DRACU-RIOT! エリナ・オレゴヴナ・アヴェーン√の感想・レビュー

ラクリオットのエリナ√は、ロシアの軍事技術班介入阻止作戦。
ロシアビッチっ子がオープンハートするまでは結構楽しめたが後半は失速ぎみ。
個人の凄惨な過去→受け入れてフラグ成立→社会的な問題発生のありがちパターン。
エロ担当なアホっ娘だが、キャラゲーとしては十分かと。

エリナ・オレゴヴナ・アヴェーンのキャラクター表現とフラグ生成過程

エリナは所構わず下ネタ発言をする空気の読めないビッチという初期設定。だがビッチ設定にも理由があった。エリナは一般的な吸血鬼とは違い、人間の血を吸うのではなく、吸血鬼の血を吸うのだと。これは、本作品において忌避されている「吸血鬼喰い」と同じ傾向を示していた。同属食いなカニバリズム。だからエリナは自分の本心を打ち明けられず孤独との戦いを強いられ下ネタビッチで誤魔化していたのだ。そして主人公くんであるユート氏を吸血してしまって以降は、ユート氏以外の血は受け入れられなくなってしまった。同属吸血を必死に隠そうとするエリナだったが限界寸前。そこをユート氏が「忌避されることへの恐れ」の共感を掲げて華麗にエリナさんを肯定してあげるのだ。俺の血を吸っていいよとフラグ成立。文学的文章の読解技法で扱いましたよね。プロットパターン「他者受容願望の肯定」ですよ。孤独な私を受け容れてくれてオープンハートという表現技法。ここまではエリナのキャラ表現も相俟って中々面白かった。


で、フラグ成立後はエリナの体質を改善しようという展開からロシア軍事技術班介入を招くことになる。簡単にまとめるとこうだ。エリナはかつてロシアで吸血鬼の人体実験に用いられたモルモットであり、体質改善のためのデータ収集を手早くするためかつての研究蓄積を流用しようとしたら、研究機関に目をつけられちゃった、という流れ。ぶっちゃけ、緊急性を要するわけじゃなかったんだし、地道にデータ集めときゃ問題発生しなかったんじゃね?とかツッコミ。まぁそうすると物語が成り立たんしなー。閑話休題、そしてエリナはもう用済みなんだけど、「吸血食い」スキルを持つユートさんが標的にされちゃって、ロシアに拉致されそうになるというのがメインイベントかな。結局は、偽装死をロシアに信じ込ませてハッピーエンドって落ちになりました。物語構造としては「個人的に凄惨な過去を持つ他者受容願望の強い女を肯定させることによってフラグが成立し、社会的な問題の発生に対してそれまで培った周囲との人間関係による絆で大団円」が使われていますね。かつての多くの作品はフラグ成立で物語が閉じキャラゲーとして終了していましたが、最近の主流は個別シナリオに存在意義を示す為、社会的な問題の解決や全体像を解き明かすためのパーツとしての機能を盛り込めようとしています。しかしそうすると、キャラの存在意義がかすんでしまい、蛇足感も感じられてしまうな。エリナは前半が可愛かっただけになおさら。まぁエリナの心情変化の読解のところは本当に可愛いよ?