タマユラミライ「小伯白」シナリオの感想・レビュー

死霊を成仏させるために一緒に輪廻し卯子酉様として転生するエンド。
白お姉ちゃんを現世に縛り付ける三つの執着を断ち切りましょう。
それは主人公くんの執着、白の義妹のお紅さんの執着、白自身の執着。
そして遠野物語ゲーテを融合させ「時よ止まれ、お前は美しい」展開となる。
結局の所、初代も2代目も3代目も全ての魔法使いは主人公くんだったぽい。
最終的に主人公くんは死を選び、白お姉ちゃんと共に転生する。

霊魂崇拝と輪廻転生を素材に柳田国男の『遠野物語』とゲーテの『ファウスト』を融合させた感じ。

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  • 死者の蘇生を目指し霊魂の具現化の方法を見つけるも結局は成仏させ輪廻に還す。
    • 主人公くんは遠野の土地を調停する3代目の魔法使いとして登場しますが、初代からずっと同じ人物だった模様。初代の主人公くんはゲーテの『ファウスト』をパロっており、悪魔契約して世界を回っている間に、遠野の土地に定着したようです。で、悪魔に魂を渡さず転生。2代目の時間軸は昭和初期であり、ここで白お姉ちゃんが死亡。主人公くんは死者の蘇生を目指し、封印されていたメフィストフェレスを復活させます。白お姉ちゃんの蘇生が成功したら魂を譲り渡す契約をしたのでした。


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  • お紅さんとの和解
    • 白お姉ちゃんが成仏できにずに現世に縛られていた執着は3つありました。それは主人公くんの執着、白お姉ちゃん自身の執着、そして白の妹であるお紅さんの執着でした。白お姉ちゃんとお紅さんの関係性は微妙なもので、お紅さんは再婚相手の連れ子で義理の姉妹でした。継母は白の存在をいないものとして扱い、お紅さんばかりを贔屓します。それでも継母がいない時には友好的な関係であり、厳しい躾けを受けていたお紅さんの息抜きにと、音楽会につれていってあげるなどしていたのでした。この姉妹の関係に主人公くんも加わっており、お紅さんは主人公くんに好意を持ち始めます。白お姉ちゃんが死亡した時、死者の蘇生に没頭していた主人公くんをたえず気にかけてくれたのもお紅さんでした。しかし主人公くんは死んだ白お姉ちゃんを選んでしまうのです。白お姉ちゃんを蘇生させるための研究を続けるために、赤ちゃんに転生した主人公くんを一から育ててくれたのもまたお紅さんだったのです。お紅さんはこの赤ちゃんが主人公くんだと半ば確信していたのですね。現代の時間軸において白お姉ちゃんの霊魂が希薄化していった理由の一つに、白お姉ちゃんに執着していたお紅さんが寿命で死にかけていたこともありました。ついに倒れるお紅さんでしたが、三途の川で白お姉ちゃんとの魂と邂逅し、和解が成立。助けた鯉から貰った龍神パワーで延命に成功します。


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  • 未練を解消して輪廻転生
    • 主人公くんが悪魔契約したのは、白お姉ちゃんを蘇生させるためであったことは上述の通りです。そして由岐奈√で入手した「オツキサマ」を媒介にして、白お姉ちゃんの霊魂を人形として具現化させる方法を編み出したのです。しかし主人公くんは、ここで満足して執着が消え、実際には秘法を行使することはなかったのです
    • そして主人公くんが選んだのは、白お姉ちゃんと共に輪廻の輪に乗り、共に転生することでした。主人公くんは悪魔契約を解消するため、自分をメフィストフェレスに殺させます(契約違反となったメフィストフェレスは消滅しかけるが由岐奈と再契約して4代目の魔法使いに仕えることになる)。魂を開放された主人公くんは、白お姉ちゃんと共に成仏していきます。ここで生きてくる伏線が作中で何度も出て来て卯子酉様伝説。卯子酉様は来世でも添い遂げようと誓い合った恋人の魂がツガイの鳥として転生したものとされています。主人公くんと白お姉ちゃんは転生して卯子酉様のツガイとなったのでした。
    • エンディング後のエピローグでは、卯子酉様からさらに輪廻転生し人間の赤子として生まれ直した姿が!!!こうして死者の霊魂を巡る長い物語が幕を閉じたのでした。

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