雑録

すみれ 感想・レビュー(1)すみれ救済編

ハイパーぼっちゲー。社会不適合者のぼっち達を救済することでプレイヤーも救済される。
シナリオは基本的に一本道で、一人目のすみれを救済しても個別には入らずピンク編へ。
すみれ編では、元ぼっちであり何とか社会人をやっている主人公くんが立ち上がる強さを得る。
一方すみれも自分の好きな人が馬鹿にされることで初めて他人と戦う強さを得る。
作中で主人公くんたちが『みずいろ』の日和√を攻略することで、精神的成長を遂げる二重構造。
さらにテキストゲーをやることで現実に立ち向かう展開はメタ的で三重構造になっている。
それ故、プレイヤ側が過去のトラウマと向き合うように仕組まれており、切なくさせる。

シナリオ概要


  • 自立とその失敗編
    • メインヒロインのすみれは孤立系ぼっち。「嫌われたくない病」を患い、会話を上手くこなそうと思う余り、思考ばかり巡らせてしまい、結局は何も話すことができずに寝たフリ。そんなぼっち少女すみれに人生の転機がやってきます。それは「ネトゲにおける居場所の構築」と「再婚によって新たにできた兄(主人公くん)」でした。ぼっちであったすみれはネトゲにおける交流で自分の地を出す喜びを知っていきます。そして泣きゲーを鑑賞していくうちに精神的成長も遂げていきます。また社会人で年上の兄をクラスメイトに彼氏と勘違いされたことを利用して、スクールカーストを上昇させたのでした。
    • しかしながら、張りぼてはすぐに破れるもので、クラスメイトたちに彼氏ではなく兄であることがばれてしまいます。これによりスクールカーストも底辺に落ち、またもや寝たフリをするだけにもどったのでした。さらには泣きっ面に蜂とはよくいったもので、ネット世界の親友たちによる救いの手も拒んでしまうのです。こうしてすみれを何とか現実社会に適応させていた二つの要因が消却されることになり、人生を踏み外して転落していくのでした。



  • 主人公くんのテキストゲーによる自力救済
    • 泣きゲーや鬱ゲーを好むプレイヤというものは、そういうものを受容できる人間であるということ。つまりは多かれ少なかれ複雑な事情をリアルで抱えているというものです。本作の主人公くんは『みずいろ』の日和√に執着しており、健ちゃんを理想像として崇めているわけですが、それも現実反動があるからなのです。主人公くんは学生時代に他者との人間関係構築に失敗し、自分にとって不都合な点があると寝たフリスキルを発動させてきたのでした。しかしながらコネ入社の社会人であっても、仕事において寝たフリなど出来ず、愛想笑いで事なかれ主義を貫くスキルを身につけたのでした。そんな何とかして社会人やってる主人公くんは他者から好意を向けられることに慣れておらず、また自分のことも手一杯だと思っているのです。それ故、ネトゲでもリアルでもすみれに対してさえも事なかれ主義を取ろうしてしまうのでした。けれどもここでテキストゲーによる自力救済タイムが始まるのです。主人公くんの頭にちらつくのは日和√における健ちゃんの活躍。自分が好いた女のために、ちっぽけな自我を守るために、殻に閉じこもっていていいのだろうか?イヤ良くない(反語)。とうとう主人公くんはネトゲ中に離脱し、リアルでのすみれの部屋を訪れ、涙を流す少女を救ったのでした。



  • ぼっち少女が立ち上がる時
    • 孤立系ぼっちであり寝たフリばかりしてきたすみれを奮い立たせたものは何だったのでしょうか?すみれは自分自身が貶される事には慣れっこに成っており、苦い感情を持て余しながら何とか耐え抜いてきたのです。しかしながら、すみれは自分が好意を寄せる主人公くんへの非難には耐えられなかったのです。すみれを心配して迎えに来てくれる主人公くんを、根暗だとか何だとか嘲笑するクラスメイトに堪忍袋の緒が切れます。今まで溜めに溜め込んできた感情を爆発させ、授業をブッチ。瑣末な世事からバックれこいて、サボりに走るカタルシス。このすみれの一連の行動は、クラスメイトをして、すみれへの評価をかえさせしむることになるのです。一方ですみれも、自分が感情を発露させることの重要性を認識することになり、徐々にコミュニケーション能力を養うことになっていったのでした。