サクラノ詩「What is mind? No matter. What is matter? Never mind.(中村水菜)」シナリオの感想・レビュー

主人公くんの父;草薙健一郎と母;中村水菜の馴れ初めのはなし。
夏目家VS中村家のお家騒動と埋木舎の伏線が回収される。
主人公の母;水菜は中村家の妾の子であり、また中村家の娼婦でもあった。
性的に虐待される水菜を救うために健一郎は夏目家勢力を動員して立ち上がる!
穢れた水菜は心と身体の乖離に悩むが、それがサブタイトルに反映されている。
健一郎が教え子の若田に語る形式で描写されており、ウイスキーの伏線もまた回収される。

概要

  • 非常勤講師時代の健一郎と学生;水菜の出会い
    • 中村水菜は勉学を社会的地位上昇のツールと割り切り、私的な時間を注ぎ込んでトップを狙う女の子。自らを「チョーガリ勉」と自嘲しますが、空いている時間には哲学書などを読み込み世界の真理について考えてしまうお年頃。優等生ながらも受験に関係ない音楽と美術はブッチし屋上で読書に励む毎日。そんな水菜を見て健一郎は興味を抱くようになっていきます。学問を割り切り、それでも世界の真理に救いを求める水菜。健一郎は、中村家の正妻かつ自分の大学時代の同期でもあった紗希(鳥谷真琴の母)の苦悩を見て、中村家のお家事情と水菜の問題を感じ取るのでした。健一郎は水菜と藍が住む「埋木舎」に足繁く通うようになります。娯楽の少ない藍にとって健一郎が即興で行う手書き絵本は何よりもの楽しみになります。水菜もまた健一郎がやってきてくれるのを心待ちにするようになり、幸せな一時が流れていきます。しかし、そんな時間は長くは続かず、中村家との問題が勃発します。「埋木舎」は中村家がその血筋を維持するために近親婚を繰り返すための施設でした。水菜もまた中村家から性的暴行を受けていたのです。水菜はそんな境遇から抜け出すために猛勉強して弁護士になろうとしていたのですね。そしてある時、水菜をヤリにきた中村章一と、健一郎は相対峙してしまいます。当然健一郎は間男というわけであり、腕を折られフルボッコ状態にされてしまいます。


  • 如何にして悲劇の娘たちを救ったか?
    • 愛する女のために自らの身を投げ打って救えばフラグは成立さ。問題は中村家から水菜を救わなければならないこと。ここで健一郎は夏目家と策謀をめぐらします。それは中村章一に健一郎が描いた絵画を破かせ慰謝料を請求すること。つまりは絵の慰謝料として埋木舎と水菜・藍を手に入れようとしたのですね。しかしそんな簡単に絵画を破かせることはできるのでしょうか?ここで提示されるのが「オランピア」の絵画の逸話。「オランピア」が発表された当時、女の裸体は神話や聖女をモチーフにしなければ描くことはできませんでした。しかし「オランピア」において堂々娼婦が描かれます。そしてその絵は独特の雰囲気を持ち、女を買ったことのある男性に、その光景を彷彿とさせるものだったのです。当然それは男に対してストレスを与えるものであり物議を醸し出したのだとか。健一郎は水菜をモデルに「オランピア」の贋作を描き上げ、中村章一にストレスを与えることに成功します。屈服しない強い目つきの水菜の姿が、オランピアの娼婦を媒介に表現されていたのですね。こうして絵画を中村章一に破かせることに成功した健一郎は夏目家の力をバックに揺すりを行い藍と埋木舎の解放に成功するのです。ですがここで誤算が。なんと水菜はその善意から「自分はどうなってもいいから〜」とか言い出してしまうのですね。交渉は勿論こじれてしまいます。ですがこの水菜の心意気が夏目家に評価されます。そして健一郎は水菜を攫って駆け落ちするのでした。主人公も生まれ幸福な一瞬を感じます。健一郎は水菜のために美術の腕で金を稼ぎますが、水菜が死んだ後に描いた「横たわる櫻」をきっかけにして名が上がることになるのです。