雑録

るいは智を呼ぶ 茅場茜子シナリオ(グランドエンド)の感想・レビュー

るいは智を呼ぶの茜子シナリオはグランドエンド。
呪いの謎を解き明かし、運命に縛られた世界をやっつけろ。
今までの個別ヒロインの伏線がひとつに収束されていく過程はカタルシスを感じるかもね。
裏を返せば遇有性(茜子ルート=グランドエンドの必然性)へ思いを馳せずにはいられないけれど。

物語の世界観の構成とグランドエンドで如何にして解決をみたか。


時は現代、舞台は都市。呪いに苛まされ女装をして過ごさなければならない男の子:和久津智がいた。ある時、死んだはずの母から手紙が届き、それが縁で智と同じように呪いを持つ少女たちと出会う。呪いを持っていれば自ずから困難が訪れる。その困難に立ち向かうため、智たちは皆で群れを作る。そう、呪われた世界を「やっつける」ために。少女たちはそれぞれ力と引き換えに呪いを持っており、個別ヒロインルートでは少女たちのトラウマや悩みや孤高やプライドを少女救済しながら、呪いを受け入れる未来を描いていく。それはそれで幸せだけど、呪いから逃れる術は本当にないのか!?茜子ルートは物語の世界設定そのものを解決するために書かれたであろうシナリオである。このルートでの茜子の立ち回りは、何度も挫折しかける智を励ます役割。茜子は呪いと引き換えに「心情を解する」能力を有しており、智の考えなど全てお見通し。茜子だけには全てを晒すことが出来る智は、呪い解除の挫折ごとに、茜子に励まされ尻を叩かれ憐憫を誘われ生き様に惚れさせられ力を得ていく。物語の核心とは一体何か。



かつて智たちの先祖は力を願った。呪いと引き換えに様々な力を手にした先祖たちは財を成し、権力を構築し、代々引き継いでいった。しかし、時代を重ねるにつれ、その能力はちょっとした特技に成り下がり呪いの代償の方が大きくなっていった、しかも世襲は子孫代々を苦しめ、「力」を嗅ぎつけた第三者に利用されることにもなった。智の家族もそのような一種で、父は能力を利用するために和久津家へ近づいたのであった。和久津家が有するのは未来を知り、望む未来を引き寄せる力。しかも生まれたの子どもは力と呪いを共有する双子の姉弟で、しかも呪いと力を好きなようにどちから一方の器へと移し変えることができた。犠牲となったのは智の姉で、智はそのスペアとして生きることになったのだ。姉はスペアである母が殺されたことを知り、その二の舞に智がなることを知ってしまった。そして苦渋の決断により父親殺害。だが自身も薬漬けにされ精神崩壊し、智だけが全ての救いであった。呪いを取り巻く連中はそれだけではなく、伏線投げっぱなしのままにされる「呪い」を「観測」している団体なども出てくる。用は、智たちをして呪いを解かせるようにするイベントトリガー。


そんな運命に立ち向かうため、みんなで呪いを解読し、その方法が分かったが、伊代シナリオに引き続いて問題となるのはやはり恵の存在。彼女は元々夭折の家系であり、「他人を殺すことで命を奪い取る力」で生き延びていたのであった。だが恵が殺してきたのは社会に害をなすものばかりで、恵より救われた人物も少なくなかった。しかし殺人は許されるのか!?しかも呪いを解除することは恵が能力を失って死ぬことであり、呪いを解除しないことは仲間が呪いで死ぬことになる。苦渋の決断を迫られ、それでも姉から移された力で望む未来を引き寄せようとする智。そんな運命に立ち向かう智を見た恵はようやく自分の死に場所を見つける。つまりは呪いを解いて死ぬ決意をしたのであった。本当にグランドエンドは恵ストーリーだなぁ。この決断をするまでのケアがこのシナリオの根幹じゃないかな。いや、まぁ茜子は智の支えとしての役割がきちんと与えられていてスポットも当てよう当てようとされているのですがね。で、メンバーたちは呪いを解く儀式をする。それは自らの意志で、力を捨て呪いを捨てる宣言であった。儀式から呪われた世界をやっつけエンディングへと入る流れは、全てのシナリオを集結させる大団円で感慨深いものがあるね。呪い解決後は、それぞれが力を喪ったことへの悲しみや不便さを感じながらも、穏やかな日常を享受するのであった。