雑録

ティアーズ・トゥ・ティアラ(PC版)の感想・レビュー

ティアーズ・トゥ・ティアラは権威へ唯々諾々と従うのではなく不条理へと立ち向かう所謂革命モノ。
世界観は上位概念である12精霊の絶対信仰の名の下に操られていた箱庭のセカイ。
過去にそのセカイを打ち破った者の末裔たちが、かつての英雄譚を焼きなおしする。
アルサルの成長をアロウンが導く男の友情とか壮大な世界観が楽しめる。
ただ女性キャラが多い割には出番が少なく空気化してしまった感じがする。

プロローグ:部族挙兵編


かつて地上を12精霊から解き放った妖精王プィル。その統治が廃れて早幾年、妖精王プィルの末裔は愚鈍化し野蛮人を率いる一部族となっていた。その族長の娘がリアンノン。彼女は妖精族の血を引くが故に、魔王アロウン復活の媒介とされてしまう。最後までやるとリアンノンがこのセカイの初源の人間となったプリムラの子孫であったり、そのため初源の人間を解放したというアロウンの復活の因子になっているのが分かって伏線回収となるのですがね。さらにアロウンを復活させようとしたのは12精霊の入れ知恵であり、結局この復活劇も仕組まれたものだったというわけさ。で、話の内容に戻ると、魔王復活の儀式において魂を支配され全てを諦めたリアンノンを魔王アロウンさまが心の深遠で繋がり呼びかける。そのとき、アロウンの人間への思いと繋がったリアンノンは見事復活、アロウンの寂しさを垣間見て嫁宣言。助けに来たに〜さまアルサルはいきなり妹が魔王の嫁になっちゃってポカーン状態。アルサルが妖精王プィルの器を持つことを見抜いたアロウンは、アルサルをいっぱしの王に育てることに決めるのであった。当面の目標は、リアンノン救出の際に神聖帝国に楯突いてしまったため、部族を率いて移住を開始。かつての古代王国へと植民する。

魔王のお城でハーレム生活

このパートは作業ゲー満載。色々アロウンの嫁たちが勢ぞろいするまでを日常パートで過ごします。魔王の城でハーレム生活。しかしアロウンの嫁たちは数は多いもののあんまり物語の根幹に絡んでこないしそれぞれの背景となるストーリーも用意されていないのでもうちっと深く描いて欲しかったかもね。読んでいて結構ダレる。キャラ薄いしアザラシ妖精スィールとか勿体無さすぎる。あと顕著なのはリアンノンの空気化。「新妻が新床を共にしに来ました〜」も2・3回しかない少ない。正妻であるリアンノンには原初の人間プリムラシナリオが用意されているものの、他のヒロインはアロウンとの関係性もどうしても薄くなっちゃう。メイドよろしく家付き妖精姉妹と商人エポナは戦闘メンバーでもないので、ラスボスバトルが終わった後、エンディングでそういやいたなと想起されるぐらい。アニメではここのハーレム生活日常編の描写をどう描くのかな?

帝国の侵略とお城防衛戦→古代国家復活建設・アルサル王就任


魔王のお城でハーレム生活編で日常パートを描いた後は、やっとこさストーリーが動き出す。周辺諸部族の反乱は神聖帝国が黙ってるわけにはいかず、鎮圧しにやってくる。モトネタはローマ帝国で、アルサルたちはケルト人で舞台はアイルランド島ブリテン島なんだろーね。帝国が使役するアンデッド兵を倒すために堕天したアロウンが精霊化したとき、父を12精霊に殺されていたアルサルは逆上し、アロウンを殺害しそうに成る、あれほど愛していた妹;リアンノンごと真っ二つの勢い。我に返ったアルサルは自分が実体もない誓約に縛られ妄執固執していることに気づき、成長物語。大切なのは一緒に戦う友なの、とういうことに気づき再起する。アルサル戦線離脱時に、アロウンのお城はすっかり陥落寸前。アロウン・アルサルを欠いたお城防衛線の戦闘は中盤の見せ場。あわや滅亡かと思いきや、ヒーローは遅れてやってくる。アルサル再起で帝国軍を薙ぎ払い、古代王国再建。国王就任するのは成長したアルサル。

この世界には秘密がある編〜原初のセカイ〜


このゲームの冒険は過去の戦闘の焼き直し。では過去には一体何があったのというお話。アロウンがまだ精霊ルキフェルだった頃へと遡る。セカイは12精霊の徹底した管理下で神の楽園と称して恣意的に左右されている箱庭のセカイ。そこでは人間は愚鈍で強制収容所へとぶち込まれ試練と称して氷期で満ちていた。精霊のルキフェルは13番目の精霊として生誕してしまったために疎まれて折、自分が12精霊になることを熱望していた。そのため養父であり12精霊でもあるミルディンがいつも箱庭政策に反対することに快く思っていなかった。ミルディンは人間の可能性に賭けたかったのだ。ある日、強制収容所で人間たちが一塊になって凍死している姿を見てミルディンは人間に感動する。一番強いものが防壁となり一番弱いものが中で護られる。それを本能として行うのだから、もしかしたら優しいセカイが構築できるのではないかと信仰を確実なものとする。故に禁忌であった「火」の扱いを教え、原初の歌を歌い氷期を終わらせ春を迎える。養父の犠牲を牢獄の中で考えさせられたルキフェルは天上に反逆することを決意し堕天。原初の少女プリムラが精霊によって信仰に縛られている心を花の冠によって解きほぐし人間の為に生きることを決意。弱者が弱者なりに頑張って生きていける優しいセカイを創るため、権威に平伏し唯々諾々と過ごす不条理なセカイを改良だ!!武器を取れ革命だ。見事勝利し自由を手にしたのであった。

最終決戦


過去において先祖とアロウンの友情を知ったアルサル。自分だってアロウンの友。英雄譚を焼きなおせ!!帝国に攻め込むものだと思っていたら、ブリテン島内でおはなしが収まっちゃった。ラスボスはやっぱり精霊で人類の世界を終わらせようとしていたの。12精霊の割には一人しか出てこないがな。精霊さんは暗躍し、人間の暗黒面ばかり見せつけ絶望させようとする。どんなに立派な人間でも富と権力を手中に入れ永遠の命に妄執するようになり民草を苦しめる。しかしそんなものには惑わされない。精霊たちが陰でこそこそ暗躍してんだろ!?とアロウンの嫁たちは愛する魔王様のためにセカイを救う。お約束どおり、ボス攻略後はダンジョンから出られない展開になりますがそこはホレご都合主義。自分たちが死んでも、自分たちの想いを継ぐ者たちが居るから大丈夫とか言ってたラストの感動シーンも吹っ飛ぶよ。エピローグでは、夕日に向かって無き友プィルに「創られた箱庭のセカイから人間たちを解放したぞ」と懐古エンド。セカイを救ってめでたし、めでたし。英雄譚の焼き直しはここに成功したのであったとさ。