アメイジング・グレイス 体験版(第一弾)の感想・レビュー

※10月22日に体験版Ver.2がだされたそうです。この記事はVer.1までの感想・レビューとなります。

20世紀初頭の文明レベルで抑制された閉鎖的な都市空間における芸術系学園もの。
1917年にアポカリプスが訪れて、本作の舞台となる都市以外はすべて滅び去ったとされている。
マレビト信仰よろしく来訪者としての機能を持つ主人公くんは、現代知識を備えるが記憶喪失状態。
日常パートは正直言って微妙だが、キリスト教や絵画史を題材にしており、その蘊蓄は面白い。
章・節の表題にグランツアーとあるように、イタリアのルネサンス期の芸術を学べて楽しい。
ポストアポカリプス・SF要素・キリスト教・絵画史といった壮大な風呂敷をどのように畳めるかが不安。
前作はなかひろ先生をライターに起用しSFやって微妙だったので、その二の舞にならないことを切に願う次第。

雑感

  • 絵画史と絵解きによるSF的世界観の再解釈は面白いが、日常パートは微妙
    • 本作の面白いところは、絵画史を題材にしているところで、宗教画やルネサンス美術などの「絵解きトーク」がとても楽しいです。この「絵解き」によって与えられた伏線が物語世界を解き明かす伏線となっています。本作の設定はSF的なポストアポカリプスもの。1917年に世界が消滅したけれども、本作の舞台となる閉鎖された都市だけは滅亡を免れたというノリです。このSF的設定を絵画史から読み直すという試みは興味が惹かれるところであります。
    • しかし、日常パートは微妙。現代文明の知識を持つが記憶喪失の主人公くんが、20世紀初頭の文明的世界で、芸術を専門とする学校で過ごす日々。主人公くんにはフィルムのカメラが与えられることになるが、全然撮影しないし、20世紀初頭のカメラ事情とかも全く出てきません。基本的には、なんか映画撮影をしているぶっ飛んだヒロインのトンデモ劇などを読むことになり、途中で眠くなることもしばしば。なんで、こんなキャラと日常パートを用意したんだい?と感じてしまいます。何か重要な複線なのだろうか?と。
    • 当面の目標はクリスマスに向けてアドベント期間に突入し、そこで文化祭の準備をするという流れです。体験版ではこのアドベント期間に突入する際、エゾマツに飾り付けをすると願いが叶うとされていて、メインヒロインと一緒に飾り付けにいきます。するとどうでしょう!?リンゴの飾りが本物となったのです。ここで聖書の楽園追放が引用されリンゴ食ったら文明が滅亡した外の世界に放り出されるのではとか永遠の命がとかいう話になり、最後は二人でリンゴを梶って、体験版第一弾の幕は閉じます。

 

シナリオ:冬茜トム・しげた/原画:梱枝りこ って『Magical Charming!』の製作陣じゃん。

てつじん , しげた , 二葉つばさ , 冬茜トム『Magical Charming!』(Lump of Sugar 2013年、5月)

周回しながらカードを集めて選択肢を増やしていき様々な反応を楽しめるキャラゲー。個別√だけでもキャラクター表現が可愛くてクリックが進みますが、世界設定考察系までシナリオを深めているところが大変面白いです。カードの集め方次第では、生徒会選挙で成り上がり学園の支配者ハーレムエンドも見られます。構成が上手くできており、体験版が1週目の通常世界、製品版のキャラゲー部分が夢世界における周回√、グランドルートが世界設定を解き明かすという3段階になっていて伏線回収も面白い。グランド√ではいままで集めたカードを使用しながら世界の管理者である学園の先生方とのバトルとなるのですが、魔導天秤にはまいったね。そんなわけで良くできたキャラゲーだと思います。