを訊いていた奈都希が、初めて自立したときにできた母娘の溝を埋めることが奈都希シナリオのメインテーマとなる。



文化祭開催許可を得た後、皆が忙しく立ち回る中で、どうも奈都希には元気がない。空元気でみんなに心配をかけないようにしているが、周囲には見え見えで逆にとても痛々しい。巧はそんな奈都希を色々とフォローをしていくようになる。奈都希の落ち込んでいる原因は母親との溝。ママン大好きっこだった奈都希にはとても耐えられないの。和解のためにはどうして奈都希ママンが文化祭を忌み嫌うのかを探らねばなるまいて。さぁここで死霊の残滓タイムだよ。Act.1で独りよがりになって這いつくばっていた巧を助けてくれたモブキャラは死んだ巧のママンだったよ!!未練の残滓が巧にヒントととして日記を残し、父親をはじめとする当時のメンバーに召集をかける。曰く、過去にも文化祭を開こうといった活動はあり、寸前まで上手く言ったものの、奈都希ママンが当時の理事であった父親に脅されて泣く泣く中止させたのだとか。直前まで奈都希ママンは開催に同意していたため、その行為は裏切りに近く関係は崩壊してしまったと。奈都希ママンには文化祭の開催運動をする姉妹が居て、彼女が父から勘当されるのを防ごうとしていたのに、その姉妹は男と性行為して一発着床して、結局は勘当されてしまうという悲劇。その姉妹が巧の母親で、つまるところは、奈都希と巧は従兄妹同士ってわけだ。



母と娘の関係なので巧には関係ないと拒絶する奈都希に対して、従兄妹宣言して関係なくないと近寄る。すると、奈都希の緊張が解けた。奈都希はこれまで甘えられる肉親がいなくてひとりぼっちだった。仲間はいたけど依存できるひとはいなかった。従兄妹だったら巧に甘えてもいいよね、ということでベッタリと寂しんぼの甘えんぼ生活がスタートする。母と娘の和解が言語によってならないとすれば、それは文化祭に実際に来てもらって奈都希の活躍を示すしかない。巧の母親の死霊がくれたヒントは未練をそのまま実行すること。かつて巧ママンと奈都希ママンは文化祭でバイオリンとピアノの演奏をすることになっていた。それを巧と奈都希で再現しましょうということになる。ふたりの練習がスタートするが、甘えられる存在が出来た奈都希は巧依存になってしまう。それが後をひくかと思いきやそれほど深刻にもならず、上手く関係を築いていく。巧は大人たちの未練を担って奈都希ママンに文化祭の演奏に来てくれるように告げる。だが文化祭本番、奈都希ママンは来てくれなかった。しかしそこはご都合主義。科学部部長に借りた電波ジャック装置で二人の演奏を街へと流す。ちょうどとちって弾けなくなってしまったところへママン参上!!CLANNAD罵詈に娘を応援する!!嗚呼、これで想いは通じた和解した。どうしようもないくらい不器用だった奈都希ママンは、巧が巻き起こした周囲の働きかけにより、見事過去へのわだかまりを解消し、娘との和解を果たしたのだった!!というハッピーエンド。