ゴールデンマリッジ(体験版)の感想・レビュー

絵ゲーかと思いきやシナリオが意外に面白かった上流階級資産家物語。
体験版では1話〜3話の冒頭までプレイできる。
オムニバス方式で構成されており各話ごとにスポットライトがあたるヒロインが異なる。
第1話では投資を題材にしたヒロインが登場、経済ゲーは良いねぇ。
第2話の音楽少女も天に響きっぽいノリで割りと熱くなるな。
しかし予約特典で攻略できるマリーカは登場すらしなかった・・・

体験版概要

  • 主人公のキャラクター表現と物語の目的の提示
    • 主人公くんは資産家の両親を亡くし財産を手にした御曹司。ノビレスな教育が成功し、温厚で器も広く、周囲からの悪意は軽くいなして、全てを包み込む包容力を持ちます。ですがこれは成長を重ねた結果としての姿でもあり、かつては調子こいて痛い目にあったことが匂わされています。曰く、カネを持っていることを知ったビッチたちが言い寄って来たので、そいつらを片っ端から食い散らかしていたとのこと。梅毒にでもあったのか?とツッコミを入れたくなりますが、それ以来主人公くんは女性関係には慎重になったそうな。またカネはあれどもバイト戦士でもあり、洒落たレストランで厨房を担当し、コックから料理のスキルを盗もうとしています。
  • タイトル解題「ゴールデンマリッジ」
    • 上記のように設定された主人公くんですが、一族が経営する会社の後継者として白羽の矢が立ってしまい、のっぴきならない権力闘争に巻き込まれていくことになります。能力もない人間がトップに立つ世襲制の弊害を思う反面で、両親没後に面倒を見てくれた一族の恩義にも報いたいという気持ちも湧きあがってきます。葛藤する主人公くんに対し、育ての母親から金のエンゲージリングが渡されます。一族の後継者となるときは、孤独にならぬよう嫁を伴うようにと促されるのでした。こうして「ゴールデンマリッジ」とタイトル解題がなされ、物語が始まります。

第1話;投資とマネーゲーム(幼なじみヒロイン)

  • ヒロインは金融投資家
    • 第1話のメインを張るヒロインは幼なじみの金融投資家。引っ込み思案でコミュ障を自称し主人公くんにしか懐かない系のヒロインという記号をキャラクター消費しましょう。幼なじみさんの趣味は投資で、主人公くんの資産を運用して堅実にお金を稼いでいます。このヒロインが投資に目覚めたのは親が小遣いをくれなくて難義しているという安直な理由でした。しかし投資を始めてからは短期的なマネーゲームに走るのではなく、成長が期待される産業に投資を行い、社会全体の富の蓄積を促すことで、それが回りまわって自分の利益となるという思想に転じていきます。


  • 手垢のついた「ダミー婚約者」イベントだけれども
    • この幼なじみさんとフラグ構築を行うイベントとして挿入されるのが「ダミー婚約者」。マスコミに後継者問題を報道された主人公くんには言い寄るビッチが続出し、そのバリアとして幼なじみさんが婚約者であることを演出するのですね。幼なじみさんの実家も資産家であり、主人公くんとも昔馴染みで親愛の情も感じているので最適というワケ。最初から好感度マックスな幼なじみには「幼なじみ関係性変化」という親愛から恋愛に変わるまでの変化をどう描くかがポイントになってきますが、この幼なじみさんは破壊力抜群。普段インドア派でお出かけなどしないヒロインが主人公くんのために連れだって歩く姿はグッときます。また主人公くんのバイト先を見てみたいとせがみ、オープンテラスで手をにぎにぎとか。


  • 富の再分配
    • 第1話では見事投資に成功します。知識基盤社会では研究開発産業が求められているわけですが、イキナリ融資しては勘違いして事業をポシャらせてしまうとのこと。そのため少しずつ定期的に融資を行い、成長を促していくわけです。この地道な作業が功をそうし、経営を軌道に乗せることができたのです。ホクホクな幼なじみさんでしたが、孤児院の児童と遭遇します。商店街で壁当てをしていて叱られる子ども。聞いてみれば新開発の土地整備で公園が接収され遊ぶ場所がなくなってしまったとのこと。経済エリートのビル開発により社会的弱者が割を食う状態を続けている社会全体の不満度が高まり健全な成長を阻害してしまうので、幼なじみさんは事業を成功させて得た利潤を、孤児院に寄付し、老朽化した建物と児童が運動できる施設の整備に協力するのでした。

第2話;音楽家少女モノ

  • 自分が命を懸けられるもの
    • 第1話においてダミー婚約者作戦が功を奏し、金銭目当てで言い寄ってくる女たちを駆逐することに成功した主人公くんたち。そこへ結婚してくれと言い出すぶっ飛んだ少女が転校してきます。話を聞いてみると、彼女はパトロンを求めているだけのヴィオラ専門の音楽家少女で金銭的に支援をして欲しいとのこと。果てしなく前向きでとりあえず行動型の極致であり、かつ失敗したら次の選択肢を無限に用意し次にさっさと移っていきます。ヴィオラのためなら命をかけるとのたまう少女の心意気や良し。主人公くんは援助してもかまわないというのですが、ヴィオラ少女にもプライドというものはあります。無条件でカネをもらうのではなく、自分の実力を見てから将来性を判断して欲しいと言うのでした。

  • 集団を鍛える際の意識の差異について
    • そんなわけでミニコンサートを開くことになるのですが、講堂は既に管弦系の部活に押さえられていました。ヴィオラ少女はその部活のヘルプに出ることで1日だけ講堂を貸してほしいと頼みこみ、自分の腕前を見せつけ、ビシビシと鍛え上げていきます。ここから『天に響き』展開が始まります。集団内におけるやる気や向上心のある人々とただ漫然とやっている人たちの意識の差がテーマとして描かれるのですね。展開通り「鍛えすぎてグループが磨滅」パターンになるのですが、ここでヒロインCの生徒会長が調停をしてくれます。個人的にはここは主人公くんがアドバイスしろよと思ったのですが、新キャラの顔見せの機能を持っている場面なので致し方ないのかもしれません。


  • こんな想定外は想定内だ!
    • しかしながら向上心のないものたちの不満度は蓄積されていきます。この不満はヴィオラコンサートにおける報復というカタチで爆発してしまうのです。なんとモブ子たちはヴィオラ少女の弦に細工がほどこし、演奏中に切らせてしまおうという卑劣な手段にでるのです!!モブ子たちの狙い通り弦ははじけ飛ぶのですが、ここからが第2話の見せ場となります。「こんな想定外は想定内だ!」と言わんばかりに残った弦のチューニングを行い、曲にアレンジを加えて最後まで引き切りました。ご都合展開とも言えなくもありませんが壮大なBGMとともに土壇場で機転を利かせる様はつい熱中して読んでしまいます。

第3話冒頭:貧乏系ヒロインの登場

  • 苦学生のバイト戦士
    • 主人公くんの攻略ヒロインズ達の中のひとりに苦学生ヒロインがいます。両親が出奔してしまった状況で幼い弟妹の面倒を見ながらバイト戦士として戦っています。バイト先の同僚として主人公くんに好意を抱いていたのですが、ここ最近の怒濤の展開に乗り遅れ、秘めた思いをこじらせていくことになります。節約スキルが高く、賄いで生き延びようとするバイト戦士たちには思い入れを抱いてしまうんですよねぇ。最近では苦学生ヒロインも増えてきて『カルマルカサークル』、『Clover Days』、『はるかかなた』とバイト少女たちが大活躍していきます。この苦学生ヒロインがどのようにして主人公くんとの関係性を深めて来るのか、とても気になるところで体験版終了。ヒロインの弟妹たちの活躍も期待されるところです。