ノラと皇女と野良猫ハート2「ルーシア・オブ・エンド・サクラメント√」の感想・レビュー

面倒くさい系女騎士属性持ちの三姉妹長女が犬嫌いトラウマと家族間のわだかまりを克服する話。
不安定になりがちなルーシアに対しウザがられても最後まで傍に居て支えてあげようとする主人公くんがステキ。
妹へ愛情を注ぐと称しながらもコンプレックスを抱え、母親に忠誠を誓うも複雑な感情を抱く心情描写をとくと見よ。
ノブチナ√も家族ゲーでしたが、ルーシア√も家族ゲー。ホントにこのメーカーは家族ゲー大好きだな!!
あとルーシア姉さんはデレ化した後、とてつもなく面倒くさいヒロインと化します。
のらとと1では黒木さんがとてつもなく面倒くさいヒロインでしたがデレ化後ルーシアもそれに匹敵します。

ルーシアのキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 過去のトラウマ〜犬問題〜
    • ルーシア姉さんは三姉妹の長女でイモウト達が大好きです。しかしかつて次女のパトリシアを護る為にケルベロスを殺し、その罪で幽閉されたことから犬に対して苦手意識を持つようになってしまいました。犬に出会うと思わず憎悪の念が迸るのです。けれども、それを見たパトリシアに、学童保育の子どもたちが怖がるのやめてと言われてショックを受けてしまいます。へこんでしまうルーシア姉さん。そんな犬に対する苦手意識を克服するために、主人公くんが立ち上がります。
    • 我らが主人公くんは母親が病気になった時会話を交わすことを怠り、母を亡くしてから深く後悔しました。そのため喪失する恐怖と後回しにすることの愚かさを充分に噛みしめており、それ以来他人に介入することを厭わないようになっていったのです。ルーシアが犬を嫌いと知ると、ワンちゃんの散歩に誘いそこからステップアップしていきます。順調に犬への苦手意識を克服していったルーシアでしたが、ある時ドーベルマンに襲われてしまいます。そこを主人公くんが自己の怪我と引き換えに身を挺して守ってくれたので、きゅんきゅんしちゃうわけです。ルーシア姉さんは主人公くんのリハビリに付き合いアレコレと世話を焼いてくれます。


  • イモウトへのコンプレックス
    • イモウト好きを公言してはばからないルーシア姉さんでしたが、実はそのイモウトへの愛は捻じれてこんがらがったものだったのです。本来ならば三姉妹のうち長女であるルーシアが家を継ぐはずであったのですが、ルーシアはパトリシアを護る時に力を喪失してしまい、その座をパトリシアに奪われる形となっていました。さらに他家の土地に入り他家の犬を殺したという事実は変わりなく、その罰として幽閉されてしまったのですが、往復はがきで母に何度も手紙を書いても、返信が1通もこなかったのです。こうしてルーシアは深い孤独を知ります。家に戻った時には何食わぬ顔をすることしかできず、感情を捩じらせながらも母に従い妹を愛そうとしたのでした。
    • こうしてルーシアの人物像が形成されていったのですが、賢いパトリシアはぶつかり合うことを避けてしまい、表面的には仲の良い姉妹なのですが、実質は歪んでしまう結果になりました。このような状態の中で、主人公くんの働きかけによりパトリシアもルーシアも本音でぶつかり合えるようになっていきます。そしてルーシアはパトリシアの眷族である主人公くんに対し、自分と共に来てほしいと願うようになるのです。最終的に主人公くんも怪我を負った時のルーシアの情に報いるべく、今度は俺が治してみせますと奮起するのでした。


  • 母親へのわだかまり
    • 犬問題の解決後、いったんは実家に戻ったルーシアでしたが、母親に追い出され、またもや主人公くんの下へと戻ってきます。そしてついに契りを交わして関係を持つのですが、ここからルーシアが面倒くさいヒロインへと進化するのです。婚姻届けのサインを求めたり、スマホのロックを総当たりで9999回試したりするルーシアの面倒くささを是非ご堪能ください。一足飛びにぶっちぎらんとするルーシアでしたが、主人公くんは相手の母親への挨拶やプロポーズなどのダンドリズムに筋を通したい派なので、ルーシアをヤキモキさせることになります。
    • 主人公くんは惚れた女がその母とわだかまりがあるならば、それを解決してほしいと願い、実際に行動に出ます。具体的にはもっと言葉を交わして気にかけて欲しいとお願いするのです。顔を会せれば、もしかしたら、イライラしたりさせらたりするかもしれない。しかし会えなくなると、きっと、様々な思い抱きつつも会えてた時の方が良かったと気付くようになるだろうと。そして、そのことは気づかせてはいけないものであると。こうして主人公くんの談話を聞いて感化されたルーシアの母は、娘と頻繁に言葉を交わす決意をし、今までのわだかまりを解消していくことになります。以上により、ルーシアは母や妹に対して抱いていた拗らせていた感情を解きほぐすことに成功し、ハッピーエンドを迎えるのでした。