花の野に咲くうたかたの「井之上麗奈シナリオ」の感想・レビュー

本作品は家屋敷妖怪桜花さんが安楽椅子探偵となって街の伝承を解き明かしていく物語。
主人公くんは人間の存在の残滓を色として識別できる異能を持ち助手役として活躍。
コンツェルトノートやジャコスでお馴染みのあっぷりけフローチャートシステムを実装。
個別ヒロインたちを攻略して数多の並行世界を渡り歩くことで物語のフラグメントを解放。
全ての鍵を見つけて桜花さんグランドエンドへ向けて伝承を収束させましょう。
麗奈ルートは「主人公くんの異能と街の伝承の関係」のフラグを回収します。

井之上麗奈ルート


  • 麗奈の家族問題
    • 麗奈はクール系お嬢様幼馴染み。主人公くんとは家が近所で公園デビューした2歳からの付き合い。お互い家族ぐるみでの交流があり以心伝心の関係になっていきました。しかしながら近年は交流が途絶えがちになり「何でも知っている」という仲ではなくなってしまっていたのです。そのうちの一つが麗奈の家族問題でした。主人公くんは麗奈の父が実直で仕事に堅実な人物であると高い評価をしていましたが、麗奈の発言の節々には父親を侮蔑するようなニュアンスがあったのです。麗奈曰く、父親は最近拝金主義に陥っており、町の古い建物を次々と強権的に買収しているのだとか。かつては顧客のニーズに寄り添いながらヒトを見て仕事をしていた父親が変わってしまったことに麗奈はショックを隠せません。また麗奈の父親は、由緒ある道場を買収するために、道場所有者の同級生波多野美奈の母親と再婚までしていたのでした。
    • この麗奈の家族問題は、主人公くんが嫌われていると思い込んでいる波多野美奈問題の解決に乗り出すことによってフラグが回収されることになります。果たして波多野美奈問題とはどんなものだったのでしょうか?かつて波多野美奈と主人公くんが同じクラスであった時に、クラス内に交流ノートなるものが存在していました。家が重くて苦しんでいた波多野美奈はそこに自分の悩みを匿名で書き連ねていくことになります。主人公くんは自分も名前を伏せながらその悩みに対して相談に乗っていくわけですが、主人公くんは異能によってその書き手が波多野美奈だと気づいてしまっているわけです。ある時、クラス担任が交流ノートの行方について話題を提示しました。焦ったのは波多野美奈で、そこには匿名とはいえ自分の悩みが暴露されているわけです。主人公くんはここで自分が悪役になることで問題を解決しようとします。なんと主人公くんは自作自演でそのノートを発見したフリをして、過失で破ってしまったフリをしたのです。泥を被った主人公くんは以来波多野美奈に苦手意識を持つようになったというわけですね。この波多野美奈が苦しんできた家の問題が麗奈の父と自分の母の再婚問題だったというオチ。こうして波多野問題に関わることで麗奈ルートに突入できるのです。



  • 主人公くんの異能と街の伝承
    • 主人公くんの異能には麗奈の父が大きく関わっていました。主人公くんは事故に巻き込まれて目を負傷し失明したわけですが、その事故はなんと麗奈の父が起こしたものであったことが判明します。失明した後に視力が回復したものの「ヒトの存在の残滓を色で識別してしまう」異能を保持することになった主人公くんは悩み苦しむことになったのですが、その悩みの元凶を作ったのが自分の身内であったことに麗奈は愕然とするわけです。麗奈は幼少期に失明した主人公くんを補佐することで、自己肯定感や他者受容願望を満たしていました。また主人公くんの異能の秘密を唯一共有するという特別感をも抱いていたのです。そんな麗奈の自尊感情が真実を知ったことによってガラガラと崩れ去ります。父親に耐えられなくなった麗奈は家を飛び出しそのまま山へ入って失踪してしまったのです。この失踪は幼少期における麗奈の失踪の焼き直しであったことに気づいた主人公くんは異能の新たな力を解放して麗奈を見つけ出します。こうして一晩一緒に時を過ごした二人は契りを交わし、麗奈の家族問題の真相に迫ることになったのでした。
    • 麗奈の父親はなぜ拝金主義者となり街の古い建物を買収するようになってしまったのでしょうか?その背景には主人公くんへの本当の謝罪と賠償が込められていたのです。主人公くんは自分の異能を周囲の人々が奇怪に思うだろうと内密にしてきました。してきたつもりでした。しかしそんなことはバレバレで日常生活の仕草や様子から両親は主人公くんが異能を保持していることを知っていましたし、麗奈の父も同様でありました。故に麗奈の父は自分が犯した事故で異能を持たせてしまったことを償おうとしていたのです。ここで突如として街の伝承タイムの始まり始まり。主人公くんの異能は街の伝承「鏡石」と結びついているそうな。「鏡石」とは人間の記憶を映す鏡という設定で、主人公くんの異能も人間の残滓つまりは記憶を見るためのものなので共通点があるというわけです。この鏡石は現在散逸してしまっているのですが、これを御神体とした神社はかつて複数あったため、麗奈の父はその土地を買収しようとしていたのです。真実を知った主人公くんは、既に異能を受け容れていることを麗奈の父に告げ、もう土地買収は辞めて欲しいと願うのでした。こうして麗奈の父は過去の呪縛から解放され麗奈とも和解。ハッピーエンドを迎えるのです。