雑録

きまぐれテンプテーション(製品版)の感想・レビュー

アパート怪死事件の探索謎解きゲーを、陰陽師と怪異と可愛い助手で味付け。
新興宗教の洗脳を受け霊体となった住人たちを対話によって解放していく。
住人たちが抱えていた過去のトラウマを解きほぐせ!
主人公くんもまた霊能力を持っていたため排斥されたトラウマを刺激される。
惜しむらくは人物像の掘り下げが浅かったことだが、短編だから仕方がない。
助手が良い味だしていると思っていたらまさかの「犯人はヤス」オチだった。

ROUTE1 「約束」エンド

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  • アパート怪死事件の謎を解け!
    • 主人公くんは陰陽師のはしくれ。心の師匠からの派遣でアパート怪死事件に挑むことになります。助手は可愛い悪魔のアンネリーゼちゃん。このキャラ造形がとても良くできていて、物語を進行させる役割を持つと同時に、ボケる主人公くんにツッコミを入れたり、ギャグを担当したり、乙女のように恥じらったりと八面六臂に大活躍。主人公くんとの夫婦漫才は殺人事件の謎解きの一種の清涼感となります。主人公くんもまた霊能力によって周囲から排除され孤独な人生を歩んできたことが明らかになり、アンネリーゼに受け入れられることで人の温かさを噛みしめて行きます。
    • 事件の内容としては、自殺後に霊体となった少女たちが自分の内臓を食べることによって受肉し「天使化」したという設定で、彼女らを救うことが目的です。しかし物語が進むにつれて少女たちは自殺したのではないことが明らかになっていきます。


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  • 事件を仕組んだのは大家とサリィ
    • 事件の発端は大家が根本原因で、両親から束縛され続けた大家は両親の死によってその支配から解放されたのですが、次第に孤独に耐えられなくなってしまいます。そのため、アパートに住人を集めて家族になろうとするのですが、人の愛し方を知りませんでした。故に、格安アパートに集まって来た住人たちに過干渉し、自分の思い込み的な思想を宗教として信仰させようとしたのです。この大家の信仰にいの一番に乗ったのが、事実上のボスである102号室のサリィ。この人物は生前、鬱屈した人生を送っており、そのために大家の教えに共感します。誰からも気にされない程影が薄くて人の印象に残りにくい半面、コミュ障で他人とのトラブルが絶えないという側面も持ち、派遣会社をパワハラで退職しているという厄介な人物でした。大家にすり寄りその教義を利用することによってアパート内カーストの上位に立ち、住人たちを虐待したり薬物中毒にしたりとやりたい放題。天使化するために住人たちを殺害したのも、ほぼサリィの暗躍によるものであり、最終的に大家がビビッて尻込みすると大家まで殺してしまうのでした。しかし大家もその直前に反撃に出て、刺された刃物を抜き取りそれをサリィに刺し返すという荒業をしています。これによりサリィも死んだのでした。探索パートでは、各住人から証言と証拠を集めて、証拠を示してサリィを論破することが主軸となっています。


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  • 「証拠集め」の装置としてのアパートの各住人
    • 証拠集め編では、各住民のトラウマ解放が必要となってきます。
    • 103号室のロゥジィは怠惰な性格を憂いた両親によって教祖の大家から矯正を受けるべくアパートにぶち込まれていました。ロゥジィとの対話に成功すると、102のサリィがロゥジィに激しい虐待を行っていたことと薬物中毒にして廃人にさせたことが証拠としてゲットできます。
    • 201号室のクーリィは資産家の娘。しかし両親は表面的な体裁ばかり気にしてお嬢様教育を施します。クーリィにとってそれは苦痛でしかなく、ご学友たちと付き合うよりも悪い連中とつるんでいた方が気が楽であり、麻薬のバイヤーの道に落ちて行ったのでした。このクーリィとの対話により、麻薬の流通ルートを大家とサリィに簒奪されたことが証拠として挙がります。
    • 最後は202号室のハーヴィー。中堅同人作家であったものの筆が遅くて商業デヴューできず金銭面に困って格安アパートに転がり込んできます。大家の新興宗教など1ミリも信じておらず、家賃を浮かせるために過干渉も流していました。しかしロゥジィの世話を命じられたことを契機に仲良くなると、虐待を受けていることに気づいてしまいます。しかし暴力の矛先が自分に向くのを恐れて虐待を通報せず、さらには殺人事件の実行役となり住人たちの殺害に手を染めてしまうのです。それ故悔恨も深いのでした。ハーヴィーとの交流により、教典や天使の衣服は彼女の作成であることが分かり、神などいないことを論証する論拠となります。


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  • 犯人はヤス
    • 住人たちから集めた証拠でサリィを論破。逆上して襲い掛かって来たサリィをアンネリーゼが返り討ちにします。しかし肝心の大家の死体を発見できません。真相は如何に!?なんとここで犯人はヤス展開が発動します。住人たちは霊体が受肉した天使であると説明されていましたが、彼女たちは自分の死肉を食らってはいませんでした。そうなんです、「天使」だったのはアンネリーゼだったのです。アンネリーゼはもともとハーヴィーの漫画の草稿から生まれたキャラであり、その魂がアパートの住人たちの死体を食らって受肉していたのです。アンネリーゼは主人公くんに自分を殺させるために、その姿を変貌させますが、主人公くんは殺すにしても対話の上で殺すべく、アンネリーゼに心情を語ります。こうして人間形態に戻ったアンネリーゼを主人公くんは殺害。「約束」エンドでは主人公くんの心の中に宿ったアンネリーゼの残滓を顕現させ、相棒となるよエンドを迎えます。

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その他のエンド分岐

  • エンド2「解決」
    • 事件の呪いは祓ったもののアンネの正体は見破れず別離エンド。
  • エンド3「終幕」
    • サリィを斬って物理的に事件を解決するエンド。
  • エンド4「後悔」
    • 天使たちを誰一人として救えず無理やり祓ってしまうエンド。
  • エンド5「---------」
    • 教典に身を委ねてしまい欲望に駆られてアンネを求め続けるエンド
  • エンド6「      」(空白)
    • 事件は解決できたもののアンネを祓えず一緒に闇落ちするエンド