雑録

Summer Pockets 体験版の感想・レビュー

挫折系主人公くん物語。瀬戸内海の田舎の島で過ごす夏休みが、傷心の心を癒していく。
主人公くんは水泳部で挫折した高校生だが、幼少期の追憶想起等、容赦なく泣きゲー世代の感傷を抉りにくる。
攻略ヒロインたちも内面に色々と抱え込んでいそうで、悲哀を感じさせる雰囲気がグッとくる。
冒頭および体験版ラストでの「傷ついた二羽の鳥がお互いを庇い合いながら飛ぶ」メタファーが良い。
体験版はOP後+2つの場面選択までプレイできますが、幕引きはOPで終わりでも良かったのでは?
多分、しろはの周囲への拒絶をプレイヤに提示しておきたかったのかもしれない。

挫折系主人公×幼年期の追憶×社会不適合ヒロインとの交流

  • 感傷を抉られてなんだか泣けてきてしまいます。
    • シナリオのパターンは挫折系主人公くん物語。大きな水泳部の大会で失敗した主人公くんは、泳ぐことができなくなり、退部。今まで打ち込んできたものを喪失し、やることのない夏休みに耐え兼ね、祖母の遺品整理を名目に、瀬戸内海の田舎の島までやってきました。挫折系物語はCLANNADこんぼくあおかな金恋あたりが有名作品で、主人公くんがどのように過去との折り合いをつけて現実と向き合うかに焦点が置かれるわけですね。攻略ヒロインとの交流を経て、別のものに生き甲斐を見出すのも良し、再チャレンジする社会を要求するのも良し、そのまま朽ち果てるのも良し。本作の特徴としては、幼少期の追憶想起が一種の売りポイントとなっています。生き甲斐を喪失しやる事がなくなってしまった一人の男が、子どもの頃の夏休みを想起して感傷に駆られる場面が見どころですね!容赦なくオッサンの心を抉りに来ます。
    • 悲壮感漂う主人公くんの雰囲気は、同船した老婆に見抜かれており、亡き祖母の影響もあってか、島民たちは色々と良くしてくれるのです。日常描写も味わいがあるね。同級生たちは卓球をしたり歓迎会をしてくれたりもします。遺品整理はホントウに名目上のものであり、主人公くんに手伝いは要求されておらず、実質オバさんが一人でやってるので、プラプラと一日中過ごすことになります。緩やかな島でのスローライフをエンジョイする中で、不思議系少女というか内面に色々と抱えて拗らせてそうな3人の少女と出会うのです。島民であるものの周囲との交流を拒絶するメインヒロイン、灯台に棲みつき自己のアイデンティティ確立に悩む自分探し系少女、主人公くんとの過去を匂わせながらスーツケースを引きずる黒髪ヒロイン。(※あとなんか悪友系ヒロインとして和泉つばす先生原画のヒロインがいます。)主人公くんが彼女らと抱わり、どう挫折を克服するのか/しないのかが楽しみですね!

  • メインヒロイン「しろは」のキャラクター表現とフラグ生成過程
    • moon,ONE,AIR,Kanon,CLANNADなど旧来の鍵系作品のノリをどことなく彷彿とさせるのが、メインヒロインのしろはちゃん。プロローグの「二羽の傷ついた鳥」を眺める所から始まり、深夜の学校のプールで一人泳ぎの練習をしているところや、周囲と壁を作って馴染めていない所がグッときますね。孤独を孤高と読み換える中二病のお約束のセリフ「私と関わらない方がいい・・・」も炸裂しますし。どうやらOPムービーから察するに、しろはちゃんは島内の巫女っぽいですね。田舎、島、巫女ときたら、宗教関係やら永遠の世界やら前世からの輪廻やら過去忘却やら大切な人の喪失やらが期待されるところ!!
    • そして特筆すべきところが、主人公くんの内面吐露を否定せず受け入れてくれて、さらにそれに共感を示してくれて、その上、共有までしてくれるところなんです!!主人公くんは、挫折し傷つき生きる理由を喪失し、自己肯定感が底辺になったところで島にやってくるわけです。そんな中で、ただの「二羽の鳥」を自分と同じように「傷ついてお互いにかばい合っている」と解釈してくれるのです。そして、失われた幼少期の夏休みの追憶という内面吐露を否定しないでくれるのです。「使い物にならないやつ」と自嘲する主人公くんを一蹴するのではなく共感してくれるんです。主人公くんにとってまさに女神のように感じられたことでしょう。そんなしろはちゃんが、困っていたら是非とも力になってあげたいではありませんか。少女救済展開も発動するよね!周囲との交流を頑なに拒絶するしろはちゃんシナリオが実に気になります。
  • 「二羽の鳥」のメタファーと価値観の共有
  • 主人公くんの屈折した境遇とそれへの理解

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本編

REFLECTION BLUE