あきゆめくくる「土織キス(ドゥルキス)シナリオ」の感想・レビュー

恋は、重力!!恋を重力に見立て脳内「ビッグリップ」を阻止するはなし。
土織キスの前進は異能力保持者の失敗作であり、廃棄される寸前にウィルス実験に供された。
この寄生したウィルスがパンドラウィルス「ドゥルキス」であり「広がり」を求めた。
その「広がり」とは具体的に何を指すかというと「人類滅亡後にその生態的地位に収まる」こと。
それゆえ、ドゥルキスは恋愛というものを知るために宿主と主人公くんを観測していたのだ。
主人公くんが恋力で重力を発生させ情報思念体を受肉させるのは「なつくる」でもやりましたね。

パンドラウィルス「ドゥルキス」は広がりを求めた


  • 土織キスは「ドゥルキス」が現在から過去を観測した結果生み出された
    • 冒頭において土織キスは二重人格のように紹介されます。量子力学的インテリ系不思議少女Aとギャグ系日常パート担当のBです。しかし二重人格などでは全然なく、このインテリ系不思議少女はパンドラウィルス「ドゥルキス」だったのです。「ドゥルキス」が植え付けられた元の宿主は、人体実験に失敗したフェイと呼ばれる存在だったのです。「ドゥルキス」は植え付けられた現在から、宿主であるフェイがどのような存在であったかを観測して、フェイの過去を決定づけました。こうして土織キスとしての人格が誕生したのです。複雑ですね。少し整理すると、パンドラウィルスが「ドゥルキス」、「ドゥルキス」が植え付けられた実験体がフェイ、「ドゥルキス」が観測して発生させた人格が「土織キス」ということになります。ドゥルキスは主人公くんと土織キスの交流から恋愛というものを学ぼうとするのです。なぜドゥルキスは恋愛を学ぼうとしたのでしょうか?ドゥルキスのねらいは人類が滅亡した後、その生態的な地位に収まることにありました。そのことを「広がり」と捉えて、人類が広がっていく手段としている「恋愛」を学ぼうというのでした。



  • 宇宙の終わり「ビッグリップ」と恋愛重力論
    • 土織キス√の恋愛は宇宙の終わりである「ビッグリップ」をモチーフにしてシナリオが進んでいきます。「ドゥルキス」はなかなか進展しない「土織キス」の恋愛を進めるために様々な干渉を行っていくのですが、その際「土織キス」はその肉体を保てなくなり素粒子レベルで崩壊してしまうのです。それが「ビッグリップ」に例えられれています。文中では「ビッグリップ」を以下のように説明しています。「宇宙の膨張は急速に加速する可能性がある。その場合、銀河系はズタズタに切り裂かれ、星は形を保てなくなり、あらゆる物質は引き裂かれるように破壊されて、全て終わる。キミという存在は無数の粒子が集まっているから、キミという形として存在している。素粒子レベルで散り散りになれば誰もキミと認識できない……ビッグリップが発生すると全ての物質は形を保てなくなり、素粒子レベルで崩壊する」と。このビッグリップは重力が強ければ発生しないのだとか。つまりは、素粒子レベルで崩壊してしまう「土織キス」を個体として引き留めておく、強い力が必要とされるのです。それが、主人公くんの恋する力というわけなのです。この発見を「ドゥルキス」は「恋は、重力」と理解し、決め台詞のように多用してきます。「ドゥルキス」はいずれ人類滅亡後に人類の生態的地位に収まるでしょう。そしてまたドゥルキスに代わり、その生態的地位につく存在が現れるでしょう。しかし、彼らが模倣する「広がり」は主人公くんと土織キスの恋愛なのです。こうして二人の恋愛は継承され永遠のものとなるのでした。