サクラノ詩「Marchen(川内野優美)」シナリオの感想・レビュー

赤ずきんの狼」と「白い毒キノコ」をモチーフにしながら百合展開を描くはなし。
ZYPRESSEN(氷川里奈)シナリオから分岐することで優美シナリオに入れる。
優美が里奈に思いを寄せるに至った背景が語られる。
また赤ずきんが一方的に捕食されたのではないことを示唆して里奈の心情を描く。
赤ずきんかと思って白い毒キノコを捕食した狼は死に、それが苗床となって新たな存在が生まれた。

今回の作品でも百合展開がありますよ!!

  • 優美と里奈の幼少期の関係
    • 川内野優美は幼少期からガチ百合属性。その気質から男子連中とつるんで大暴れしていました。作品中では群れを率いる狼として喩えられています。そんな優美を苛立たせる存在がクラスの人気者:氷川里奈でした。ある晩、糸杉が生い茂る公園で、優美は里奈と出会います。その姿は昼間クラスで垣間見る里奈とは違っており、死へと憧れる少女そのものでした。里奈が漂わせる腐敗臭に優美は嵌っていくのですね。里奈は大病で手術を控えておりその恐怖から目を背けるために、死生観を考えさせるような文学作品に入れ込んでいたのです。そんな逸脱者としての里奈の存在を優美は愛するようになっていきます。しかしここで登場したのが幼少期の主人公くん。死への憧憬を抱く里奈の落書きに加筆し、生へ執着させる作品に変えていきます。こうして里奈は生きる希望を持ち手術を乗り越えるのでした。里奈は転調し、死を乗り越えましたが、そこには優美が惹かれた死に至る少女は消えていました。それでも優美は惚れた弱みということで、里奈にガチ百合な想いを寄せていくことになるのでした。


  • 白い毒キノコ
    • 一方的に里奈にガチ百合魂を見せる優美でしたが、里奈の方はどう思っているのでしょう。里奈は『赤ずきん』を引用しながら、赤ずきんにも意志があり黙って食べられただけではないと唱えます。さらに里奈は自分は赤ずきんではなく白い毒キノコであったとも述べています。里奈は「狼」として男子連中を率いて跋扈する優美に複雑な感情を抱いており、その牙を抜いてしまったのです。里奈の寓話では以下のように描写されます。狼が補食したのは白い毒キノコであり、狼は死ぬ。そして死んだ狼を苗床とし新しいキノコが生える。つまり新しく誕生したのは「狼の皮を被った少女」であり、それすなわち新しい存在としての川内野優美であったということ。里奈の狂気に触れ変えられてしまったのはむしろ優美の方だったというわけです。白い毒キノコである里奈は、優美を苗床にし、百合性愛描写が始まるのです。こうして優美が一方的に寄せていた百合百合しい想いは逆に里奈によって還されるのでした。

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